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【チャットGPTで「ゼロ」→「イチ」のインタビュー記事は書けるのか?】

先日、FBにチャットGPTでインタビュー記事を書いた話を投稿したところ、「伝えたい内容を箇条書きとかにして、ゼロからイチの部分をやってもらうのはどうでしょう?」というご意見があったので、面白そうだったのでさっそく試してみました。

【原稿の修正にチャットGPTを使ってみたんだが】
https://www.facebook.com/kenrei.takeuchi/posts/pfbid02uXtnj6jKxmZ5ydT1QXCjQyEbGnwhvcrQNV6r5VLu9Arnd88xDwbTjK6R8qcbWQnbl

まず、「平凡な人でも起業に成功する方法」というテーマで、3つの箇条書きを提示して、チャットGPTにインタビュー形式でまとめてもらいました。

以下がチャットGPTに読ませた箇条書きです。
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平凡な人が起業で成功するための大切な視点

・付き合う人を変える。自分の身の回りの人をビジネススキルの高い人に変えていけば自分も才能が引っ張られる。非凡な才能があることに気付くことができて、それをベースにして起業することができる。

・「これだったらお金をもらえなくてもやりたい」という特技や趣味を身につける。そうすれば長続きするし、誰にも負けないスキルも身につけて他を圧倒するビジネスモデルを構築することができる。

・自分の「平凡さ」の視点を生かして、世の中の多くの人が感じる「不満を解決するビジネス」を見つける。「プロの素人になる」という言葉どおり、究極の顧客視点を持つことは新たなマーケットを開拓するのに必要なビジネススキルといえる。

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最初はもっと短い箇条書きだったんですが、あまりにもトンチンカンなインタビュー記事を吐き出してきたので、再度、長めの箇条書きで再提示しました。

で、こちらがチャットGPTが吐き出したインタビュー原稿です。
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インタビュアー: 平凡な人が起業で成功するための大切なポイントについて教えてください。

インタビュイー: もちろんです。以下の3つの視点が重要です。

インタビュアー: まずは、付き合う人を変えることについて教えてください。なぜ周囲の人々との関係が重要なのでしょうか?

インタビュイー: 自分の周りの人々は、私たちの成長に大きな影響を与えます。成功するためには、ビジネススキルの高い人々との関わりを増やすことが重要です。彼らから学び、知識や洞察を得ることで、自身の才能も引き出すことができます。特別な才能がなくても、彼らの影響を受けることで自分自身に気付き、それを起業の基盤とすることができるのです。

インタビュアー: 納得です。次に、「これだったらお金をもらえなくてもやりたい」という特技や趣味を身につけることについてお話しいただけますか?

インタビュイー: はい、もちろんです。お金を得ることに関係なく情熱を持ち、自分が本当にやりたいと思える特技や趣味を見つけることは重要です。それに取り組むことで、長期間にわたって継続できるだけでなく、他の人々に勝るスキルを身につけることもできます。自身の得意分野を開拓し、専門知識やスキルを磨くことで、他の人々にとって圧倒的な価値を提供することができるのです。

インタビュアー: 素晴らしいですね。最後に、自分の「平凡さ」の視点を生かして、世の中の多くの人々が感じる「不満を解決するビジネス」を見つけることについてお聞かせください。

インタビュイー: 自分自身が平凡であるという視点を逆手に取り、他の人々が抱える不満や問題を解決するビジネスを見つけることが重要です。言葉通り「プロの素人」となり、顧客の視点を徹底的に理解することは、新たなマーケットを開拓するために必要なビジネススキルと言えます。自身の経験や視点を活かして、他の人々にとって有益なサービスや製品を提供することができます。このような顧客志向の視点を持ち、不満を解決するビジネスモデルを構築することで、成功への道を切り拓くことができるのです。

インタビュアー: 素晴らしいアドバイスですね。付き合う人を変え、自身の特技や趣味に注力し、そして他の人々の不満を解決するビジネスを見つけることが、平凡な人でも起業で成功するための大切なポイントということですね。最後に何か追加のアドバイスやメッセージはありますか?

