詩   とびら

仏壇に飾ったユリの花の香りが
心をくすぐる
愛した季節と愛された季節
何年も前に一人になって
いつからか
夢を見なくなった
ひとりのせつなさと
ふたりの煩わしさ
新しい世界と
過去へのこだわり
自分ひとりじゃ何も決められない
大好きで苦手な大海原に
放り投げられたみたいに
もしかしたら
時間が止まってしまっただけ
手を伸ばしても
掴んでくれる手はない
私の手を掴んでくれる人は
いつ
私を迎えに来てくれるのだろう
時間を進めるための
扉を開けよう




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