自分の店に愛情を注ぐということ

店主にとって「店は子ども」だ――これは、僕の師匠である河原成美に教わった言葉です。

エントランスのガラスは目だ。目やにがついたままだとかわいそうだろ? だったら、毎日掃除して綺麗にしてあげようよ。

洗い場の下水、グリストラップはおしりだ。汚れたら、おむつをちゃんと替えなきゃダメだろ? 

それぐらい愛情を持って、お店をかわいがり、育てていこうよ。こう師匠に教わったのです。

そういうものか、と思っていましたが、子どもができてからより深く感じるようになりました。一人めの子どもは何がなんだかわからないまま、がむしゃらに育てた。二人めは、ちょっと距離感もわかってきたような感じもする。これもお店と同じですね。

ソラノイロもそうです。麹町の本店に始まり、東京駅、京橋、名古屋、池袋……何人もの子どもができてきました。ここに至れば、創業者の僕がすべての店に愛情を注ぐのではなく、店長が親になり、愛情を持って接していく(運営していく)段階にきているようにも感じています。

お店にしても、5店のうちの一つ、20%の愛情ではなく、店長一人から100%の愛情を受けたいと思うでしょう。

目もおしりも綺麗にしてくれている店を見たら、愛情を注いでもらっていることに安心します。時には、店長に任せている店で券売機の周りの整頓が行き届いていなかったり、入り口の限定ラーメンのポップがわかりにくかったりしたら、ちょっと残念に思ってしまうこともあります。この子をちゃんと綺麗にしてあげてよ、と。

掃除が行き届いていないのなら、どこか他人事だと思っているのかもしれない。会社の店だし、社長が責任を持つべきだ……そう思っているようなら、仕事にもどこか甘さが出てしまうでしょう。

だから、スタッフには「自分の店だと思って愛情を込めて運営していってほしい」と思っています。作業として割り切って掃除するのではなく、独立して自分の店を持ったときを思って、その気持ちを持って店に立ってほしい。

SORANOIROグループがこれから何店舗になるかは分かりませんが、一つ一つの店が地域一番店でありたい。そんな思いで出店し、運営していきたいと考えています。

そのためには、「店を自分の子どもだと思って愛情を注いでいく」こと。この思いをみんなが持てたら、多店舗展開をしたとしても、「SORANOIROらしさがなくなったね」「やっぱり店が増えると薄くなるね」などと言われることはないでしょう。

ラーメンもサービスも上質で、クリンリネスも行き届いている。お客様にきちんと気持が伝えられる。そんなお店であり続けるために、心に置いておきたい言葉ですね。

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