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ピーマンの思い出

久しぶりに青椒肉絲を食べた。

家族がピーマン嫌いなので、
日々の食卓にピーマンが並ぶことはなく、
ときどき、思い出したようにピーマンを使った料理を食べる。
「ときどき」といっても、
年に一度あるかどうかという感じだが。

昔は、ピーマンが大嫌いだった。
食べられるようになったいまでも、
ピーマンと聞くと、
夕食のおかずに出たが食べられず、
残したいのだが残すことが許されず、
ただただ、じっとお皿を見つめるしかなかった
小学生の自分が目に浮かぶ。
あるいは、中学校に進学するときに、
学校に提出する書類の苦手な食べ物欄に、
大きく「ピーマン」と親が書いているのを見たときの、
自分の幼さを苦々しく感じたことが思い出される。

それがいつのころから、食べられるようになり、
いまでは好きな食べ物になるのだから、
味覚とは、不思議なものである。
ほかの苦手だった食べ物もみな、
いつのまにか好物になっている。
子どものころ嫌いだったものでも、
無理して食べると、いつか好きになるのだろうか。


久しぶりに食べると、いつも思うのだが、
ピーマンの味が優しくなった。
昔はもっと苦かった。
そういうピーマンを久しぶりに食べてみたいと思う。

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