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多数決CMOS 4530

東芝のページで検索しても出てこないICを手に入ってしまった。そもそもこのToshibaロゴが付いている時点でそれなりの年代ものだ。少し調べてみるとどうやら「5-input majority logic gate」と言うものだとわかった。ABCDEの5本の入力のうちH (High)が多ければH、L (Low)が多ければLとなるらしい。ただしもう1つ多数決と少数決を決定する入力Wがあって、WがHなら「多いほう」、Lなら「少ないほう」を表示するらしい。Datasheet Archveというところに載っている4530のデータシートらしいものを参考にするとピンアサインはこんな感じらしい。

つまり、5者多数決回路が2つ載っている模様。確かに1つだったら16ピンじゃ多すぎる。

だいたいの動作の想像が付いたので簡単な実験回路を組み立ててみた。別に用途があるわけではないのでとりあえず2回路のうち片方だけ使って実験してみる。

ジャンパ線がえらい事になっているけど、スイッチの1番から5番がABCDEそれぞれに対応し、8番がW、つまり多数決か少数決かを決定する。

スイッチを全部OFFにして電源を入れるといきなり右端の結果出力が点灯するので焦る。ただしABCDEの全部がLなので少数決の結果がHということなので正しい動作である。「少数意見」には意見を言う人が0の場合も含まれるらしい。

それではスイッチをいじってみよう。まずはやっぱり多数決をみてみよう。8番のスイッチをONにする。

多数決ランプが光った。しかし全員がLなので結果はL、白色LEDが消えてしまった。

1番と2番のスイッチをONにしても、Hは2人、対するLが3人なので多数決の結果はL、白色LEDは消えたままだ。ここで3番スイッチをONにすると…

突如、白色LEDが明るく点灯する。電流制限抵抗の都合でやたら明るく点いてしまうので左側の緑色LEDが付いているのかどうかよくわからないが、3人がHになったのでHが多数派になったのだ。ここで4番、5番のスイッチをONにするともちろん…

全会一致でHである。みんなの意見が一致してHなので、多数決の結果ももちろんHとなる。

さてではここで我々にはあまり馴染みのない「少数決」の世界を見てみよう。8番のスイッチをOFFにする。

全員がHなので、少数意見(?)はLということで白色LEDが消えた。それを少数意見と言うのかどうか怪しい気もするが、なにせこの世界には1と0、つまりHとLしかないのだ。

1番と2番のスイッチをOFFにしてみても、Lが2人、Hが3人。Lが少数なので白色LEDは消えたままだ。

そして期待通り、3番スイッチをOFFにすれば、Lが3人、Hが2人になってHが少数派になる。めでたく(?)白色LEDが点灯する。

全部OFFにすれば、全員がLなので少数意見はHということで、白色LEDが点灯するのは最初のとおり。決して多数意見に与することのない、頑なな態度だ。

いじわる (?)をして2番と4番と8番をONにしてみる。Hが2人、Lが3人、多数決モードなので白色LEDは点灯しない。でもここで党議拘束を気にしない3番がONになると…

Hが多数派になる。8番スイッチがONなので多数決で白色LEDが点灯する。

というわけで民主主義の基本を理解できる(?)面白いICだった。でも何に使うのか正直使い道が思い浮かばない。入力が5本と言うのも難しいところで、7人や3人の場合にどうするのか、とか、偶数人のときは?とかそういう応用も、考えてみると面白いかもしれない。