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億万長者の最後は老人ホーム!?

お金持ちがうらやましかった。でもお金に執着するのは卑しいこと。

子どもの頃の私は、そんな程度の金融リテラシーしかない子どもだった。
実家は自営業だった。両親はなんでも買い与えてくれたが、事業用資金のやりくりの話はよく聞いていた。手形がどうとかよく言っていたな。

そのせいで、事業は大変なものとも感じていた。自分が成長したらお金のことは考えずに好きなことをしたい。漠然と考えていた。
同じ大学でも文学部は偏差値が高い割には潰しがきかない。もっと入りやすくて就職がしやすい学部を選ぶべきだ。受験雑誌にはそう書いてあったが、お金のことばかり勉強するのは嫌だ、孤島の研究者になりたいなどと感じていた。

どこかに、お金はあればいいが表に出すのは卑しいことと思っていたのだろう。そんなことを思い出したのは、この本を読んだからだった。

資産一億円以上で相続税の申告が必要な人は、全人口の数%にすぎない。相続税の国税専門官である筆者によれば、彼らは超豪邸に住んでいるわけでも高級外車を乗り回しているわけでもないらしい。ITバブルのときの起業家のイメージはマスコミに作られたものだったのか。

預貯金や株式などの金融資産を持っている人ばかりではなく、不動産を持っている人は資産家だが、現金が手元にあるわけではない。

たしかに、億万長者にもいろいろある。
年収が一定程度を超えると、自分で使わずに寄付をする人が多いとも聞く。
子や孫に残すために、投資したりコツコツ不動産を買ったり、毎年贈与したりする人もいるのは知っている。

とにかく、自分が使う為では無く、他者のために使おうとするのだ。そんな人は隣にひっそりと暮らしていても不思議はない。ノウハウは隠されているのではなく、公開されているからだ。だれでも、コツコツと資産を貯める手法がこの本で紹介されている。

この本では、億万長者の最後も紹介されている。
いくら資産があろうとも人はいつか亡くなる。自宅に住んで世話をかけるより、高級な施設に入ってでも迷惑をかけないように考える億万長者も多いという。これは終活ビジネスでもあるが、少し寂しい話でもある。

億万長者も人の子。いくらお金があってもあの世には持っていけない。資産があれば遺言を残して親族の争いを防ぎ、自分の老後は自分で面倒を見る。子や孫がいてどんなにちやほやされても、いつも内面は孤独なのかもしれない。日本では医療機関や介護施設で亡くなる人が圧倒的に多いという。この本では資産を増やすためのノウハウや心構えが紹介されている。しかし、億万長者もそうでない人も同じ人間で、彼らの謙虚さを見習うべきだと訴えている気がした。

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