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きみとぼくだけの場所。

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日常と恋愛を切り取った、とっても短い創作です。
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記事一覧

フォームが綺麗だねって、よく言われるの。
天井に全身を映すように、指先の先までしっかりと伸ばして。
おへその向こう、5mラインが見えたら4ストロークでターン。
今、ここに音はいらない。
生の証明でさえも切り込んだ流れに置き去って。
そこで見ていて。
アラームが終わりを告げるまで。

まち
1年前
10

油断が溶かした包み紙の裏を
見つからないように舐めているの。

あなたは、やっとのことで
形を保っていて。

どう触れたって
崩れてしまいそうなんだ。

それでも、味わうには充分だから。

体温が伝わるか、どうかの瀬戸際を
楽しむようにして。

まち
1年前
13

秘密が秘密でなくなっていくの。
1枚ずつ、脱がされてくような。

これ以上、ダメって思っても
どうしたってあらがえない。

どんなに取り繕おうとも、
君の前では無意味なんだ。

だから、突き刺して。
私を、みて。

まち
1年前
9

このスフレパンケーキは
いつまでふあふあでやらかくて
夢みたいに美味しいのだろうって
考えてるうちに

いちばん美味しい今を
食べちゃえば、いいのにね。

まち
1年前
8

くすぐってて欲しいんだ。ずっと。
言葉が、声が、指が
僕の心地良いとこを把握しているのは、
なんで?

もう、そんなのどこで覚えたのって
聞いちゃうよ?

結果、僕に還元されるのなら
なんでも許しちゃうんだろうけど。

涙すら愛おしい。
あー、これはわざと、だな。
ごめんね。

まち
1年前
6

ここに来た時のこと、覚えてるかな。
遠足のしおりみたくプログラム持って。

「はあ?なにこれめんどくせーw」

ホント素直な奴だな、君はw
声全部聴こえてますよ。

「んじゃ、後ほど現地集合で!」

手を繋いで飛び降りたの。
場所も日時も約束ないままに。

まち
1年前
10

君にさよならを言ったのは これで何度目だろう。 決してキライになったわけじゃ ないんだ。 こそこそ話して、くすくす笑って。 君とはそーいうのがいい。 どんな時代、国、場所に生まれようとも 間違いなく君のことは探し出せる。 それまでどうか。 小指だけ、つないでいて。

苦労して努力して・・
それでも少しずつしか変われない
なんて誰が決めた。

よく考えてみ、これまでのこと。
ほら、君がイメージした通りに
なってんじゃん。ある意味すごくね?

ホメオスタシスって、知ってる?
上等。
その壁を飛び越えて来いよ。
理想の自分に会う覚悟ができたならね。

まち
1年前
10

頭上近くをゆく、薄灰色の流氷たち。
東からのうねりを受けて激しく波打つ。
その中に一瞬見えた
反し、発ったばかりのC-2。少し太っちょ。
まるで、海に飛び込んだオウサマペンギンみたい。ほんとはシロナガスクジラ、なんだけど。

風はやがて、暖かな光を連れ
嘘みたいに消えちゃったの。

まち
1年前
8

君のことを
片時も忘れたことなんてない。
肌に馴染む感覚、
また、欲しくなってる。

天使みたいな君の髪を
くしゃくしゃにしながら
抱いてたい。

実は超おてんばなのも、知ってる。
俺くらいの猛獣使いでないと
務まんないだろ。

手を取ってよ。
君が同じ気持ちだったら、いいのに。

まち
1年前
8

ずっと、忘れられない人がいて。
子供の頃にはそんな感情、
なかったと思うんだけど。

彼は、夢の中で何度も私を起こしに来た。
いざ起きたらさ、もういないとか・・
ひどくない?

ねぇ、誰のために綺麗になろうと思ったか
知ってる?

キスをくれた王子様は、
ここにいなきゃ、やだよ。

まち
1年前
11

丸まって、つま先をきゅっとつかむと
自然とおひざにちゅーしてた。

このまま首まで浸かってぼんやり考えてよう。
今日は何してたかな。
ひとつ片付いたこと、良かったじゃない。

ふいに君とのやりとりを思い出したら
もう、のぼせそう。

あがって、グレープフルーツのオイル塗ろうっと。

まち
1年前
8

ひと口、ふた口。
新入社員の頃はそんなもの。

改めて口にすると、やっぱり苦い。
人間が本能的に危険を感じる味なんだもの
最初は苦手で当然だよね。

でも、この黄金色のグラスの中に
香ばしさ、旨み、香りも詰まってるって
知っちゃったから。

味わい深くなった自分に、乾杯しますか。

まち
1年前
10

青、ピンク、黄色。 その色合いは形を留めることなく ゆらぎながら、くるくると。 子供の頃に見たシャボンの油膜。 これ以上に綺麗なものを他に知らない。 まばたき呼吸を止めた私を、 きっとまだそこに閉じ込めたまま。 鼻先で弾けて、思わず目をつぶる。 明日は、君に会いたいな。