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ベビーニットの理想と現実

「ベビーニットは実用的じゃない」

子供に手編みのニットを着せてみて、思ったことです。編み物が好きな私たちにはショッキングな事実でした。妊娠中にいそいそと編んだものが、使えなかったときのショックといったら…

でも、手編みのニットを着ているあかちゃんのかわいさは、何にも代えがたいですよね。それに、あかちゃんの事を思ってベビーニットを編む時間は幸せに満ちています。その気持ちと文化はずっと残したいです。

そんなふうに理想と現実のはざまで迷った結果、「ベビーニットは実用的じゃないけど、そのかわいさと尊さは不便さを上回るはず。だからポイントをおさえて編んでいこう」と思いました。

この記事では

・具体的に、どのへんが実用的じゃないのか

・こうすればよかったという反省点、解決策

・意外と役に立ったアイテム

を書いていこうと思います。これからベビーニットを編むかたの参考になれば嬉しいです。

ブランケット

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かぎ針モチーフや、ふわふわ素材のブランケット。生まれたばかりの赤ちゃんがニットのブランケットにくるまれている姿は、見ているだけで幸せな気持ちになります。

でも、大きいブランケットは新生児期、ほとんど使用しませんでした。窒息が怖かったのです。衣服で調整したり、スリーパーを着せたりしていました。汚れた時に洗濯が大変というデメリットもあります。新生児は想像以上に汚すんですよね。

大きくて重いニットブランケットは、使わない可能性が高いかもしれません。

対して、小さなブランケットはとても便利でした。

特にベビーカーに掛けられるサイズ(80×80㎝くらい)は、寒い日のお出かけに重宝しました。ベビーカーに固定できるひもやボタンがついてるとより便利だと思います。

帽子

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帽子を編んであげたのは生後5か月。その頃はおとなしくかぶってくれていたのですが…

手先が器用になってきた8か月以降、とにかく脱ぐ!捨てる!泣く!

全然かぶってくれなくなりました。

編むなら、ひもやベルトで止まるデザインにする、なるべく肌ざわりに気をつけるなど、工夫が必要だと思いました。
あと、冬は耳あて付きがあったかいのでおすすめです。

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ひもよりボタンのほうが、さっと留めれるのでラクでした。※ボタンは誤飲の危険もあるので、しっかりつけて下さい。
穴が大きいもの・まん丸ではない形のものは窒息防止になります。

ちなみに夏は頭に汗をたくさんかくので、布の帽子一択でした。洗濯しやすく、日よけ効果もあります。

靴下

国や地域にもよるとおもうのですが、あかちゃんは基本的に靴下いらないそうです。

赤ちゃんは手足で体温調節するので、靴下を履くことで熱がこもりすぎる事があるそう。季節関係なく、室内では靴下を履かなくても大丈夫です。

特に寝る時に靴下を履く事は、乳幼児突然死症候群(SIDS)につながる危険性が指摘されているようです。同じ理由で足つきロンパースも寝る時にはよくないそうです。

…というわけで、新生児〜1歳で靴下が必要なシチュエーションは冬のお出かけ時くらいでした。歩く前だったら、靴を履かない分、防寒になる厚手のものも使いやすいです。

歩き回るようになってからは、市販品のような「すべり止め」のある靴下のほうが安心です。こういった商品もあるので、手編みの靴下につけてあげるといいと思います。

ちなみに、靴下ではなくレッグウォーマーはめちゃくちゃ重宝しました!

