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幸福な、嗅覚

香典返しに、フォションの茶葉セットをいただきました。オリジナルブレンドとアップルティーの、缶2つ。アップルティーの缶を開けると、ふわ~っとりんごの香りが。持てる嗅覚を総動員して、すぅぅぅぅぅっと吸い込みました。ふむ、じつに芳醇。

思えば、フレーバーティーなんて、家で淹れるの久しぶりです。我が家は朝ごはんはパンが定番なので、平日は毎日紅茶を飲んでいるけれど(週末はコーヒー率高し)、もっぱらダージリンかセイロン。ダージリンもセイロンも、もちろん美味しいです。毎日飽きずに飲めているくらいだから。でも、なんだろう、この、心をわしづかみにされた高鳴り。目の保養ならぬ、鼻の保養。

4年前にひよこを出産するまでは、しばらくのあいだ紅茶にハマっていました。カップ&ソーサーを集めたり、あちこちに茶葉を買いに行ったり。夫は王道・ウェッジウッドのフロレンティーンの、わたしはインペリアルポーセレンのコバルトネットのティーカップを気に入っていて、晩ごはんもお風呂も終えたあとに、マリアージュフレールのグランボワシェリ(フレーバーティーじゃないのにバニラの香りがする風流な茶葉)を淹れて、チョコレートをかじったりなんかしちゃってたんですよ。優雅すぎる。その姿は、パジャマにユニクロのフリースを羽織っていたけど。

それがいまや、ひよことともに21時半に寝落ちする生活。夫婦のティータイムなどあったもんじゃありません。カップも茶葉の缶も、時空のとまった茶箪笥にたたずむコレクションと化しています。そんな生活の変化で、すっかり忘れていました。フレーバーティーなるものの存在を。

嗅覚ってやつは、すごいですね。一発で感情を左右しちゃう。いくら頭で「機嫌よくいよう」と思っても、生ゴミの臭いをかいだら即座にどよーんだし、フレーバーティーの香りが漂えば、はからずも「ほっと一息」が訪れる。脳みその思念なんて、五感で知覚した情報の前ではハリボテの大道具みたいなもの。だからこそ、いい情報を五感に与えてくれる「佳きモノ」に囲まれて暮らしたいです。家、片づけよう。(←帰着するのはいつもココ)

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