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購入本 #004 (2023年7月~8月頃)

2023年7月~8月頃の分。

爆買い回です。🔥🔥



大きい
増刷ありがたい



書籍の日付は発行日ではなく発売日。


画像①の本

📗朱喜哲『〈公正(フェアネス)〉を乗りこなす──正義の反対は別の正義か』太郎次郎社エディタス(2023年8月下旬)

正義は暴走しないし、人それぞれでもない──。

アメリカ大統領選挙から、日本の「道徳」の授業まで、現代において「正義」や「公正」といった「正しいことば」はどのように使われているかを検討。

ジョン・ロールズ、リチャード・ローティ、アイザイア・バーリン、ジュディス・シュクラー、アイリス・マリオン・ヤング、スタンリー・カヴェルなどの議論を参照しながら、「正しいことば」の使いこなし方をプラグマティズム言語哲学から探る。

「正しさ」とはなにかを考えるうえで、わたしたち自身の〝ことばづかい〞を通して「正しいことば」をとらえなおす画期的論考。

〈公正(フェアネス)〉を乗りこなす|太郎次郎社エディタス


📕ジョン・スラデック『チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク』鯨井久志(訳)、竹書房文庫、竹書房(2023年8月下旬)

狂機誕生
家事 殺人 絵画 強盗 経営
すべてをこなすロボット、それがチク・タク

* * * * * * * *

もはやロボットを使うことは当たりまえになった。家事から医療、さらにロボットの製造まですべての分野でロボットが使役されている。人間の安全のためにロボットたちにはロボット三原則を遵守させる「アシモフ回路」が組み込まれていた。

だが、チク・タクにはその回路が作動していなかった。ペンキ塗りをしていたチク・タクは少女を殺し、その血で壁に絵を描く。おかしなことにその壁画が美術評論家に評価され、チク・タクは芸術家のロボットとして世の注目を集める。使役から解放され金を手に入れたチク・タクは、人間への“実験”(殺人、強盗、扇動などなど)を開始する――。

奇才スラデックによる英国SF協会賞受賞作のロボット・ピカレスク。

チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク|文庫|竹書房 -TAKESHOBO-


📕『S-Fマガジン』2023年10月号、早川書房(2023年8月下旬)

特集「SFをつくる新しい力」監修:橋本輝幸
新型コロナウイルスの流行によりさまざまなコミュニティが断絶の危機に陥り、かつて交流の場だったSNSが求心力を失いつつあるなか、ジャンルを持続するため、私たちが新しいSF読者を温かく歓迎するにはどうすればいいのか――SFファン活動と、いまSF小説を読む若者に焦点を当てて、その動機や傾向を探った特集。

「マリのダンス」キム・チョヨプ/ユン・ジヨン訳、カン・バンファ監修
「隕時」王侃瑜/大久保洋子訳
「孤独の治療法」M・ショウ/鯨井久志訳
10~20代SF読者アンケート結果発表
特集解説 橋本輝幸
大学SF研座談会
東北大学SF・推理小説研究会×大阪大学SF研究会×京都大学SF・幻想文学研究会 
司会:大森 望
おすすめSF小説診断チャート 編集部
SF入門&偏愛ブックガイド
あわいゆき/大恵和実/大戸 又/岡野晋弥/蟹味噌啜り太郎/紅坂 紫/近藤銀河/佐倉きの/笹幡みなみ/下村思游/千葉 集/橋本輝幸/暴力と破滅の運び手/水上 文/三宅香帆/鷲羽 巧
SFファンたちはどう生きるか――SFじいさんの昔話 大野万紀
中国大学SF研の歴史 河流/楊 墨秋訳
若手によるSF活動 岡野晋弥/紅坂紫/あわいゆき/岡本隼一
最新インドSF状況 難波美和子

【読切】
「八は凶数、死して九天(前篇)」十三不塔
「カレー・コンピューティング計画」草野原々

【イベント採録】
『現実とは?――脳と意識とテクノロジーの未来』出版記念トークイベント
出演:藤井直敬、伊藤亜紗、安田 登

【連載】
「戦闘妖精・雪風 第五部〈第9回 因と果(承前)〉」神林長平
「空の園丁 廃園の天使3〈第19回〉」飛 浩隆
「マルドゥック・アノニマス〈第49回〉」冲方 丁
「ヴェルト」第一部第二章 吉上 亮
「小角の城〈第71回〉」夢枕 獏
「幻視百景〈第45回〉」酉島伝法

【連載コミック】
宮崎夏次系《短篇シリーズ》 第16回「呪文の多い料理店」

【SF作家×小説生成AI】
「コズミック・スフィアンシンクロニズム~小惑星レースで世界を救え!~」池澤春菜
メイキング&感想戦 池澤春菜×Sta(「AIのべりすと」開発者)

S-Fマガジン2023年10月号 | 種類,雑誌,SFマガジン | ハヤカワ・オンライン

◉購入のきっかけ
・山尾悠子(@marco9mx2)さんのツイート
・飛浩隆(@Anna_Kaski)さんのツイート
・橋本輝幸(@biotit)さんのツイート
など


📙荒木飛呂彦『The JOJOLands』第1巻、ジャンプコミックス、集英社(2023年8月中旬)

