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【はたらき方ライブラリーvo.1後編】「願い」と「やりたいこと」が自分の核をつくる

子どもを育てながら、地域で自分らしい仕事をつくる。そんなはたらき方をしているゲストをお招きして、今の活動の始まりから現在抱えている葛藤までをお伺いした新企画「はたらき方ライブラリー」。初回を3月8日(金)に開催しました。

今回はイベントレポート後編です。(前編はこちら

英語を通じて、親子の居場所をつくりたい

2人目のゲストは、親子ふれあい英語「べニーズイングリッシュクラブ」主宰の橋本奈央子さんです。

「べニーズイングリッシュクラブ」主宰の橋本奈央子さん

奈央子さんは、児童英語講師として英語教室を開いている他、児童館やカフェなどで乳幼児とその保護者を対象とした親子英語教室も開催しています。

でも奈央子さんがやりたいことは、英語習得のためのレッスンではないのです。奈央子さんやりたいのは親子がふれあい、お母さんが癒される場をつくること。奈央子さんにとって「英語はツール」なのです。

ホストマザーの一言で始まったサークル活動

奈央子さんが英語を使う仕事を始めるきっかけは、高校時代にオーストラリアに1年間留学したこと。このとき、ホームステイだったことが、英語サークルを始める大きな要因になります。

その後、大学時代は世界旅行や途上国でのインターンシップを経験。卒業後は、おもちゃ会社に就職して、海外営業を担当します。そして、もっと子どもに直接関わる仕事がしたいと、大手英語教室の先生になったところで、ライフステージの変化が訪れました。

妊娠・出産、そして夫の転勤です。天職だと思った英語講師の仕事を退職せざる得ませんでした。

そんなある日、高校時代のホストファミリーが奈央子さんと奈央子さんの娘さんに会いに来日。その時の「子どもと一緒に英語クラブをやってみたら?」というホストマザーの一言がきっかけとなって、親子英語サークルを立ち上げることに。ママ友に呼びかけて始めたこの活動は、5年後には登録している親子が200組になるほど大きなコミュニティになったそうです。

親子英語サークルの運営は、ママ友に手伝ってもらいながら。兄弟姉妹で通っている人もたくさんいたそうです。

ところが、そんな矢先にまた転勤…。関西から町田へ引っ越すことに。さらに夫は単身赴任することになってしまったそうです。

町田に引っ越したことが次の転機に

でももしかしたら、町田に引っ越すことになったのは、奈央子さんにとってさらにキャリアを深める、いいチャンスだったのかもしれません。そう思わせるぐらい、今では町田愛を語ってくれる奈央子さん。その理由はどこにあるのでしょうか。

町田に引っ越した後も、奈央子さんは再び親子英語サークルを立ち上げました。「関西にいたときの体験から自然に動いていた。」と奈央子さん。立ち上げた頃にコロナ禍に入ってしまったものの、「こんなときこそお母さんが孤独にならないようにしたい」と、オンラインで活動を続けたそうです。

そんな奈央子さんでしたが、下の子が幼稚園に入る頃、それまでの活動を活かしながら、仕事として、より収入を得たいと考えるようになりました。

子育てしながら安心して暮らせる大切さ

奈央子さんがすごいのは「英語はツールである」という軸がぶれないこと。普通なら、親子英語サークルの活動を仕事に、と考えた場合、英語サークルのプログラムを習い事用に仕立て直すことを考えると思います。つまり、ボランティアから、英語教室の開講に舵を切るというように。

奈央子さんは英語教室も開いていますが、完全にそちらに舵を切ることはしていません。その理由を尋ねると、「親子英語レッスンを、英語習得を目的とした形で開講してみたこともありました。でも、来てくださる親子さんが求めていることも、私が届けたいことも『英語のためだけ』の時間ではないと気づいたんです。」とのこと。

