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No Buses 〜シリアスでいてユーモラス〜

タイトなビート、気怠げなボーカル、お洒落とユーモアを兼ね備えた独特の音楽性。随所に感じられるのは80年代イギリスを席巻したガレージロック。その世界観はイギリスのバンド"Arctic Monkeys"の曲名から引用された、バンド名からも容易く想像ができる。記念すべき初投稿では僕が愛してやまない「No Buses」を紹介します。


1.No Busesとは

No Buses

No Busesは2016年に結成された日本のロックバンドです。メンバーは右から作詞作曲を手がけるボーカル兼ギターの近藤大彗、ドラムの市川壱盛、アートワークを手がけるベースの杉山沙織、ギターの後藤晋也、和田晴貴(敬称略)となっています。先述の通り、バンド名はイギリスのバンドArctic Monkeysの曲名に由来をしています。

もとは大学が同じだった近藤くんと後藤くん、そしてその2人を軽音サークルに勧誘した一歳上の杉山さんの3人で始まったバンドです。その後、ドラムの市川くんが加入し4人でデビュー、2021年にギターの和田くんが加入し5人体制となりますが、2023年に市川くんが脱退し再び4人体制となります。(ちなみに喧嘩別れ等では全くないそう)

音楽性としては極めてロック。本人たちも公言する様にArctic MonkeysやStrokesにルーツを持つインディーロックです。UKを感じるメロディーや、全編英語の歌詞、ブラウン管サイズのMVや、ファッションに至るまで、細部まで意識しているのが感じられます。かなり邦楽離れした音作りなだけあり、フランスのローリングストーン誌で紹介されたりと、海外からの支持も熱い稀有なバンドです。


2.代表曲"Girl"

GirlのMVより(この手作り感のあるMVも魅力の一つです)

代表曲として、記念すべき初シングルの"Tic"や、YouTube上で最も再生されている"Pretty Old Man"を挙げる方も多いかと思いますが、僕は2枚目のEP、"Boring Thing"に収録されている、"Girl"を挙げたいと思います。

結成初期から演奏され続けており、現在のライブでも定番中の定番となっているこの楽曲。バシーズの数ある曲の中でも極めて"ロックンロール"を感じられる一曲です。

楽曲の構成としてはかなりシンプルです。曲の長さも2分半ですし、歌詞も数フレーズの繰り返しです。特に革新的なことは何もしていません。ただ、癖になる気の抜けたボーカルと、確かな疾走感、高い演奏技術によって一気に完成度の高いギターロックに昇華させています。

ちなみにこのGirlの収録されている2枚目のEP、"Boring Thing"ですが、初期のものながら非常に素晴らしい作品です。確かに全体的にまだ生音感が強く、荒削りな部分は目立ちますが、なんと言ってもその独自の世界観が既に完成しきっています。Girl以外も良い楽曲が揃っているので是非聴いてみてください。


3.No Busesより、No Buses

2ndアルバム、"No  Buses"

続いてはNo Busesの必聴アルバム、"No Buses"の紹介です。この2ndアルバムは、5人体制後初のアルバムとあって、バンド名をそのまま表題に持ってくるなど、意欲作であることが伝わってきます。このアルバム、とにもかくにもその圧倒的なセンスをまざまざと見せつけられます。ボーカルとアンサンブルの融合、その脱力感と穏やかながらも美しく芯のあるギターサウンドは癖になると思います。全曲紹介したいところですが、キリが無さすぎるので一曲の紹介に留めておきます(このアルバムだけを語る回もいつかやろうと思います)

是非聴いて欲しいのが、9曲目に収録されている"Yellow Card" 僕は初めて聴いた時の衝撃を今も覚えています。始まりで幻想的な雰囲気を感じたのも束の間、タイトなビート、入ってくるキレキレのギターリフ。リズム隊の安定感も素晴らしいものがあります。そして特筆すべきなのは歌唱部分の少なさ。4分20秒ある曲の内、1分半弱ほどしか歌唱部分がありません。イントロだけで1分を越すことからも"サウンド"へのこだわりが強く感じられます。ちなみに歌詞も面白くて「友達との人間関係に悩み、自己の存在価値を疑う」という日本の若者らしさ全開のことを歌っています。こういう親近感を覚える愛おしい曲作りもNo Busesの魅力の一つですね。


4.バシーズ・サウンドの根底にあるのは?

意味の分からないアー写

彼ら自身が話していますが、No Busesのルーツは間違いなくイギリス・ロンドンのインディーロック。最初にバンド名はArctic Monkeysからとっていると話しましたが、そのアクモンも2000年代のUKロックバンドです。しかし聴いていくと分かるように、彼らの音楽性というのは典型的な、所謂インディーロックだったりガレージロックとは少し外れると思います。イギリスの風を確かに取り入れつつも、恐らく芯としてあるのがノスタルジーだったり叙情的、日本らしさを感じさせる雰囲気。それを、時折顔を覗かせるイギリスのルーツに乗せて、鬱屈に気怠げに歌い上げる。その日本と海外の絶妙なバランスが彼らの音楽の真骨頂ではないでしょうか。真新しいジャンルでは無いにしろ一つ新しい部分を開拓していると言っても差し支えないのではと思います。

また、MVなどにも現れるそのユーモラスな雰囲気もポイントの一つです。手作り感に溢れ、ブラウン管サイズで、オールドな雰囲気の画質など世界観へのこだわりが見られますが、一歩足を踏み入れればそこはバシーズ・ワールド。繰り広げられる大した意味のない映像は気を取られすぎる事なく、独自の世界観を演出したまま、サウンドに浸らせることに一役買っています(良く考えすぎでしょうか)


5.No Buses is God

ここまで読んでいただきありがとうございました。長くなりましたが、今回は僕が愛してやまないバンド"No  Buses"について語りました。まだ20代と若く、益々の飛躍が期待されている彼ら。来年にはワンマンライブも予定されています。本当に純粋に音作りを楽しんでいるバンドですし、野望もそこまで無いのだと思いますが、彼らの音楽はもっともっと評価されるに値すると思っています。このnoteを読んで少しでもNo Busesに興味を持ってもらえたら幸いです。

読んでいただきありがとうございました。以上、ユーゴでした。あでぃおす!


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