物語の舞台は、太平洋に浮かぶ火山の島、ハワイ。
オアフ島に暮らす少年ジョディオ・ジョースターは、「大富豪になる」という野望を胸に秘めていた。それは島での暮らしの中、彼が日々向き合わざるを得ない"この世の仕組み(メカニズム)"、その頂点に立つため!? そして、そのための手段に彼が選ぶのは…光と影が織りなす島々で予測不能の物語が幕を開ける――‼

The JOJOLands | ウルトラジャンプ


📙今井新『フラッシュ・ポイント』(2023年8月中旬)

2020年、椎間板ヘルニアを発症したことに背中を押され、ブラック企業を退職した30才、イマイ。
しっかりもので思いやりある妻が、文句も言わず、大学助手の仕事を続けているのをいいことに、自堕落な生活を送っていたのに、妻の妹で高校生のマシロちゃんが不登校になり、学校にゆかずに昼間イマイ家に入り浸るようになってしまう。

義妹を注意できる立場にないイマイは、大事に育てられて自由奔放なマシロちゃんに振り回され、ゲームに付き合わされたり、動画の撮影係にされ、あげくに、バズったり…!

そんな無職と不登校のコンビが、コロナ禍の日本を騒がす事件に遭遇し、炎上の渦中へと…

今井新「フラッシュ・ポイント」 - タコシェオンラインショップ

◉購入のきっかけ
?


📙八木ナガハル『人類圏』駒草出版(2023年8月中旬)

鬼才・八木ナガハルが描く衝撃のSF世界。
『無限大の日々』『時の闇の彼方に』などに続く、
待望の作品集第5弾!!

「廃墟の住人たち」「人類の品種改良事業団」「宗教デザイナー」ほか、宇宙と世界の神秘に迫る前代未聞のSFコミック満載!! 漫画にしか表現できないSFのかたちがここにある。(全7作収録)
八木先生による各作品の「解説コラム」も併録。

人類圏 - 駒草出版


📘輪島裕介『昭和ブギウギ──笠置シヅ子と服部良一のリズム音曲』NHK出版新書、NHK出版(2023年8月上旬)

ブギの女王&スウィングの申し子--音楽史を塗り変えたコンビのすべてがわかる
ポピュラー音楽史研究の第一人者が、服部家で長年眠っていた楽譜草稿などの貴重資料を渉猟し、「ブギの女王」と「スウィングの申し子」コンビが近代の芸能に遺した決定的な業績を書き尽くす。レコード中心、戦前と戦後を分断したものと見なす従来の批評通念に挑戦する「涙ぐましい」野心作。連続テレビ小説「ブギウギ」関連書の決定版。心ズキズキ踊りだす、連続テレビ小説「ブギウギ」関連書の決定版。

NHK出版新書 703 昭和ブギウギ 笠置シヅ子と服部良一のリズム音曲 | NHK出版


📕ダニイル・ハルムス『ハルムスの世界』増本浩子/ヴァレリー・グレチュコ(訳)、白水Uブックス、白水社(2023年7月下旬)

長くソ連では当局に禁止されていたものの、いまやロシアはもとより、欧米諸国でカルト的な人気を集めているダニイル・ハルムス。ロシア・アヴァンギャルドの終焉に燦然と輝くハルムスは、そのミニマルな文体、意味と無意味の戯れ、ユーモアと不条理で、「ロシア文学」のイメージを颯爽と覆す。
代表作である生前未刊行の短篇集『出来事(ケース)』と、訳者がセレクトした短篇38篇からなる旧版に、新たに訳出した10篇〈アンコール・ハルムス〉を加えた増補版として待望の復刊。岸本佐知子氏推薦!

U249 ハルムスの世界 - 白水社

◉購入のきっかけ
・岸本佐知子(@karyobinga)さんのツイート
・豊崎由美(@toyozakishatyou)さんのツイート


📘『90年代アニメ&声優ソングガイド』あらにゃん(監修)、はるのおと(編)、DU BOOKS(2023年7月下旬)

各種多様な音楽ジャンルを内包し、 進化を遂げたアニソン&声優ソングを90年代の名曲を中心に振り返る決定版。 アニソンDJのアンセムはもちろん、隠れた名曲もガイド。

90年代アニメ&声優ソングガイド/あらにゃん+はるのおと/名曲しかない! 音楽史に残したいエバーグリーンな600曲|DU BOOKS|ディスクユニオンの出版部門


📕レイ・ブラッドベリ『何かが道をやってくる』中村融(訳)、創元SF文庫、東京創元社(2023年7月下旬)

その年、ハロウィーンはいつもより早くやってきた。そしてジムとウィル、ふたりの13歳の少年は、一夜のうちに永久に子供ではなくなった。夜の町に現れたカーニヴァルの喧噪(けんそう)のなか、回転木馬の進行につれて、人の姿は現在から過去へ、過去から未来へ変わりゆき、魔女の徘徊する悪夢の世界が現出する。SFの叙情詩人を代表する一大ファンタジー。著者自身によるあとがきを付す。 著者あとがき=レイ・ブラッドベリ/訳者あとがき=中村融

何かが道をやってくる - レイ・ブラッドベリ/中村融 訳|東京創元社


📘クリストファー・スモール『ミュージッキング──音楽は“行為”である』(新装版)野澤豊一/西島千尋(訳)、水声社(2023年7月下旬)