インタビュイー: はい、一つだけ追加で伝えたいことがあります。成功するためには、努力と忍耐が欠かせません。起業は容易な道ではありませんが、自身のビジョンを持ち続け、困難に立ち向かい続けることが重要です。自分自身を信じ、努力を惜しまず挑戦する姿勢を持つことで、平凡な人でも起業で大きな成功を収めることができるでしょう。

インタビュアー: ありがとうございます。付き合う人の変化、自身の情熱や特技の追求、そして顧客の不満の解決に向けたビジネスモデルの構築。そして努力と忍耐の持続。素晴らしいアドバイスをいただきました。本日はありがとうございました。

インタビュイー: どういたしまして。お話しできて光栄です。成功を収めるための貴重な情報をお伝えできたことを嬉しく思います。また何かお力になれることがありましたら、いつでもお気軽にお声掛けください。

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なぜ、チャットGPTの文章は読みにくいのか?

箇条書きの原稿を1分もかからずインタビュー記事にまとめてきました。ハッキリ言って優秀です。以前、某経済誌のライターから取材を受けて、書きあがった原稿を読ませてもらったんですが、それよりも10倍ぐらい読みやすい原稿でした。あのライターさんにギャラを払うんだったら、チャットGPTに投げ銭したほうがいいぐらいです。しかもこいつは愚痴ひとつ言いません。休みもしないし、タバコも吸わないし、「は? それ、今やらなきゃダメな仕事っすか?」とかさからってきません。24時間働いてくれます。チャットGPT、お前、やっぱりいい奴だな。有限会社いろはに即採用だよ。

と、ほめちぎりましたが・・・ネットで流し読みするレベルであれば十分合格点の文章ですが、よくよく読んでみると全体的に「ん?」という内容にはなってしまっています。つまり、チャットGPTは「まとめる」ことはできても「読みやすい構成を作る」という演出部分までは、どうやらできないっぽいです。

たとえば、冒頭にインタビュイーが、いきなり「以下の3つの視点が重要です」と乱暴に言ってしまうと、読者は「以下の3つ視点」が分からない状態のまま読み進めることになってしまいます。そうなると、インタビュアーが、「まずは、付き合う人を変えることについて教えてください。」と切り込んでいくと、『あれ? なんでこのインタビュアーは3つの視点を先に知っているんだ?』と違和感を覚えたまま原稿を読み進めていくことになってしまうので、ちょっと不親切なインタビュー記事になってしまうところがあります。

なので、もし、読みやすいインタビュー記事に書き換えるのならば、インタビュイーのほうが、最初の回答で

「平凡な人が起業で成功するためには、次の3つの視点が必要です。ひとつは『付き合う人を変えること』、二つ目は『タダでもやりたい趣味や特技を持つこと』、そして3つ目は『平凡な人の視点を生かしてビジネスモデルを考えること』。この3つさえできれば、どんな平凡な人でも起業に成功することができます」

みたいな丁寧な会話文を挿入する“演出”を施して、その上でインタビュアーのほうに話を振っていく構成にしないと、インタビュー記事として不完全になってしまうところがあります。

完成度の高い文章は一部を書き直すというのが難しい

あと、インタビュイーの下から4番目と下から2番目のセリフ回しがほぼ同じなので、オチが退屈で意味不明な締め方になってしまっていますよね。僕が編集者だったら、この原稿を書いてきたライターさんに対して、「最後がくどい感じになっているから、書き直してくれるかな?」と言ってしまいます。まぁそんなことを言ったらライターから「これは下請けイジメのパワハラって奴ですか?」とか言われる可能性もあるので、黙って自分で直しますが。

どちらにせよ、最後のオチは全体的に書き直さないといけないので、ちょっとテコ入れする必要があります。でも、オチを手直しするとなると、途中のインタビュイーとインタビュアーのやり取りの“フリ”の部分も書き換える必要があるので、全体的に原稿に手をくわえなければ、人に読んでもらえる原稿にはならないところがあります。たとえるのなら、住宅が傾いている違法建築の家で、「住めるようにする」というオチをちゃんとするには、全部ぶっ壊して曲がっている柱から直さなきゃいけないって話です。「床が斜めに感じるんだったら、粘土で埋めて直しましょうか?」で済む話ではありません。

