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土曜日の朝、機種変更へ行く。

先日スマホの機種変更をした。
結果的に損はしていないが、危うく変な契約を足されるところだったので、笑いがてら共有でもしておこうかと久しぶりにnoteを起動する。

愛用のTORQUEシリーズに待望の新機種が出ると知って以来、入手する日をどれだけ待ち望んだか。iPhoneの新シリーズが出るとそそくさと新調する人がいるように、TORQUEもまたコアなファンを根強く持つスマホなのだ。機種について語りたいことは色々あるが今日はさておき、この日私は機種在庫を確保して来店予約をして万全の準備で「お迎え」へと向かった。カフェも入った今どきかつ清潔感のある建物の自動ドアが開く。ショップのある2階へ向かう私の足取りは軽い。だって今日はTORQUE G06を手にするんだから。

予約のおかげですぐにカウンターへ。この時点で開店の10時。話が始まる。

「今日は機種変更でご来店ですね。ありがとうございます。機種変更のほか気になることはありますか?」
「時間が許せばホームルーターのプランを確認したいです。」
「かしこまりました。」
土曜とはいえ朝イチから携帯をなんらかしようなどという人間は高齢者と私くらいなのか。辺りを見回すと相談事のありそうなおばあちゃんおじいちゃんが2,3人のほかはスタッフがそれよりも多く立っていて静かだった。

見積もりが始まる。本体代金が9万幾ら、通信費のプランがどう。ここで早速スタッフさんのカウンターパンチが繰り出す。
「通話は何もプランがついてないですが、最近お電話をされてるようですね。かけ放題にされてはどうでしょうか?」
ほとんど通話機能は使わないが、と通話履歴を手元で開く。自販機のお釣りが400円足りなかった件で確かに管理会社に連絡を入れたな…。

「私の直近の通話料はいくらですか?」
「先月が450円です。」
「かけ放題はいくらですか?」
「8百何十円です。」
……明らかに得がない。

「(私) 先々月は?」
「あーえっと…」
もにゃもにゃと口篭るのが可哀想になって話を切りあげる。別にこちらとて責めたいわけではない。必ず案内するマニュアルなんだろう。
「かけ放題は要りません。」
「かしこまりました。このままにしますね。」

次に通信プランの欄を見せられる。古い機種が4Gの機種なので使い放題の4Gではなく、5Gになっているのは合点がいくのだが、なにやらその後ろに文字が並んでいる。お得をうたうそれらについてスタッフさんの説明が始まる。

「auペイはご利用ですか?アカウントはありますね。」
「使ってません。」
「そうなんですね。これは年会費無料のクレジットカードを作って頂き合わせて使うとauペイの残高がが300円貰える〜(よく覚えていない。Pontaポイントがどうこうとも言っていたが数字のあたりは不確かだ。)」
いかにもな説明に聞く気もなんだか失せて、申し訳ないが呼吸の合間に話を打ち切る。
「カードを作る気はないです。これは通常の通信料無制限のプランといくら違いますか?高いですか?」
「ポイントの方のカードは現物ではなく、デジタルの…」
そういうことじゃない(笑)システムとして所有する気がないという話だ。

「またプランは通常の物が300円(仮)お安いです。」
「あ、え?」
つい聞き返してしまったが、つまり、300円を払って300円の残高を買ってくれと言われたようだ。お得そうな話が得なことはそうそうないとは言うが、auペイを使っていない顧客にするプレゼンにしては根拠が弱すぎる…!
「通常の無制限にしてください。」
「かしこまりました。」
仕方がない。必ず案内するマニュアルなんだろう。
しかししかし、もしかしてスタッフさんもわけが分かっていないのでは?いよいよ可笑しい。
その後もエンタメ系サブスクが何ヶ月無料とかそんな特典の説明をされかけたが、欲しいものは既に課金済みなのでスルーして、機種変更後の見積もりがようやく完成する。ここで念の為と今の機種代金と通信料のプランについて聞いてみる。
「だいたい8000円~9000円ですね。」
見積もりのタブレットを見せられる。
あれ?思い違いでなければこれは先程の変更後の支払い額では?「だいたい」という言葉にも不安になってしまい画面を指さし確かめる。
「これが今のプランですか?」
「いえ、これは新しいものです。」
あちらの毅然とした態度に、今のプランを確認するこちらがおかしいのだろうかと笑ってしまう。
「今のを見せてください(笑)」

するとそそくさとタブレットを触り始める。どうやら何も見ずに答えたらしい。だから「だいたい」なんだな、と納得しつつ見せられた画面はこれまた分かりにくい。月々の支払いではあるのだが、なんだか通信料と機種代金以外のものが混ざったものだ。これでは比較にならない。

確認しながら通信料のプランと機種代金の項目を足し合わせると、7500円程になった。

喉のところまで出かけた「だいたい8000円から9000円、ではなかったですね?」という嫌味を飲み込む。最新の見積もりが約9000円ゆえあとから明細を見て「月々の支払いは変わらないと言われたのに上がってるじゃないか!」そう言われかねない接客だなあ。などとこの場に居もしないifの顧客をイメージする。

「私の今の本体はもう3年利用していて、本体代の残金の毎月の支払いが少ないので、その分高くなる見積もりですね?」
答え合わせをするが、スタッフさんはしどろもどろ。
「あー…えっと、そうですね。」
慌てて数字を見比べているのを横目に、この人たちも何も分からないままマニュアル通りにあれこれ進めて、相手が気づかなければより高く契約させるって寸法なのかなと可哀想になる。

その後
「中を確認するので電源を切りますね」
といって私が確認する間もなくカウンター上の旧機種をサッと手に取り電源を落とされたりもしたが、(場合によっては閉じないで欲しい使いかけのものがあることも考えられる。)その程度は可愛いもんだ。
「カバーを探している」と伝えたが「無い」とは決して言わずストラップやホルダーのアクセサリーを勧めてきたりもした。

結局私の後の予定までの時間がなくなって、この後にルーターの…と言われる頃には「それはまた今度にします時間が無いです。」と言わなければならない始末。

しかし待てよ、このスタッフさんはここで終わる人ではない。

新しいスマホと書類を全て紙袋に入れたのに、最後に言われたのはこの一言だった。
「ファイナンシャルプランナーって知ってますか?」
要は保険や資産運用の相談をしないかという話がこの期に及んで始まったのだ…!仕方ない…必ず案内するマニュアルなんだろう…!(笑)
「担当の方がいるので結構です!」
思わずやや強くなる私の語気。
「わあ、しっかりされてますね〜。」
相変わらずのスタッフさん。

帰る頃には1階のカフェは昼のお客さんで賑わい始めていた。来た時にはスムーズに開いた自動ドアも、何だか鉄の扉のようにゆっくりと開く気がする。
面白かったけど疲れたな。
やっぱりいつも行くショップに行かないとだめだな。
駆け足にJRの改札を目指す。

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