音楽は、《作品》ではない、《実践》なのだ!
音楽を愛するすべてのひとに

既成概念を根底から転倒させ、わたしたちを《音の現場》へといざなう画期的な評論、待望の全訳。
____
musicking[mjúːzikiŋ]【名】
to music(音楽する)の動名詞形。
各自の立場を問わずに音楽的なパフォーマンスに加わること。演奏者やリスナー、ダンサーから、ローディー、チケットの売り子や清掃係などの裏方まで、その場に集うすべての者が《音楽》に参加し、《音楽》を共有し、《音楽》に貢献している、という考え。クリストファー・スモールによって提唱され、本書のタイトルとなり、世界各国で多くの支持を得ている。

blog 水声社 » Blog Archive » 7月の新刊:ミュージッキング――音楽は〈行為〉である

◉購入のきっかけ
・『音盤時代の音楽の本の本』音盤時代編集部(編)、カンゼン(2012年2月)の若尾裕さんの文


📗周司あきら/高井ゆと里『トランスジェンダー入門』集英社新書、集英社(2023年7月中旬)

トランスジェンダーとはどのような人たちなのか。
性別を変えるには何をしなければならないのか。
トランスの人たちはどのような差別に苦しめられているのか。
そして、この社会には何が求められているのか。
これまで「LGBT」と一括りにされることが多かった「T=トランスジェンダー」について、さまざまなデータを用いて現状を明らかにすると共に、医療や法律をはじめその全体像をつかむことのできる、本邦初の入門書となる。
トランスジェンダーについて知りたい当事者およびその力になりたい人が、最初に手にしたい一冊。

トランスジェンダー入門 – 集英社新書


📙かつしかけいた『東東京区区』第1巻、路草コミックス、トゥーヴァージンズ(2023年7月中旬)

「東京には“東”がある」
ムスリムの大学生・サラ、エチオピア人の両親を持つ小学生のセラム、不登校の中学生・春太。ルーツも年齢も区区(まちまち)な3人が東東京を歩き、新たな街の魅力を見つけ出す地元発見冒険譚!

【訪れたまち】
葛飾区立石、墨田区押上、葛飾区柴又、葛飾区新小岩、江戸川区小岩、江東区枝川、荒川区荒川 ほか

東東京区区1 - 路草


📙谷口菜津子『ふきよせレジデンス』下巻、ビームコミックス、KADOKAWA(2023年7月中旬)

📙谷口菜津子『ふきよせレジデンス』上巻、ビームコミックス、KADOKAWA(2023年7月中旬)

「第26回 手塚治虫文化賞」新生賞の著者が描く、「ひとり」たちの物語。

夢破れ、人間関係をリセットした配達員・リクは
変わっていく周りに焦燥感を覚えていた。
そんなリクの唯一の癒やしは、ちょっと変わったコンビニに勤めている店員のきらり。
明るくて可愛いギャルのきらりには、秘密があって……!?

これは、 「夢」と向き合い「日々」を思案する、あるアパートの住人たちの物語。

ふきよせレジデンス 上 | ビームコミックス | 月刊コミックビーム


📙黒田硫黄『ころぶところがる』少年サンデーコミックス、小学館(2023年7月中旬)

稀代の異才・黒田硫黄の驚愕の自転車漫画!

自転車の「自」は自由の「自」!!
『茄子』『セクシーボイス&ロボ』など唯一無二の世界観で熱烈なファンの多い黒田硫黄。
自転車雑誌の老舗・サイクルスポーツ誌上にて2021年1月号から2年に亘って連載していた偏愛的自転車漫画を纏めた驚愕の作品集!
黒田硫黄は自転車を漕いだ。漫画を漕いだ。自由に漕いだ。
新宿区の坂を登り、火星の山を下り、天竺までの道のりを自転車を転がした。
果てしのない自転車の旅が詰まった、これぞ黒田硫黄の漫画だ!

ころぶところがる | 黒田硫黄 | 【試し読みあり】 – 小学館コミック


📕ジェイムズ・P・ホーガン『星を継ぐもの』(新版)池央耿(訳)、創元SF文庫、東京創元社(2023年7月上旬)

月面で発見された、真紅の宇宙服をまとった死体。綿密な調査の結果、驚くべき事実が判明する。死体はどの月面基地の所属でもないだけでなく、この世界の住人でさえなかった。彼は5万年前に死亡していたのだ! いったい彼の正体は? 調査チームに招集されたハント博士は壮大なる謎に挑む。現代ハードSFの巨匠ジェイムズ・P・ホーガンのデビュー長編にして、不朽の名作! 第12回星雲賞海外長編部門受賞作。解説=鏡明

星を継ぐもの - ジェイムズ・P・ホーガン/池央耿 訳|東京創元社


📗宮田登『霊魂の民俗学──日本人の霊的世界』ちくま学芸文庫、筑摩書房(2023年7月上旬)