これがいわゆる、チャットGPTの吐き出した文章の「書き直し」の厄介なところだったりします。そこそこ完成度の高い文章を吐き出してくる分、一部を修正するとなると、全体を手直ししなくてはいけなくなるので、それはそれで直すほうは面倒だったりします。

書き手の意図までは理解してくれないチャットGPT

とはいっても、ここまで原稿に手を加える必要があるのは、商業的に「人に読ませる」という文章であることが大前提であって、これがビジネスで使う内部資料やヒアリング資料程度のものであれば、チャットGPTが吐き出した文章で十分といった感じです。これは「どこで使う文章なのか?」によって変わってくる話なので、個人の判断に委ねられるところが大いにあると思います。

ただ、私の意図としては「平凡な人でも起業は簡単にできますよ」というつもりで箇条書きをまとめたたところがありました。でも、チャットGPTのほうが勝手に「起業は生易しくない」と解釈したようで、インタビュー記事の最後に「努力と忍耐が欠かせません。起業は容易な道のりではありません」という文言を書き込んできたのは、「いやいや、そうじゃないんですよ」という思いが出てきてしまったところがあります。そもそも、起業が大変であることはみんなが分かっているわけであって、それだと面白い原稿にならないから、真逆の「起業は簡単だ」ってほうにネタを振ったのに、結局、ありきたりな回答のほうにチャットGPTが振り戻してきたところを考えると、やっぱり、「面白く読ませる」というところまでは、AIは追い付けてはいないんだなぁと思いました。

ここで危惧しなくてはいけないことは、「結論が勝手にすり替わってしまう」という点だと思います。たとえ社内文書や報告書であっても、相手の主旨と結論をチャットGPT側が勝手にすり替えてしまうというのは、資料としての価値もおかしくなるし、受け手側の誤解を招く恐れがあるので、そのあたりは、もう少し使い方を精査していく必要があると思いました。まだ完全にチャットGPTを使いこなしていないので分からないところも多々ありますが、おそらくチャットGPTが吐き出す考えや文章は「当たり前」で「平均値」で「誰でも思いつくようなこと」にとどまると思うので、それも加味した上で、「チャットGPTは面白くない文章を書く奴なんだ」という前提で、付き合っていく必要はあるんだと思います。

他の人もチャットGPTの使い方でよく言っていることですが、チャットGPTは新しい文章を書かせたり、人に読ませる必要がある資料を作らせたりするよりも、「他にどんな意見があるのかな?」というのを、Google検索よりもサクッと知りたい人が、適当に使うという感じが、現時点ではベストな使い方なんだと思いました。仕事で本領発揮するには、もう少し時間がかかりそうだし、その前にGoogle Bardあたりが、良い感じのAIを出してきて、少しずつ浸透していく流れになっていくと思います。

結局のところ、「凄い機能」を使いこなせる人は、「凄い人」に限られるわけであって、僕らがチャットGPTを使ってありがたさを実感することは、そんなに多くはないんだと思います。お米を食べて「えっ! これって田植え機で植えたお米なの?」って驚く人がいないのと同じで、便利なものは私たちの知らないところで浸透していくのが世の常だったりします。

チャットGPTは「ゼロ」→「イチ」が苦手かも

結論としては、箇条書きでチャットGPTに読ますと、結論もまとめ方もいい加減になるので、ある程度、「こんな感じにもっていきたい」というテキストデータを食わせる必要がありそうです。ゼロ→イチで文章を吐き出させようとするとヘンテコリンな文章になりそうなので、8ぐらいまで文章を作ってやって、10ぐらいの文章で仕上げてもらうのがちょうどいいかもしれません。まぁ、8まで書いたら、残りの2は自分でやったほうが早いと思うんですが。もちろん、文章を書くことが苦手ではないという人が大前提で。

と、こんなことをやっている場合ではなかった。以上、現場からでした。仕事に戻ります。


好きをたくさん押してくれたら取材して続きを書きます。足りなければ書くのは止めます。でも書きたいから押してね♪