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ふさわしい不倫(27)

美瑛、富良野の2泊3日旅行は草原をドライブして、夜は森の中のホテルでゆっくり過ごした。
あゆみも最近気になる男性がいることや息子の将来のこと、老後のことなど、思いつく限りに話してくれた。
北海道の自然も良かったけど、何でも話せる友達と旅ができたことが本当に良かった。

千歳空港でたっぷりお土産を買って、東京駅であゆみと別れた。
次に会うのは、半年か、一年後かもしれない。

中央線に乗ると、平日の昼は空いていて座れた。
YouTubeで適当にニュースを観る。
ひき逃げ、強盗、詐欺、不倫…
見たいニュースは特にない。
明日から仕事だし、あー、いやだ。

電車を乗り継ぎ最寄駅に着いて、完全に日常の風景に戻る。
駅から徒歩15分のマンションに着く頃には、日が落ち始め空がオレンジがかっていた。

寂しい。
家に着いたら、また1人か…

たくさんのお土産の袋を持っていたため、マンションのオートロックでもたつき、住人を待たせてしまう。
すみませんと小さく頭を下げると、パーカーを着た青年が荷物を持ちましょうかと言ってくれた。
かなり若い子だけど、普段からマンションの住人とは接触していないため、また小さく頭を下げて断り、エレベーターで2階の部屋に向かった。

部屋に着くと、玄関でお土産やボストンバッグを降ろす。

すると、後から背中を強く押され、ドタっとお土産の上に手をついて倒れた。
カチャリと鍵をかける音。

息をのんで振り返ると、そこには先ほどの青年が立っていた。

(つづく)



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