出産・七五三・成人・結婚・葬送など日本人が経験する人生儀礼や、各地に伝わる習俗や祭りのなかには、いかなる「霊魂観」が反映されているのだろうか。本書は、ミロク信仰から都市伝説までの多様な事例とともに、霊魂という実在が「この世」と「あの世」のあいだを往還するという日本独特の世界像と、その移動にともなって不安定になる霊魂をおちつかせるためにも儀礼が必要とされたことを説く。迷信の一言では片づけられない、日本の生活文化にいまも息づくアニミズム的心性を解明した宮田民俗学の真髄。講演記録を中心に編集された、平明な語り口による一冊。

筑摩書房 霊魂の民俗学 ─日本人の霊的世界 / 宮田 登 著


📙町田粥『発達障害なわたしたち』第1巻、フィールコミックス、祥伝社(2023年7月上旬)

ダ・ヴィンチ・恐山(品田遊)氏推薦!!!
ーー「自分」という暴れ馬に振り落とされそうな人たちへ。ここに仲間がいます。ーー

「発達障害って何ですか?」
「何に困ってるんですか?」
大人の発達障害当事者へのインタビューで紐解くコミックエッセイ!

軽度のADHD(注意欠如・多動性障害)と診断された漫画家と担当編集者が、
大人の発達障害について当事者たちへインタビュー!
漫画家・カメントツ先生や、女性当事者に聞くASD(自閉症スペクトラム)のお話も。

【困りごとの一例】
・片付けができない
・ケアレスミスや物忘れが多い
・対人関係が苦手
・特定の手順を繰り返すことにこだわる … etc.

どこか心当たりがある人にはもちろん、ない人にこそ読んでほしい「大人の発達障害」の入門書。
『マキとマミ ~上司が衰退ジャンルのオタ仲間だった話~』、
『吉祥寺少年歌劇』の町田粥による、初めてのコミックエッセイ!

発達障害なわたしたち 1巻 | 株式会社シュークリーム

◉購入のきっかけ
・ダ・ヴィンチ・恐山(@d_d_osorezan)さんのツイート?


📘アンドリュー・シャルトマン『「スーパーマリオブラザーズ」の音楽革命──近藤浩治の音楽的冒険の技法と背景』樋口武志(訳)、DU BOOKS(2023年7月上旬)

「スーパーマリオ」の音楽に関する初の論考本。
いまこそ知っておきたい、その音楽の秘密。
クラシックなどの学術論文を書いてきた音楽研究家が、わかりやすく解説。
ゲーム・サウンドトラックの歴史を変えた近藤浩治の作曲術とは?

「スーパーマリオブラザーズ」の音楽革命/Andrew Schartmann / アンドリュー・シャルトマン/近藤浩治の音楽的冒険の技法と背景|DU BOOKS|ディスクユニオンの出版部門


📗小野寺拓也/田野大輔『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?』岩波ブックレット、岩波書店(2023年7月上旬)

「ナチスは良いこともした」という言説は、国内外で定期的に議論の的になり続けている。アウトバーンを建設した、失業率を低下させた、福祉政策を行った――功績とされがちな事象をとりあげ、ナチズム研究の蓄積をもとに事実性や文脈を検証。歴史修正主義が影響力を持つなか、多角的な視点で歴史を考察することの大切さを訴える。

検証 ナチスは「良いこと」もしたのか? - 岩波書店

◉購入のきっかけ
・吉川浩満(@clnmn)さんのツイート


📕大濱普美子『猫の木のある庭』河出文庫、河出書房新社(2023年7月上旬)

日常に忍び入る不穏、白昼夢のような現実。翳りが誘う不気味で静謐な幻想譚6篇を収録。第50回泉鏡花賞受賞作家のデビュー作品集『たけこのぞう』を改題の上、文庫化。

猫の木のある庭 :大濱 普美子|河出書房新社


画像②の本

📕乗代雄介『それは誠』文藝春秋(2023年6月下旬)

第169回芥川賞候補作に選ばれた、いま最も期待を集める作家の最新中編小説。修学旅行で東京を訪れた高校生たちが、コースを外れた小さな冒険を試みる。その一日の、なにげない会話や出来事から、生の輝きが浮かび上がり、えも言われぬ感動がこみ上げる名編。

『それは誠』乗代雄介 | 単行本 - 文藝春秋BOOKS


📗細馬宏通『フキダシ論──マンガの声と身体』青土社(2023年6月下旬)

こんな読み方があったのか!
平面に一色で、主に単線で描かれるマンガ。時に登場人物の顔は簡略化され、時にコマに発話者が描かれず、時に発されていない言葉までも描かれる……。わたしたちはいかにしてマンガのなかの出来事に注意を向け、物語を読みとっているのか。一コマ一コマ、一つひとつのフキダシ・記号たちをていねいに紐解き、わたしたちがマンガの世界観に入り込めるカラクリに迫る、新しい見方を提示するマンガ論。

青土社 ||批評/文明論:フキダシ論


📘グレッグ・テイト『フライボーイ2──ブラック・ミュージック文化論集』山本昭宏ほか(訳)、ele-king books、Pヴァイン(2023年5月)

本邦初訳となる、
「ヒップホップ・ジャーナリズムのゴッドファーザー」
と呼ばれた黒人批評家による博覧強記の代表作!

