【選挙ウォッチャー】 松崎町長選2017・分析レポート。

伊豆半島のほぼ先端に位置する静岡県松崎町で、2017年12月3日、町長選が行われることになり、3人が立候補しました。住民の高齢化と過疎化が進む現代の日本を象徴するような町の選挙なのですが、都会に住んでいる人たちは「日本の田舎」が抱えている問題を滅多に目にすることがありません。しかし、「選挙」というのは、私たちが考えなければならない問題を再確認させてくれて、時には日本の素晴らしい風土を再発見させてくれます。交通費や宿泊費を考えると完全に赤字ですが、一人でも多くの方に日本の現実を知っていただきたいと思うので、頑張っています。

■ 森 ペン  72 介護福祉事業会社会長
■ 長嶋 精一 67 松崎町議会議員
■ 石田 益実 69 城西国際大学前副学長

争点となるのは、主に少子高齢化対策と観光や産業の振興です。ただし、3人とも大きな方向性では政策が一致しており、対立しているというよりは、政策実現のプロセスに三者三様の違いがあるという感じです。短期間の選挙では、誰が一番優れた手腕を発揮してくれるのかを見極めるのは難しく、それぞれの話を聞いて、自分に一番しっくり来る候補者に投票するのがベストです。
積極的に投票したい人がおらず、消去法で誰が一番マシなのかを考え、鼻をつまみながら投票するのが一般的になっている現代の日本において、良い意味で誰に投票しようか迷える選挙というのは非常に珍しく、ある意味、貴重な選挙であると言えます。ただ、いかんせん西伊豆の小さな田舎町の選挙なので、せっかくの良い意味で悩める選挙なのに、親戚付き合いやご近所付き合いで投票先を決める人が非常に多いという、田舎ならではの選挙となっています。11月27日現在の有権者は6112人となっており、こうしている間にも葬式があったので減っていると思いますが、男2884人、女3228人。果たして、どんな結果になったのでしょうか。


■ 「選挙カー」が戦略のすべてを握る選挙

西伊豆にある静岡県松崎町には、電車の駅がありません。また、大型のショッピングモールなども存在せず、小さな商店が点々としているくらい。つまり、この町には人々が集まる場所が存在しないのです。そのため、どこかで街頭演説をやろうと思っても、そもそも通行人がいないため、基本的に「選挙カー」で町内を片っ端から巡っていくという方法が、王道の選挙スタイルになります。
どこぞの大学教授が「選挙カーには効果がある」などと言っていますが、郊外に行けば行くほど選挙カーの使い方が鍵を握ります。そして、ただ選挙カーで名前を連呼するだけではなく、外に出ている人がいれば握手をしていく。どれだけ車を降りて握手しに行くのかが勝負の分かれ目となります。

選挙戦略の観点から言うと、ウグイス嬢に何を言わせるかというのも重要なポイントとなります。その中で最高の戦術を展開していたのが森ペン候補でした。ツイキャスで選挙を追いかけている時から、最もたくさんあった質問は「森ペンは本名なの?」というものですが、もともと「森たかみち」というお名前だったのですが、現在は改名され、森ペンが本名になっており、外国人ではなく、生粋の日本人です。
森ペンさんは「やる気モリモリ、森ペンです!」「元気モリモリ、森ペンです!」などのキャッチフレーズを用意し、人々に「森ペン」という名前を浸透させる作戦をしていました。選挙戦略上、このようなダジャレを活用したキャッチフレーズは高い効果を発揮するとみられ、町の人は「森ペン」という名前だけでなく、「やる気モリモリ」の部分まで覚えていました。また、「町長の名刺を持ってトップセールスをする」という公約を掲げているため、選挙カーから「森ペンに町長の名刺をください!」と訴えており、そのウグイスを聞いた瞬間に森ペンさんが町長になった後に何をするのかが想像でき、思わず投票したくなりました。これまで横須賀市議をやってきた実績が「選挙戦略のうまさ」に結びついています。また、とにかく印象的だったのは、森ペン候補が何度も車を降りて有権者と握手していたこと。なにげに車から降りるのは面倒臭いので、握手するためだけに車を止め、その人の所に駆け寄るというのは、実は、あまりやらない候補が多いのです。森ペンさんは選挙期間中に握手することの大切さを知っていると思われ、非常に科学された選挙戦をしていると思いました。町の人たちに話を聞いても、森ペンさんの人気は急上昇中だといい、知り合いが多くて地盤を持っている人が勝つのか、選挙がうまい人が勝つのか。もし、選挙のうまい森ペンさんが勝つようなことがあると、この「選挙ウォッチャー」という仕事は、ますます候補者必見のアイテムになります。


■ 「松崎民宿戦争」というサブカル的な楽しみ方

西伊豆にある松崎町には、たくさんの民宿が存在します。海水浴シーズンや海釣りのシーズンは、家族連れや大学生たちで賑わうのですが、今回、立候補している石田益実さんは町を代表する老舗の民宿「海浜荘」の経営者。長嶋精一さんは風光明媚な漁村にある民宿「青風園」の経営者。民宿と民宿のプライドをかけた戦いが繰り広げられているというわけです。印象的だったのは、選挙カーに候補者の名前ではなく「海浜荘」などと民宿の名前が書かれていたことです。地元の人たちにとって候補者の名前よりも民宿の名前の方が親しみがあることを意味しています。

僕が「選挙ウォッチャー」をやっていなかったら、まず松崎町に来ることはなかったと思いますが、実際に来てみて思ったことは、この町は長期滞在に適しているということです。山があって、川があって、海がある。かつての文豪たちが伊豆を愛し、旅館に籠もって数々の傑作を生み出したのですが、あの頃の伊豆の原風景は高度経済成長とともに失われてしまったと思うので、あまり開発されずに残っている西伊豆の松崎町は現代の文豪が愛してもいいのではないかと思います。また、素敵な温泉がたくさんありますので、この町の魅力がもう少し全国に伝わって、湯治などに訪れる人が増えたらいいなと思います。これから市長になる人たちが、他の民宿を含めて復活させることができるのかどうか。これから4年を見守りたいと思います。

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鬼のようにレポートを量産していく計画なのですが、サポートしていただいたら、スタバのヒーコーをシバきながら原稿を書けるようになります。モチベーション高まります。いつもありがとうございます。

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