浅生鴨の短篇三〇〇 『アポ・メカネース・テオス』を読んで

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今週の火曜日の作品『アポ・メカネース・テオス』を読んでから、心がすーっと軽くなって、夫がこの世からいなくなってしまったことを受け入れられるようになりました。
いままでも口では「限界までがんばったのだから」とか
「彼がもう苦しくないのならそれでいい」とか言っていたけれど、本心ではやはり苦しく、悲しく、やりきれない思いでいっぱいでした。
けれどもこの作品を読んでからは、悲しみがほとんど消えてしまいました。
寂しくはあるけれど、もう悲しくはないのです。
『陽炎』を読んだときにも似ていて、『陽炎』よりももっと強く、悲しみを拭い去ってくれました。

有料記事なのでなのであまり詳しく書いちゃいけないんだろうけれど、
1つの生命の消失は、終わりではなく、無限に繋がっている宇宙の営みのほんの一部でしかないのだと感じました。
だから、そんなに悲しむことではないのだと。
もちろん愛する人を失う痛みはそんなに単純に消えたりはしません。
だからもし、この短篇が1ヵ月早く書かれていたら、これを読んで傷ついたかもしれない。
でも彼が旅立ってからひと月以上経過して、いろんな手続きも落ち着いてきて、前向きに生きようとし始めたいまだからこそ、心に深く届いて、
荒れ狂っていた悲しみの波を沈めてくれたのだと思います。

明日になったら感じ方が変わっているかもしれないけれど、
とにかくいまは、とても心が凪いでいます。


(本当は『アポ・メカネース・テオス』へのリンクを貼りたかったのだけれど、なぜか埋め込みがうまく機能しないので残念だけど貼れませんでした。
よかったら検索して読んでみてください)

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