見出し画像

【選挙ウォッチャー】 東松山市長選2018・分析レポート。

僕はこれまで数々の選挙を見てきましたが、これほどユニークな選挙は滅多にありません。僕たちがこれまで考えていた「選挙」という概念を大きく覆し、僕たちに「自由」を与えてくれる選挙です。これまで多くの人たちが考えていた「選挙は、こうしなければならない」という既成概念を取っ払い、最も斬新な選挙をした候補と言ってもいいかもしれません。従来通りの選挙を展開する自民・公明党推薦の森田光一さんと、まったく見たこともない新しい選挙をする安冨歩さん。この選挙をウォッチングできたことは大きな財産です。

森田 光一 65 現 自民・公明推薦
安冨 歩  55 新 女性装の東大教授

安冨歩さんが女性装をしている理由は、「男性でなければならない」とか「女性でなければならない」とか、そもそも人間に存在する「性」という概念が固定化されていて、LGBTの方々が困っている。これを解放するために、男性だからスカートを穿いてはいけないとか、男性だから化粧をするのはおかしいとか、そういう「本当は根拠がない常識」を否定するかのように、自らが女性装をするようになったのだと思っています。つまり、安冨歩さんはどこまでも自由であり、どこまでも既成概念や固定観念にとらわれることを嫌う人なのだということがわかります。なので、誰が決めたのか分からない「選挙はこうでなければならない」というものを次々と破壊し、選挙に「自由」を求めたのだと思います。その結果、これまでの選挙とはまったく異なるものになったと言えます。なお、このレポートの最後に安冨歩さんからコメントをいただきましたので、掲載させていただきました。


■ 実は、東松山市は自然豊かで子供が暮らしやすい街

実際に東松山市を歩いてみましたが、池袋から約1時間の土地にあり、自然豊かで、子どもたちが暮らすにはかなり適した街であることがわかりました。森があり、川があり、公園がかなり綺麗に整備してあって、大きなビルがなく、焼き鳥が名産品となっており、都心に近いのに理想的な故郷の景色が広がっていると言っても過言ではありません。確かに、現職の森田光一さんは自民・公明党に推薦されている市長ではあるのですが、他の街で見かける大悪党の市長とは異なり、それほど悪評も聞こえてきませんでした。特別に愛されている感じもしませんが、特別に嫌われている感じもしないので、東京大学の安冨歩教授が立候補するということで一部の方々の注目度は高かったのですが、地元の方々の関心度はそれほど高くなかったと言えるかもしれません。


■ 安冨歩さんがやっていることは常識からの解放

安冨歩さんが女性装をしているのは、男性だから男性らしい格好をしなければならないという固定観念にとらわれることなく、本当はもっと「自由」であることを示すため。人を殺したり、人の物を盗んだりするのはいけないけれど、男性がスカートを穿いたり、女性が丸坊主にしたり、こうでなければならないというルールなんていうものは本来存在しません。最近になってようやくLGBTに対する理解が深まり、女装する男性、男装する女性の自由が認められつつありますが、まだまだ偏見の目で見られることも少なくありません。しかし、本当は何のルールもないし、むしろ自由を認めた方が世の中が楽しく華やかなものになるにもかかわらず、自分の中の常識が世の中の常識だと勘違いする人がたくさんいます。あげく、その常識を他人に押しつけてくるような人たちもたくさんいるのです。安冨歩さんは日頃の生活から女性装をすることにより、人々の中に植え付けられている「謎の常識」から解放させようとしていますが、それは選挙も同じです。何度も何度も大きな声で名前を連呼し、自分がどれだけ街や市民のことを考えているのかではなく、自分が「いかに政治家らしいか」を演出し、時には心にもない嘘の公約を掲げ、市民を騙していく。こういう従来の選挙の常識を覆し、まったく新しい形を世に提案したのだと僕は解釈しています。


ここから先は

12,842字 / 6画像

¥ 190

いつもサポートをいただき、ありがとうございます。サポートいただいたお金は、衆院選の取材の赤字分の補填に使わせていただきます。