ジョージ・クリントンの “メタなバカさ” が
アミリ・バラカの “変わっていく同じもの” へと放り込まれ
フリー・ジャズもマイケル・ジャクソンもギャングスタ・ラップも
ジェイムズ・ブラウンもトニ・モリスンも、すべては同一線上で語られる。

アミリ・バラカ、ギル・スコット=ヘロン、マイケル・ジャクソン、チャック・ベリー、ジミ・ヘンドリックス、アイス・キューブ、アート・アンサンブル・オブ・シカゴ、トニ・モリスン、ジェイムズ・ブラウン、ウータン・クラン、スパイク・リー、フランツ・ファノン、ボブ・ディラン、エミネム、アウトキャスト、リチャード・プライヤー、アジーリア・バンクス、グレイス・ジョーンズ、チャカ・カーン、ジョン・コルトレーン、ブラックスプロイテーション、サン・ラー、ジョージ・クリントン、ラメルジー、ラルフ・エリスン……「ヒップホップとは何か?」「もしもジェイムズ・ブラウンがフェミニストだったら」「ウォール街占拠に黒人女性が少なかった理由」「“ニガ” チュード」「“ニガー” はいかにしてジョークを手に入れたか?」「アフロ・フューチャリズム」

フライボーイ2──ブラック・ミュージック文化論集 グレッグ・テイト(著/文) - Pヴァイン | 版元ドットコム


📘吉田秀和『音楽家の世界──クラシックへの招待』河出文庫、河出書房新社(2023年5月)

戦後まだ日の浅い一九五〇年刊の、クラシックの魅力をやさしくかつ深く伝える決定版の待望の文庫化。クープラン『クラブサン組曲』からショスタコーヴィチ「第5」まで、53人の66曲。究極の名曲入門。

音楽家の世界 :吉田 秀和|河出書房新社


📕ウラジーミル・ソローキン『新装版 ロマン』望月哲男(訳)、国書刊行会(2023年2月)

【国書刊行会 創業50周年記念復刊】
《現代ロシア文学のモンスター》ソローキンの傑作長編が復活!!

〈彼女が目を上げ、二人の目は出会った。「どうか教えて下さい」彼女の視線に胸の内に熱い波がわきたち、思わず身が震えるのを感じながら、ロマンは言った。「教えて……」彼が繰り返すと、彼女はすべてを悟ってまた目を外した。その頬がさっと赤く染まった。「ああ、なんと早く!」ロマンの頭にそんな思いがよぎった……〉

優秀な弁護士としての首都での暮らしにピリオドをうった青年ロマンは、画家として第二の人生を歩むために、故郷の村クルトイ・ヤールへと戻ることにした。旧知の友や親類に囲まれた素晴らしく愉快な日々。都会では忘れていた人間としての生活に、彼は大きな喜びを感じる。そして、やがて彼は運命の女性にめぐり会う……

「現代文学のモンスター」の異名をとる作者が、ツルゲーネフ、チェーホフ、ゴーゴリといった十九世紀ロシア文学の精髄を戯画化しながら描く、衝撃のスプラッター・ノヴェル。



「創造的破壊とはこのことか。
文学界きってのデストロイヤーが小説《ロマン》をぶっ壊し、フィクションの未来を切り拓く衝撃的な大傑作」
――豊崎由美(書評家)

ロマン|国書刊行会

◉購入のきっかけ
・豊崎由美(@toyozakishatyou)さんのツイート


📗矢野智司/佐々木美砂『絵本のなかの動物はなぜ一列に歩いているのか──空間の絵本学』勁草書房(2023年2月)

絵本という空間はどのように構成されていくのか。動物たちが塔になり、クライマックスでの崩壊を経て、元の状態へと戻る均衡回復の物語は、積み木の重なりが崩壊するのと同じ知覚体験をもたらす。「空間構成のプロセス」の観点から、絵本特有のパターンを読み解き、絵本が読者にいかなる体験を生みだすのか、人間学をもとに考察する。

絵本のなかの動物はなぜ一列に歩いているのか - 株式会社 勁草書房

◉購入のきっかけ
・【ニコニコ生放送】PLANETSチャンネル「石岡良治の最強伝説 vol.64 テーマ:2023年春アニメ総括」(2023年7月28日)


📗竹内早希子『巨大おけを絶やすな!──日本の食文化を未来へつなぐ』岩波ジュニア新書、岩波書店(2023年1月)

しょうゆ、みそ、酒など、日本の伝統調味料づくりに欠かせない巨大な木おけ。つくれる職人がいなくなる! 「しょうゆ屋が、おけつくったら、おもろいやん!」――立ち上がったのは小豆島のしょうゆ蔵。最後の職人に弟子入りし、次々に降りかかる困難を乗り越えて、おけづくりの輪を全国に広げた奇跡の奮闘記。

巨大おけを絶やすな! 日本の食文化を未来へつなぐ - 岩波書店


📕マリー・ルイーゼ・カシュニッツ『その昔、N市では』酒寄進一(訳)、東京創元社(2022年9月)

