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ふさわしい不倫(23)

秘密や刺激的な体験を共有した相手を好きになっているだけかもしれない。

ジェットコースターに乗ったとき、その恐怖のドキドキと、恋愛のドキドキを混同して、隣に乗った異性を好きになってしまう現象があると聞いたことがある。

大地にも、そういう錯覚を起こしているのかもしれない。

そんな単純なもの?
衝動的な初恋みたい。
40歳にもなってそれはないか。

誠実で優しい人を好きになる人は、恋愛に安らぎを求めていて、
予想外のことをする人を好きになる人は、恋愛に刺激を求めている。

私も安心な恋愛がしたい。

なのに、なぜ私は不倫なんかしているの?
なぜ大地なんかを好きだと思うんだろう。

でも、不思議なことに、大地には安らぎを感じている。

ちゃんと告白してくれて、浮気はしないと言ってくれて、毎日ラインをくれる彼と過ごすとき、私は落ち着かない。

安心安全をくれる彼といても、落ち着かない。

私の心は困った顔をしている。

なぜなんだろう。

彼に私の素直な考えを伝えたら、ありのままの私を見せたら、彼は怒り出すような気がするからだ。

15歳くらいから、ずっと繰り返している。
付き合う男性に対して、
いや、男性だけじゃなくて家族にも、
取り繕ってしまう自分がいる。

誰といても、心の底から笑っていない。
変に思われるのではないかと、相手の様子をみてばかりいる。

大地は私を変に思うどころか、変な方に引き込もうとしてくる男だ。
不倫させたり、不倫なのに自分の家に泊めさせたり、子どもに会わせたり、カップル喫茶に連れて行ったり、どうかしてる。

だからこそ、大地の胸の中では、安心して、すやすやと眠れるんだと思う。

(つづく)


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