つまりそれが、「親子のふれあいと、お母さんの癒し。」だったのですね。「やってみたけれど、違う」。その違和感を大事に、習い事としての英語教室一本にはしなかった。

そこに奈央子さんの強い信念を感じると同時に、夫の単身赴任中に一人で子育てしながら暮らすことが、いかに心細くて、不安だったかを感じずにはいられません。現在は単身赴任状態ではなくなったという奈央子さんですが、当事者としての体験が思いの強さに繋がっているのだと思います。

地域活動をしている人と繋がる

さらに、奈央子さんがブレないもう一つの理由は自分と同じように地域活動をしている人たちと繋がったことにあるようです。

夫が単身赴任でワンオペ、さらにまだ街に知り合いも少ない状態。そんななか、興味のあるイベントに出かけているうちに、町田は地域活動が盛んな場所だと奈央子さんは気づいたそうです。

私と出会ったのも、私が2021年に「子どものいる暮らしの中ではたらくを考える座談会」を初めて町田で開催したとき。その時一緒に運営していたメンバーも、他に絵本を通じた地域活動を行っている人でした。

こうして地域活動をやっている人と交流するうちに、そうした人たちの、「街の暮らしを楽しみたい」「暮らしやすい街をつくりたい」という思いと、自分の「親子が触れ合い、お母さんが癒される場所をつくりたい」という思いが重なっていったのではないでしょうか

「街を良くしようとがんばっている人たちと繋がれたことが何より嬉しい。町田に引っ越して来て本当によかった。」奈央子さんはいつもそう言っています。

自分の深いところで繋がれる仲間

「子どもと安心して暮らしたい」という願いと、「親子がふれあい、お母さんが癒される場づくり」という自分のやりたいこと。そして、自分の思いに共感してくれる地域活動の仲間。

お話を伺っていると、これらが繋がったことが、奈央子さんの活動の原動力になっているように思いました。

奈央子さんはその後、町田市地域活動サポートオフィス主催の交通安全教室を開いたり、町田市市民活動協働フェスティバル「まちカフェ!」にも出展。これまでの親子英語広場の活動をさらに広げてきました。

まちカフェ!ではレザークラフト作家の絲子(いとこ)さんと初めての協働。英語の手遊びとともに、革の指人形を持ち帰れるワークショップを開催しました。

ピンチをチャンスに変えてきた奈央子さん。今年は、自分と同じように親子の居場所をつくりたいという人たち向けに、児童英語講師の育成に力を入れたいとのことでした。

みんなではたらくを語り合う

ゲストのお話を聞いた後は、みんなで「はたらく」について思うことを話しました。たとえば、「小さい子どもがいる暮らしでも働くには?」「家族はボランティアである地域活動をどう見ている?」などなど。

子育て真っ只中だから思うこと、子育てを卒業した立場だから思うこと、それぞれが決して自分の考えを押し付けることなく、ゆっくりと、まるで壊れやすい作品をテーブルに並べるかのように丁寧に、そっと、順々に語られていきました。

その後はみんなでおいしいランチ!話が尽きないまま、あっという間の2時間半でした。

日替わりランチはカオマンガイ!うちの子どもたちがあまり食べないメニューなので嬉しかった。

開催してみて思ったこと

初めて開催したイベントでしたが、改めて暮らしに身近な場所で、自分がリアルに感じていることを語り合えるっていいなと思いました。今回は全員子どもがいる人たちでしたが、子どもの年齢が幅広く、その時々の状況を伝え合えるのもよかったです。レポートでは、個人の働き方にフォーカスしましたが、それを見ている家族との関係性をみんなで話せたのも良い時間でした。

次回は未定ですが、2,3か月に一度、定期的に開催していきたいと思います。4月は「子どものいる暮らしの中ではたらくを考える座談会@町田」を22日(月)に開催。場所は初めてのつくし野です。

詳細、お申し込みは下記からどうぞ。

このイベントのレポート前編はこちら。


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