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夫と最近、仲がいい

このあいだ、夫が2泊3日で留守でした。1泊で入った東京出張のついでに、もう1泊してあれこれ行きたいところを巡ってきたんです。不在2日目の夜、ごはんもお風呂も済ませて、リビングの床暖房の上でひよことパズルをしながら「おとーさん、もう晩ごはん食べたかなぁ?」「おとーさんがいるところも、寒い寒いなのかなぁ?」「メールしてみよっかー」なんてお喋りしていたら、ちょうど台所のカウンターに置いていたスマホがブィーンと震えました。よっこらしょ、と立ち上がってスマホを覗いてみれば、なんとまぁ、夫からのメールではありませんか。曰く、「おつかれ。今から新宿で晩ごはん食べるとこ」。新幹線3時間分の距離を挟んで、家族の想念がシンクロしました。(夫はLINEしない派なので、いまだdocomo.ne.jpのメールをやりとりしています)

出会って15年、一緒に暮らして8年。もはや数日会ってないくらいで「寂しい」などとは思わないけれど、それでも生存連絡が何を言わずともあちらから届くのは、嬉しいものです。「待つ」ってやっぱりどこか、宙ぶらりんだから。おかげで、ふわり、着地。かーらーの、返報性の原理で、心のシーソーが傾きました。前日はホテルの立食パーティー、その日は土地勘のない大都会でひとりごはん。2晩連続でさみしい晩ごはんな夫に、あったかいごはんを、大好きなお肉を山盛り食べさせてあげたくなったんです。返信メールの文面は、「明日の夜は、牛スジおでんか、しゃぶしゃぶにしよかー」。(返事は秒のはやさで、「しゃぶしゃぶよろしく」でした)

そんなふうに、なんだか最近、夫とのあいだに穏やかな空気が流れています。お互いに思いやりを出し惜しむことなく。人間だものでムッとすることはあれど、ケンカにまで発展することもなく。DIY棚を組み立てたときも、ひよこの誕生日プレゼントの自転車を組み立てたときも、ヤフオクに出品したドでかいチャイルドシートを段ボールを継ぎはぎして梱包したときも、2人の鼻息が噴出する場面なしに、「できたー!」とハイタッチすることができました。

出し惜しみ。それが仲たがいの、気持ちのすれ違いの元凶なのではないかと思います。「そりゃあ惜しみたくもなるわ」とイラッとすることも、「惜しんじゃおっかな」と魔がさすことも、「惜しんでやろうホトトギス」に遭って「そっちがそうならホーホケキョ」なことも、きっかけは日々のいたるところに転がっています。それを越えるのは、「大好き、スキスキー」な愛ではなく、敬う心なんだろうな。その昔、LOVEの和訳が「愛」ではなく「ご大切に」だったのも、なるほど合点。

自分に出来ることを、惜しまずにする。差し出された思いやりには、「ありがとう」と応える。ただいま大森家、その均衡がうまい具合に保たれています。いつまで続くかな。まずは春まで、続くといいな。

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