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【選挙ウォッチャー】 松戸市議選2018・分析レポート。

近年稀に見る非常に面白い選挙が11月18日に行われました。日本のマッドシティ、千葉県松戸市議選です。この選挙には、おそらく世界で唯一となるラッパー議員、「NITRO MICROPHONE UNDERGROUND」のDELIさんが2期目を目指して立候補していますが、その公約は「脱被曝」「脱カスタマー」。DELIさんは、この4年間で防災士の資格を取得し、松戸市内の公園など428ヶ所、2000個以上の検体の調査を実施し、高濃度の汚染が見つかった場所では市に報告して、速やかに撤去してもらっていました。さまざまな委員会にも顔を出し、市の問題に積極的に取り組んできたため、松戸で最も働いてきた議員がDELIさんであることは誰もが認めるところです。前回は44番目でギリギリの当選となりましたが、今回はどのような結果になったのでしょうか。過去最高のボリュームとなったため、読むのにだいぶ時間がかかると思いますが、それだけ中身は濃いものになっていますので、今回のレポートは激アツです。普段はあまりお金を出して読まないという人も、これは普通に楽しめると思います。

今回の松戸市議選の見どころは、DELIさんの選挙戦略はもちろん、過去最多となる4人が立候補している立憲民主党、前回の市長選に売名のために立候補したミール計恵さんを擁する共産党、松戸で怪気炎を上げる日本維新の会、そして、松戸でステッカーを配る活動を続けてきた「NHKから国民を守る党」など、各政党の勢力図です。


■ 脱カスタマー、コツコツやり続けてきた4年間

この街で一番の不良が、大人になって「議員」になり、地元のために働くようになりました。DELIさんはヒップホップを愛する若者たちのレジェンド的存在であり、「NITRO MICROPHONE UNDERGROUD」は今でも伝説として語られるほどの人気アーティストです。山本太郎さんが参議院議員に当選した翌年、DELIさんは「国のことはできないけれど、地元のことならできるかもしれない」と松戸市議会議員に立候補し、最下位で当選を果たしました。DELIさんはこの4年間の自己採点を「70点」と表現していますが、DELIさんにできる精一杯をやってきて、DELIさん以上に仕事をしてきた議員がいるなら見てみたいほどです。活動の軸は公約に掲げている「脱被曝」「脱カスタマー」ですが、台風でブロック塀が倒壊し、不幸にも小学生の女児が亡くなってしまった大阪府高槻市の事故を受け、DELI議員はすぐに動き出し、松戸市内のブロック塀の総点検を実現しました。DELIさんは原発事故直後から「オペレーション・コドモタチ」という活動をしており、放射能から子供を守るという活動をしていました。ベースに「子供を守る」があるので、こうした動きが早いのだと思います。最初の1年は議員の仕事を把握するのに一生懸命で、音楽をする余裕もなかったと言いますが、ろくすっぽ仕事をしない議員もたくさんいる中で、しっかり仕事を理解し、市役所の職員と連携して動ける体制を整えてきたのは「足元を見られたくないから」という理由だそうです。これほど真面目に市政に取り組んできた人は他にいないほどに仕事をしてきたことは、自民党や公明党の議員や支持者でさえ高く評価するほどです。

昔はヤンチャだったけど、今は誰より真面目に地元のために働く議員になったことで、地元の人たちもDELIさんを評価するようになりました。最初の4年間は本当に仕事をしてくれるのか半信半疑な部分もあったかもしれませんが、この4年間で誰よりも仕事をしてくれる議員であることを証明したのです。地元の人たちはなんだかんだでDELIさんがちゃんと仕事をしているのを見ていて、今回は44番目という危ないラインではなく、しっかりと票を積んで、強さを示すことができるようになりました。DELIさんは自分のことを「選挙に弱い」と言っていますが、そんなことはありません。ヤンチャ時代のように「最強」のDELIさんになりつつあると思います。


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