気温の変化が激しい時や、抱っこひもから足だけ出て寒そうな時、さっとつけられて便利でした。子供服は柄物が多いので、無地のレッグウォーマーがあると合わせやすいです。市販品では意外とみつからないんですよね。

ニットパンツ・オールインワン

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赤ちゃんならではのアイテムです。かわいいですよね。私もパンツとベストをセットアップで編みました。

…赤ちゃんは「ズリバイ」といって生後5か月ごろから、ほふく全身のようなスタイルで移動をはじめるのですが、はい、あっというまに毛玉だらけになりました。畳の部屋だといぐさもからまってしまい、取るのが大変でした。

実感としては、メリヤス編みがお手入れしやすいです。写真のゴム編みのパンツはちょっと毛玉が取りにくかった。ループヤーンなどはさらにお手入れが大変そうです。

あとうんちが漏れた時はかなり悲惨でした。

最後に、これは書くまでもない事ですが、オールインワン(つなぎ)のばあいは股あき必須です。おむつ替えがあるからです。パンツはなくても大丈夫ですが、はけるのは一般的に生後5、6か月ごろからです。

セーター、ベスト

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あかちゃんは暑がりで体温調整がヘタです。かぶりのセーターよりは、カーディガンやベストが脱ぎ着しやすく、使い勝手がよかったです。とくに厚手のものは洗濯が大変なこともあり、ほとんど出番がありませんでした。

すべてのアイテムに言える事

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①洗える素材で編むのがベスト

とくに新生児~6か月頃までのあかちゃんは吐きます。もらします。汗をかきます。洗濯の負担が想像以上でした。

産後は赤ちゃんとの生活に慣れ、最低限のことだけこなして、体を休めるべき時期です。そんなときに「ニットをやさしく手洗い」とか、できるわけがありません(個人差はあります)。

洗えるウールやコットンで編んでおけば、デリケートコースで洗濯機にポイ、ができるので比較的楽です。
でも洗えるウールは肌触りがいまいち…という欠点があります。

肌ざわりに敏感な子もいるので、自分の子に編むなら、手洗い覚悟でカシミヤなどを選ぶのもありです。1歳ごろになったらお母さんも手洗いする余裕がでてくると思います(個人差はあります笑)。

ここは悩むところですが、今はたくさんの洗える毛糸が発売されています。少しでも肌ざわりのよい毛糸を探してくださいね。

②派手な柄や色の方が、こどもの反応があって楽しい

しましまぐるぐる」というベストセラーの絵本が良い例ですが、はっきりした色柄のほうが、あかちゃんは見やすいようです。

特に、にぎにぎなどのおもちゃは、派手な色をオススメします。派手な色の方が発育にも良いとされているようです。あと、赤ちゃんは「顔」が好きです。動物などのモチーフがついているとより楽しんでくれると思います。

ちなみに、意思表示が上手になる1歳以降は、服に「自分のすきなもの」がくっついてるとすごい威力を発揮します。

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嫌がらずに着替えてくれる、すきなものを指さしてよろこぶ姿が見られるなど、いいことがたくさんあります。動物や食べ物など、お子さんが好きなモチーフをつけてみるのはどうでしょうか。

さらに成長すると、服の色やかたちにも好みがでてきます。こどもと相談してデザインをきめるのも楽しそう。

③想像以上に成長が早い

とくに新生児~1歳の成長は想像以上でした。編んでいるときも、こどもは遠慮なくどんどん成長していきます。編みあがった時にはサイズアウトしていた!という可能性もあります。出来上がる時期を逆算してサイズを決めるといいですね。

それでもやっぱりベビーニットを編みたい

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「ベビーニットは実用的じゃない」

と冒頭でお伝えしましたが、そもそもすべてのモノは実用性が全てはないですよね。

上のひつじのポンチョが量販店で購入したフリースだったら?

実用性はフリースの勝ちだけど、そこには子どものことを思って編んだ時間も、出来上がって着せた時のうれしさもありません。実用性だけで選択をしてしまうのは、ちょっとさみしいです。

子どもにとっても、「自分のために編んでくれた」という思い出が「大事にされていた」実感として残っていくのではないかなとおもいます。

これからは、失敗を生かして実用性もある程度おさえた、かわいいベビーニットをたくさん編みたいと思います。

そんなベビーニットのデザインも今後chicotで発表したいと思っています。
また、ベビーニットを編むのに役立つコンテンツの発信もしていくつもりです。

ちいさくてかわいいベビーニットが着せられる時期は、きっと一瞬です。この記事を読んでくれた方が、編む人も着る人もうれしいベビーニットを編んでくれることを願っています!

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