父が帰ってくると、愛する息子は眠っていた。
春風を受け止めて成長していた。

ヨルシカ晴るのPVが公開された。葬送のフリーレンの主題歌として有名だが、別の世界が広がっていた。

父が突然帰ってくると、息子はビイドロのような目で空を見上げ、父からの手紙を待っていた。手紙を交換していたことから、父は不慮の死を遂げたのだろう。かなりの時間が経過したのか、広がる晴れ空の描写が、どこか吹っ切れた様子が感じさせる。

しかし、吹っ切るまでには葛藤があったのだろう。空が晴れる前の雨の日は、土砂降りのように泣いていたこと。父の死が受け入れられず、壁に走り寄り、地面に感情をぶつける。遠く離れた父からの手紙をどんなに待っていたか。なぜ来なくなったのか。

父は息子を心配して追いかけ、事実を知る。息子にはもう何もしてやれないことを。もういないのだから。

それでも、雨のやまない日はない。息子は自分で立ち上がって、壁と向き合うのだ。これまで壁となって自分を守ってくれた父の匂いを感じて、春の風に触れる。目にはビイドロのような期待があふれる。手紙が届かなくなっても大丈夫。

雨が晴れて風が吹き、少年の心も春の温かさを取りもどす。いつしか守られていた壁を越えて、雲を超えていく。父の存在が彼を支え続けることだろう。

余談：晴るを葬送のフリーレンよりにも書いてみた。