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LPジャンキース

LPをコツコツ集め始めたのはそれこそ中学生の頃。

桑田佳祐というおじさんのせいですっかり彼のルーツになる洋楽に興味を持ち、とにかく聴きたいアーティストがめちゃくちゃたくさんだった当時の俺。欲しいCDはたくさんあれど当然小遣いには限りがある。
時代は音楽の媒体がCDに完全移行して少し経ったぐらい。中古LPが投げ売りされてた時代。少ない小遣いの中で洋楽の名盤をできるだけたくさん聴くためには中古レコードという選択肢しかなかった。それこそ名盤が500円ぐらいで買えた。

リトルフィートもビリージョエルもビートルズもエルトンジョンもドナルドフェイゲンも、最初に聴いたのはLPだった。少しカビくさくて重たい名盤たちを抱えて帰った帰り道の多幸感、盤に針を落とす瞬間のワクワク感、なんだか好きなミュージシャンの青春時代を追体験してるみたいな気持ちになった。一生懸命音を拾ってコピーもした。

遊ぶところもほとんどないクソ田舎、割と厳しい家。深夜にそっと聴く音楽が僕にとって何よりの「自由」だった。だから今でもドナルドフェイゲンの "The Nightfly" は、聴くと実家の自室の深夜の光景が浮かんでくる。ベッドのヘッドボードの小さなランプだけが点いた暗い部屋、レコードプレイヤーに繋いだヘッドホンから流れるI.G.Yの旋律。それが僕にとっての「自由」な世界。僕がいまだに深夜感の強い曲が好きなのもそのせいだ。

そうこうしてるうちにDJ文化の浸透によりLPのリバイバルブームがやってくる。サザンも95年の愛の言霊以降、必ずアナログも一緒にリリースするようになった。当然手を出した。愛の言霊のシングルレコードはなんか「ラベンダーの香り」みたいなのが盤についてるのがウリだったんだが、便所の芳香剤みたいな匂いがした(笑)。今でもうっすらその匂いは残っている。
サザンの昔のLPも中古で買い集めた。アナログで深夜に聴く「サラ・ジェーン」がたまらなく好きだった。この曲を聴きながら、とにかく早くこの家を出たいと思っていた。

あとインディーズパンクの一大ブームとアナログも切っても切れない関係にあると思う。高校生になる頃にはそのブームの波にすっかり飲み込まれていたのでそっち方面にも手を出した。
SquiartGunとかはLPしか持ってなかった記憶。

そして2000年代ぐらいになると変形レコードが俺的ブームに。サザンのTSUNAMIとホテルパシフィックがきっかけだった。TSUNAMIは真っ赤な星形、ホテパシはサザエ型のピクチャーレコードだった。これまた沼が広がっていた(笑)。
当時大好きだったバンアパとドーパンのディズニーカヴァーのLPは今だに未開封のが家にある。

そんなLP沼活動の中で、普段なかなかできない貴重な経験もたくさんできた。最近だとサムネにしてるLPに直接サインをいただけたこと。これは嬉しかった。普段滅多に「保存用」とか買わない僕が、聴く用レコードを思わず買った(笑)。聴く用の方はちょいちょい聴いている。

そんなこんなで引越しのたびに業者に嫌な顔をされながらも、集めたレコードを一切手放すことなく今に至る。マジ床抜けそう。

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