兄は船旅に出る妹を見送ったが、それは彼女が乗る予定の船ではなかった。ひと月後、妹から手紙が届く。彼女は、その船では日付も時刻も現在位置も確認できないと書いていた。手紙を読み進めるにつれ、その内容はさらに常軌を逸していき……(「船の話」)。ある日突然、部屋の中に謎の大きな鳥が現れる。“わたし”は、なぜか外にでていかない鳥の正体を突き止めようとするが……(「ロック鳥」)。旅行から帰ったら、自分が死んだとアパートの住人に触れまわった女がいたという奇妙な話を聞かされる(「六月半ばの真昼どき」)。大都会N市では、死体から蘇生させられた“灰色の者”たちが、清掃や介護などの労働を人間の代わりに行っていた。彼らに生前の記憶は一切なく、恐怖も希望も憎悪も持ち合わせていない。しかしある時、“灰色の者”たちにすさまじい変化が訪れ……(「その昔、N市では」)。

日常に忍びこむ奇妙な幻想。背筋を震わせる人間心理の闇。懸命に生きる人々の切なさ。戦後ドイツを代表する女性作家の粋を集めた、全15作の日本オリジナル傑作選!

その昔、N市では カシュニッツ短編傑作選 - マリー・ルイーゼ・カシュニッツ/酒寄進一 編訳|東京創元社

◉購入のきっかけ
・【Youtube】ALL REVIEWS公式チャンネル「【無料生放送】第3回みんなのつぶやき文学賞結果発表会」(2023年3月19日)の山本貴光さんの話


📕古谷田奈月『フィールダー』集英社(2022年8月)

迎え撃て。この大いなる混沌を、狂おしい矛盾を。
「推し」大礼賛時代に、誰かを「愛でる」行為の本質を鮮烈に暴く、令和最高密度のカオティック・ノベル!

総合出版社・立象社で社会派オピニオン小冊子を編集する橘泰介は、担当の著者・黒岩文子について、同期の週刊誌記者から不穏な報せを受ける。児童福祉の専門家でメディアへの露出も多い黒岩が、ある女児を「触った」らしいとの情報を追っているというのだ。時を同じくして橘宛てに届いたのは、黒岩本人からの長文メール。そこには、自身が疑惑を持たれるまでの経緯がつまびらかに記されていた。消息不明となった黒岩の捜索に奔走する橘を唯一癒すのが、四人一組で敵のモンスターを倒すスマホゲーム・『リンドグランド』。その仮想空間には、橘がオンライン上でしか接触したことのない、ある「かけがえのない存在」がいて……。

児童虐待、小児性愛、ルッキズム、ソシャゲ中毒、ネット炎上、希死念慮、社内派閥抗争、猫を愛するということ……現代を揺さぶる事象が驚異の緻密さで絡まり合い、あらゆる「不都合」の芯をひりりと撫でる、圧巻の「完全小説」!

フィールダー/古谷田 奈月 | 集英社 ― SHUEISHA ―

◉購入のきっかけ
・【Youtube】ALL REVIEWS公式チャンネル「【無料生放送】第3回みんなのつぶやき文学賞結果発表会」(2023年3月19日)の山本貴光さんと倉本さおりさんの話

・「倉本さおり×山本貴光×米光一成  古谷田奈月『フィールダー』をめぐる、ディープ・ダンジョン・ディスカッション【前編】」集英社 文芸ステーション(2022年11月)
https://www.bungei.shueisha.co.jp/interview/fielderteidan-1/


📕高原英理『日々のきのこ』河出書房新社(2021年12月)

「まるまるとした茶色いものたちが一面に出ていて、季節だなと思う。どれもきのこである」(「所々のきのこ」より) ーー奇才が贈る新たなる「きのこ文学」の傑作、誕生。

岸本佐知子さん、最果タヒさん推薦。
ブックデザイン=名久井直子さん、装画=ヒグチユウコさん。
気づけば読者は、この世界に縦横無尽に広がった見えない胞子に侵食される――。
高原英理が拓く「文学」の新たな地平にして、極上の「きのこ小説」。

【推薦文】
「ばふんばふん、ぽこんぽこん、がやがやごよごよ。きのこの放つかわいい・こわい・安心の胞子が世界人類に満ちますように。」――岸本佐知子さん

「きのこ。きのこは変な生き物。でも、きのこより、変な人がいっぱいいるって、私は人なのに思う。私もきのこなのかも。」――最果タヒさん

日々のきのこ :高原 英理|河出書房新社

◉購入のきっかけ
・【Youtube】ALL REVIEWS公式チャンネル「【無料生放送】第2回みんなのつぶやき文学賞結果発表会」(2022年3月13日)の橋本輝幸さんと倉本さおりさんの話


📘五十嵐正『ザ・バンド 全曲解説』シンコーミュージック(2021年10月)

アメリカの歴史と神話にまで入り込むザ・バンドの名曲群
その世界を読み解き、理解を深めるための手引書が登場!!

アメリカン・ロックの最高峰、ザ・バンド。彼らの米国再発見の旅を辿り直す待望のガイドブックが登場! ボブ・ディランと共にアメリカン・ロックを作り上げた偉大なる5人、ザ・バンドは、エリック・クラプトンやジョージ・ハリスンを筆頭に、多くのミュージシャンの人生を変えたグループでもある。本書では彼らが残した名曲の数々をひとつずつ詳細に解説。予備知識なしでは理解が難しかった歌詞の背景についても、わかりやすく解き明かしていく。
また、著者がこれまで取材してきたメンバーの貴重なインタビューも一挙再掲載。豊穣なルーツ・ロックでアメリカのヴィジョンを探し求めたザ・バンドの道のりを辿る、研究書の決定版!!

