見出し画像

[銃規制]アメリカの銃問題について考える

春節に起きた悲劇

 2023年1月21日、ロサンゼル、モントレーパークにて夜10時30ごろ銃乱射事件が発生しました。そこはアジア人特に中国人が多く住む地域で僕の友達も近くに住んでいます。その日はLunar new year (春節)ということで多くの中国人がパーティーなどを開催しお祝いします。モントレーパークでもダンスクラブなどに多くの人が集まって春節を祝っていた矢先での事件とのことです。11人(2023年1月26日現在)の方が亡くなり、9人の方が負傷したとのことです。殺人者は逃走後、そこからかなり離れたTorranceで見つかり、警察に発見されたのと同時に自ら銃で命を絶ったとのことです。この殺人者は中国系とのことでアジア人を狙った「アジアンヘイト」とは関係が薄いかも知れませんが、犯人が自殺をした以上動機は謎です。他にも同じカリフォルニア州、サンフランシスコで23日に7人の犠牲者が出た銃乱射事件が、また春節の週末にはルイジアナ州、ミシシッピ州、イリノイ州ニューヨーク州でも発砲事件が相次ぎ多くの死傷者が出てるとのことです。

銃の現状

アメリカの銃の所持率は45%,で内訳としては「自宅に銃を置いている」が44%、「個人的に所有している」が32%。
KATHERINE SCHAEFFER (2021 September 13) "Key Facts about Americans and Guns"https://www.pewresearch.org/fact-tank/2021/09/13/key-facts-about-americans-and-guns/   
またアメリカ国内において銃は使えるもので約4億丁、ある専門家は約6億丁もあると指摘しています。https://www.gunviolencearchive.org 前嶋和弘(上智大学教授)
アメリカ人口が3億2000万人ですので銃の方が多くアメリカに存在してます。
また銃による事件数は年々増えており2021年では人が死傷した銃事件は690件にものぼっています。https://www.bbc.com/news/world-us-canada-41488081 深刻な銃での殺害事件が起きているのにも関わらずなかなか銃規制が進まないのは一体なぜなのでしょうか?

進まない銃規制

歴史

アメリカは250年前にできたとても歴史の浅い国ですので「建国神話」たるものがありません。ここでいう「建国神話」とはまさに「神の話」で日本だと天照大神が登場したり、北欧だと巨人が出てきたり、その国が神によって創造されたという神話です。しかしアメリカには(ネイティブアメリカンたちの神話を除くと)こういった神話が存在しません。そのため、広大な土地を切り拓いたフロンティアスピリットこそが神話となってくるのです。西部の街の治安を守るヒーローこそがまさにカーボーイであり、銃を持っているのです。自分たちの街は己で守る、そういった西武開拓時代の精神が今の銃規制の進まない実態としてあります。

憲法

銃規制が困難を極めている理由の一つに、憲法があります。合衆国憲法の修正第2条には「人民が武器を保有し、携行する権利は、これを侵してはならない」と定めてられています。アメリカ合衆国憲法では「銃の所持」が人権として認められているのです。その理由には上記に挙げた歴史的な背景があります。少し日本の話をすると、日本では銃ではなく刀があると思いますが、豊臣秀吉が反乱を恐れて特権階級だけに刀の所持を許した「刀狩」をしたことに由来していると言えます。また、アメリカには「大きな政府」と「小さな政府」という考えがあり、連邦政府を信頼しておらず州や街の自治は個人にあり、いつでも政府が腐敗した時は立ち向かえるようにと言った理由で銃の所持が憲法で認められているのです。トランプ支持者たちがホワイトハウスに押し寄せた時も、政府の不信(=選挙で不正をした)からくるものでした。銃規制の進まない背景にはそういったアメリカの自由とユナイテッドステイツという精神と密接に関わっているのです。

人種の問題

憲法とは言っても1791年に修正された内容です。それが今もなおアメリカの銃社会を規定しているのです。そしてこの修正した理由には黒人奴隷たちの反乱を防ぐためであったという指摘もあり、当時は奴隷は「人」としてみなされてはいないので憲法で示された人民に当てはまらないのです。そのため黒人が銃を持つことはありませんでした。そして悲劇的なことに、現在も銃の被害者は多くが黒人であり、平均して毎日3人が銃によって殺害されています。警察による射殺の多くも黒人であることがわかっています。

銃が人を殺すのではなく人が人を殺す

そのほかの理由には既得権益があります。その代表例として全米ライフル協会(NRA)の存在があります。NRAの公式な発表によるとアメリカ全土に500万位の会員がおり組織力と圧倒的な資金力を誇っている。そのため、政治的にも発言権を持っており、特に共和党の議員などにロビー活動を行いその地位を確かなものにしている。彼らのスローガンに"Guns don't kill people, people kill people"(銃が人を殺すのではない、人が人を殺す)彼らのロジックはナイフだろうと一本の裁縫針だろうと人が使い方を誤れば死に至ることができる。その時はナイフや針ではなく、その刺した人を責めるだろうという論理である。
他にもしみんなが銃を持っていれば牽制しあって被害は減ると考える人もいる。実際に銃乱射があった時に「どうして誰も撃ち返さなかったのか」と提言する人もいる。

銃規制が進まない背景にはこうした様々な要因が重なり合っているもので、解決にはより深刻なものである。「アメリカ」を語る上で欠かせないトピックである。

宣伝

そんな銃社会アメリカロサンゼルで大学院生をしてます。
その様子をYouTubeに上げてますのでぜひご覧ください!!!!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?