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「第二帖・帚木」2021/09/29源氏ゆる語り

源氏ゆる語り配信、今回は雨夜の品定めの場面が有名な「帚木」の巻です。
「ははきぎ」って読みますよ。
遠くから見れば箒(ほうき)を立てたように見えるけれど、近寄ると見えなくなるという伝説の木のことです。
この巻の最後の方で登場する女性(のちに空蝉と読者に呼ばれるようになる人妻)との和歌のやりとりの中で、源氏があなたの心は帚木のようだと詠むんですよ。近寄ろうとすると見えなくなるってね。そこからこのタイトルがついています。

配信のアーカイブはこちらです。

この日の配信では、最初に前回の配信を受けて届いた質問にお答えしたりしました。こういう質問はいつでも受け付けてますよ〜。後からでも全然オッケー!気になったらぜひコメントなどでご質問くださいね。

さて、この「帚木」の巻は次の「空蝉」とその次の「夕顔」と合わせて「帚木三帖」と呼ばれたりもします。
この巻の有名な「雨夜の品定め」の場面で女遊びが大好きな兄さんたちに17歳の源氏が触発されちゃうんですよね。悪い兄さんたちです。いつの時代もおりますね、こういう兄さんたちは。ははは。

イケメンで身分も高くパーフェクトな光源氏、モテてモテてしょうがないだろうよ!っていう状態なのですが、本人は帝の妃である藤壺女御つまりは父親の妻(とはいえ年齢は藤壺が5歳上。大して違わない)に恋をしてしまってるわけで、完全に叶わぬ初恋に心を支配されております。
そして光源氏の妻は左大臣の娘、大変気位の高い4歳上の「葵の上」。
また、当時の愛人はこれまた大変高貴な身分の六条御息所。早くに亡くなった東宮の妃だった人で、現在未亡人、源氏の7歳上。
おいおいおい!とびきり高貴な年上女性ばっかじゃん!
っていうね。そういう状態なのですよ。
まぁ、葵の上は親が決めた結婚相手ですけどね。

もちろん藤壺さんへの恋は秘密のものですから、表面上は正妻の葵の上と愛人の六条御息所だけ。当時の貴族のイケメン男性からしたら浮いた噂が少ないってことになりますわね。もちろん情けをかけた程度のお手つきの女房はいたかもしれませんが、それもそんなに多くないように書かれています。

というわけで、悪い兄さんたちが彼に「中の品(中流貴族)の女君がちょっとした恋の相手には一番面白いぜ!」ってそそのかすわけですね。
それぞれがどんな中の品の女と恋をしてきたか、まぁいわゆる過去の恋バナですな。で、それが次第に「こんな女はイマイチだ」とか「こんな女は思い出深い」とか「女性評」になっていく。これがいわゆる「雨夜の品定め」です。

これが、なかなかシビアなんですよね〜〜。上流・中流・下流の切り分けから、それぞれの身分の女性たちの特徴、女性の在り方・生き方、男性への対処の仕方など、ものすごく厳しく書いてますよね。作者の紫式部のシビアさが垣間見えます。怖い人ですわ。
まぁ、当時の現実、特に身分の問題とか男女の問題とか、そういう点で本当に面白い資料にもなる巻です。
アーカイブ16分過ぎくらいから、この雨夜の品定めの話が始まります。
それぞれの女性評やエピソードはどうぞアーカイブでお聴きください。
指を噛む女、浮気な女、にんにく食べちゃった博士風の女など、妙に具体的な経験談は28分くらいから。

35分30秒からは、この雨夜の品定めの場面の意義をお話ししてます。
その一つが夕顔さんの伏線。
源氏の親友であり左大臣の息子(源氏の正妻の葵の上の兄)頭中将(とうのちゅうじょう)が語る女性が、後に出てくる「夕顔」なんですよね。
これポイントです。作者、見事な伏線を入れてるんです!

さて、この一連のグダグダした(ww)雨夜の品定め。その時にはなんとなく冷めた感じで話を聞いていた源氏ですが、なんやかんや言うて影響は受けるんですよね。
その後、中の品である人妻の「空蝉」、そして五条(当時は身分が低い人たちが多く住んでいた町)に隠れ住んでいた「夕顔」と出会い、恋に落ちるわけです。この二人とのエピソードが帚木三帖で描かれるというわけですね。どちらも光源氏が秘密にしている恋のお話として語られます。そしてどちらも光源氏の失敗エピソードでもあります。空蝉には振られてますし、夕顔はもののけのせいで死なせちゃいましたしね。苦い恋の思い出です。
夕顔さんの話はまた「夕顔」の巻で。

「帚木」の巻では正妻の葵の上にツンツンされて「ちぇっ」て思いながら出かけた先で垣間見た人妻の空蝉さんに興味を持ち、先日の雨夜の品定めのことも思い出してすっかり盛り上がっちゃって強引に手に入れてしまうのですが、その後アプローチを続けるも、自分の身の程を考えて悩む空蝉さんに拒まれている…というところまでで終わります。

あ、系図、載せときますね。
39分くらいのとこから、「方違え」の説明と、空蝉との出会いの経緯や空蝉を手に入れちゃう場面をお話ししてますので、この系図を確認しながら聞くとわかりやすいかもです。△がついてるのは故人ね。

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あ、そうそう、最後にちょっと当時の貴族男性の少年愛要素が垣間見れる場面の話もしてますね。空蝉の弟の小君と源氏との関係もそうです。47分30秒くらいから。
宮仕えしている女房たちのアバンチュールについてのお話もしてます。
こういうのは現代とは全く違う、この時代ならではのあるある話ですね。

さて、次回の「空蝉」の巻では、光源氏はさらに熱心にアプローチして強引に押しかけたりするのですが、そこで彼女はとても印象的な対処をします。
詳しくはまた次回に。

というわけで、帚木の巻のアーカイブ、もう一度こちらに貼っておきますね〜。
https://twitcasting.tv/chieroom/movie/703367606

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