ザ・バンド 全曲解説 | シンコーミュージック・エンタテイメント  |  楽譜[スコア]・音楽書籍・雑誌の出版社


📙ともひ『ゆうやけトリップ』第1巻、FUZコミックス、芳文社(2021年3月)

墓下トンネル、ループ階段、生首神社の鳥居――ふたりで歩けば、怖くない!近頃、学校で噂される「ご町内心霊スポット」の取材を任されてしまった新聞部の茜は、放課後の教室に一人残っていた物静かな転校生の雨村さんに声をかける。その日から、夕焼け色に染まった階段と坂の町を巡る「ふたりだけ」の特別な時間が始まった―。懐かしくて切ない、優しい世界の怪談漫画!

ゆうやけトリップ│漫画の殿堂・芳文社


📗藤野裕子『民衆暴力──一揆・暴動・虐殺の日本近代』中公新書、中央公論新社(2020年8月)

現代の日本で、暴動を目撃する機会はまずないだろう。では、かつてはどうだったのか。本書は、新政反対一揆、秩父事件、日比谷焼き打ち事件、関東大震災時の朝鮮人虐殺という四つの出来事を軸として、日本近代の一面を描く。権力の横暴に対する必死の抵抗か、それとも鬱屈を他者へぶつけた暴挙なのか。単純には捉えられない民衆暴力を通し、近代化以降の日本の軌跡とともに国家の権力や統治のあり方を照らし出す。

民衆暴力―一揆・暴動・虐殺の日本近代 -藤野裕子 著|新書|中央公論新社

◉購入のきっかけ
・関東大震災から100年
・「新書大賞2021」『中央公論』2021年3月号、中央公論新社(2021年2月10日)
・【ラジオ】TBSラジオ『荻上チキ・Session-22』(2020年9月22日)
https://www.tbsradio.jp/archives/?id=p-520766
など


📗笹山晴生/佐藤信/五味文彦/高埜利彦ほか 『詳説日本史 改訂版』(日B309)山川出版社(2017年4月)

山川の日本史の教科書。


📗保坂展人『相模原事件とヘイトクライム』岩波ブックレット、岩波書店(2016年11月)

2016年7月に起こった相模原事件は,重度の知的障害者が襲撃され,19名が亡くなるという戦後最悪の被害を出した.怒りと悲しみが渦巻くなかで,加害者の障害者抹殺論を肯定する声も聞かれている.日本社会に蔓延する差別意識が最も残酷な形で現れたのが相模原事件だったのではないか.事件の本質を探り,障害者差別の根を断つ方途を考える.

相模原事件とヘイトクライム - 岩波書店

◉購入のきっかけ
・小池陽慈さんのツイート


📕ホセ・ドノソ『別荘』(ロス・クラシコス)寺尾隆吉(訳)、現代企画室(2014年8月)

ガルシア=マルケスと並ぶ「ラテンアメリカ文学ブーム」の立役者、
チリの巨匠の代表作、待望の邦訳!!

1973 年チリ・クーデタに触発されたドノソが、類い希なる想像力を駆使し、
偏執的とさえいえる緻密な構成で書き上げた、理屈抜きに面白い傑作。
後続する作家や世界の批評家たちを今なお魅了しつづける、ラテンアメリカ文学の金字塔。

とある小国の政治・経済を牛耳るベントゥーラ一族の人びとが毎夏を過ごす、異常な繁殖力をもつ植物グラミネアと、「人食い」原住民の集落に囲まれた別荘。ある日、大人たちが全員ピクニックに出かけ、別荘には33 人のいとこたちだけが取り残された。日常の秩序が失われた小世界で、子どもたちの企みと別荘をめぐる一族の暗い歴史が交錯し、やがて常軌を逸した出来事が巻きおこる……。「悪夢」の作家ホセ・ドノソの、『夜のみだらな鳥』と並ぶ代表作にして、二転、三転する狂気をはらんだ世界が読む者を眩惑する怪作。

「ロス・クラシコス」:スペイン語圏文学の古典的名作を紹介する現代企画室の海外文学新シリーズ。企画・監修=寺尾隆吉

現代企画室

◉購入のきっかけ
・佐々木敦(@sasakiatsushi)さんの昔のツイート


📗加藤直樹『九月、東京の路上で──1923年関東大震災ジェノサイドの残響』ころから(2014年3月)

関東大震災の直後に響き渡る叫び声
ふたたびの五輪を前に繰り返されるヘイトスピーチ
1923年9月、ジェノサイドの街・東京を描き
現代に残響する忌まわしい声に抗う――
路上から生まれた歴史ノンフィクション!

