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その困難ケース、困っているのは誰?

こんにちは、ちはるです。

ケアマネ、福祉の仕事をしていると、よく困難ケース、困難事例と言われる、対応に困る(あるいは対応が難しい)ケースを担当することがあります。

身寄りがない一人暮らしの方、認知症のご夫婦、ゴミ屋敷に住んでいる方、認知症の親を介護しているのが知的障害の子供、精神疾患がありサービスの利用に拒否的な方、もう半年お風呂に入っていない方…。
この仕事をしていると、皆さんこのような事例を担当した、あるいは見聞きしたことはあると思います。

実は、私自身はここ数年で困難ケースを担当することが減りました。
それはなぜかと言うと「困難ケースを困難にさせているのはまわりの支援者である」「困っているのはその人ではなくまわりの支援者である」ということが理解できるようになったからです(ケアマネとして経験が浅かったころには困難ケースだと思っていた事例も、今なら困難ケースだとは捉えないと思います)。

困難ケースと言われる事例でも、実はその人本人はあまり困っていないことが多いのです。「まわりの支援者が考えるあるべき姿、あるべき生活と違う部分がある」「利用してほしいサービスを利用してもらえない」ことによって、「この人は困難ケースである」とまわりが決めてしまっているように思います。

福祉の基本は自己決定支援。例え本人の選択が合理的なものでなかったとしても、余程命の危険がない限り、または判断能力が全くないと認められない限り、その人の意向は尊重しなければいけません。その人の生活はその人が決めるべきものですから。

私たちも自分の仕事、家はもちろん、今日何をするか、何を食べるか、自分で決めますよね?(もちろん家族がいたりすると自分1人で決められないこともあるかもしれませんが、その家族と一緒に暮らす、生活を共にすると決めたのはあなたのはずです。)

私たちだって、いつでも合理的で正しい選択をしているわけではないと思います。
身体に悪いと思っていてタバコを吸ったり、寝不足になると分かっていて夜更かしをしたり、痩せたいと思っているのにお菓子を食べたり。
24時間365日、いつでも合理的で正しい生活ができているでしょうか(もしそんな生活ができていたとして、そういう生活は楽しいのでしょうか)。

例え高齢であっても、障害があっても、認知症があっても、その人が決めたことは尊重しなければいけません。その人にはその人の価値観があり、暮らし方があります。

選択の結果がベストでなかったとしても、その人の決定を尊重する。その結果、持病が悪化したり、転んだり、道に迷ったりしたとしても、その人が決めたことだからいいのです。
私たち福祉の専門職は、選択肢を提示し、それぞれのメリットとデメリットを説明するだけ。決めるのは本人です。
その結果何か不利益が生じても、やるべき役割を果たしていれば、私たち専門職が責任を感じたり、思いつめたりする必要はないと思います。
不利益が生じたときに「あなたが選んだことだから私は知りません(だから○○を選んでおけばよかったのに)」と突き放すわけではなく、そのときはそのときで、またどうしていったらいいか本人と考えればいいのだと思います。

まわりを見ていると、優しい人はケアマネには向かないなと思います。優しさのあまり、本人の意向よりもリスクを避ける方を尊重してしまうからです。
「転ばないようにここに手すりを設置しておこう」「家族の介護負担が心配だからヘルパーを利用しよう」そんな風に先回りしてリスクを避け、本人の意向を無視しがちです。
そして本人が「手すりはいらない」「ヘルパーは利用しなくていい」と言ったときに「サービスを拒否している」と捉えて、勝手に困難ケースにしていないでしょうか。
また、優しい人は「手すりを置かなかったことで転んでしまった、どうしよう」「ヘルパーを利用せず、家族が介護しきれなくなったらどうしよう」と自分が責任を感じてしまったり、勝手に心配したりしていることが多いように思います。
私たちは選択肢を示すだけで、決めるのは本人。ケアマネとしての役割を果たしていれば、本人の選択の結果の不利益について、ケアマネが自分を責める必要はありません。

あなたは今困難ケースを抱えているでしょうか。
その困難ケース、困っているのは誰ですか。
本人は困っているでしょうか。
まわりが困っているだけではないでしょうか。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。


先日お知らせしたお話し会ですが、今日2月15日で募集を締め切ります。

このお話し会を仕掛けた裏側はアメブロの方にこっそり書きました。


アメブロ│ケアマネ✕副業│経験0から本業&副業でゆとりのある働き方と暮らしを叶える

スタエフ│ケアマネが経験0から本業&副業でゆとりのある働き方と暮らしを叶える


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