九月、東京の路上で|ころからの本|「Small & Tough」な出版社 ころから

◉購入のきっかけ
・関東大震災から100年
・【ラジオ】TBSラジオ『アフター6ジャンクション』(2022年9月1日)
・【ラジオ】TBSラジオ『アフター6ジャンクション』(2021年9月1日)
など


画像③・④の本

📙大友克洋『Fire-Ball』(OTOMO THE COMPLETE WORKS)講談社(2023年7月下旬)

大友克洋が24―25歳の頃、1978─1979年にかけて制作した12篇の短編漫画を発表順に収録した作品集。翌年の1980年には『童夢』や『気分はもう戦争』を発表し始める著者の才能が世間に轟く前夜、その胎動の如く完成度を上げていく短編の数々は一作ごとに趣向を変え、驚異の多面体を形成する。特に表題作の『Fire-Ball』は、それまでリアル路線の人間ドラマを中心に作品を紡いできた著者がSFという新たなジャンルに開眼した重要作。後の『童夢』『AKIRA』に直結する「超能力」を描き、それまでと作風を一変させた壮大なスペクタクル描写は、著者にとってのマイルストーンとなった。収録作の内訳は『ショート・ピース』(1979年/奇想天外社)より2篇、『ハイウェイスター』(1979年/双葉社)より4篇、『GOOD WEATHER』(1981年/綺譚社)より3篇、『彼女の想いで…』(1990年/講談社)より表題作を含む2篇。さらにこれまで未収録だった幻の短編『遠い祭り』が待望の初・単行本収録。また従来の短編集ではモノクロ化されていた着色原稿も、すべてカラーにて完全に復刻。著者自身による解説も読み応え充分の完璧版!

『Fire-Ball』(大友 克洋)|講談社コミックプラス


📙大友克洋『銃声』(OTOMO THE COMPLETE WORKS)講談社(2023年7月下旬)

17―19歳、未成年期の大友克洋が、学生投稿者時代からプロデビュー後までの1971年―1974年にかけて制作した11篇の短編漫画を、制作/発表順に収録した初期作品集。
1973年「漫画アクション8月4日増刊号」掲載の『銃声』にて、弱冠19歳でデビューした著者・最初期の短編7篇は、いずれも過去の単行本に収録されたことが無いため、短編集『ショート・ピース』所載の作品リストでタイトルを見たことはあっても実物を目にした者は少ないという、文字どおり“幻の初期作品”である。
本書は、それら全てを初収録するのに加え、完全な未発表作として4篇、デビュー前に描かれた習作や投稿作を収録している。
これらは、原稿が現存していたことも奇跡的であるが、こうした未発表作品の収録を著者が許可すること自体も「全集」企画ゆえの特例的措置であり、本書の実現は、まさに「半世紀に一度の奇跡」と言えよう。
粗削りで拙い未熟な作品集と侮るか、瑞々しい感性と10代の少年とは思えぬ老成ぶりを併せ持つ「恐るべき子供」の表現に戦慄するか、それは読み手次第だが、のちに、その名を世界に轟かす創作者が、世に生まれ出でた瞬間と、その前後を記録した“唯一無二のドキュメント”としても、本書の価値は計り知れない。
このデビューから僅か10年後の1983年に、あの『AKIRA』を描き始めるに至る、まだ無名の“怪物”の産声が今! 遂に!! ここに甦る!!!

『銃声』(大友 克洋)|講談社コミックプラス


📙豊田徹也『ゴーグル』アフタヌーンKCDX、講談社(2012年10月)

「アンダーカレント」「珈琲時間」というロングセラーを生んだ豊田徹也はじめての短編集。単行本未収録だった表題作、ファン待望の『ゴーグル』ほか、月刊アフタヌーンにて発表された、感動あり、笑いあり、そのどちらでもない微妙なものありのバラエティー豊かな中短編が楽しめます!

『ゴーグル』(豊田 徹也)|講談社コミックプラス


📙豊田徹也『珈琲時間』アフタヌーンKC、講談社(2009年12月)

人類を魅了し続けてきた飲み物、コーヒーにまつわる様々なストーリー17話。Ja pan Expo第3回ACBDアジア賞輝き、アングレーム国際バンドデシネフェ スティバル2009年公式セレクション出品作品の『アンダーカレント』作者の豊田 徹也が贈る、人間ドラマありコメディーありSFありハードボイルドありの短編集です。


チェロ弾きの女性が出会った、怪しいイタリア人(?)。映画監督を名のり、コー ヒーをたかる彼の振る舞いはいかにもうさんくさいが……? 登校拒否の少女が一人 暮らしの叔母を訪れ、いっしょに生豆を焙煎し淹れたてのコーヒーを味わう……。な どコーヒーにまつわる様々な物語を17編収録。

『珈琲時間』(豊田 徹也)|講談社コミックプラス


📙豊田徹也『アンダーカレント』アフタヌーンKCDX、講談社(2005年11月)

ほんとうはすべて知っていた。心の底流(undercurrent)が導く結末を。夫が失踪し、家業の銭湯も手につかず、途方に暮れる女。やがて銭湯を再開した女を、目立たず語らずひっそりと支える男。穏やかな日々の底で悲劇と喜劇が交差し、出会って離れる人間の、充実感と喪失感が深く流れる。 映画一本よりなお深い、至福の漫画体験を約束します。 「今、最も読まれるべき漫画はこれだ!すでに四季賞受賞作で確信していたその物語性と演出力に驚く。豊田徹也は心の底流に潜む、なにかの正体を求めるように静かに語る。」――(谷口ジロー)

『アンダーカレント』(豊田 徹也)|講談社コミックプラス




9月〜10月頃の分も近いうちにまとめる~!



2023年6月以前の購入本


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