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木島先生が恋に落ちた瞬間のこと、またその結末について 【ポルノグラファー考察】

ーー1話から6話に繋がる話ーー

 2018年8月、ドラマ『ポルノグラファー』が放送されてまんまと沼にドボンしたあの日。丸木戸マキ先生のBLコミックスを実写化したこの作品にひと目で心奪われた。
 木島理生という人を理解したくて、配信放送後のど深夜に書きなぐった考察です。
 ツイッターやプライベッターに上げていたもの。
 今よりももっとエモーショナルにとらえていたな。あらから時を経て、感じ方も解釈も違ってきているところも多いです。たとえば、なんで木島先生が久住くんを置いて行ったのか、という点など。
 でも備忘録として、当時のパッションのまま、記しておきます。


 1話で、久住君がトイレに駆け込んだ後の先生は、「なんかよかったなぁさっきの感じ。ネタになりそ」と言って、すごく嬉しそうだった。
だってスランプで長い間何も書けなくなくて苦しんでいた先生が、メモを取りながら笑っているんだよ、、久住君の反応で笑って、書く意欲を刺激された、、といったらこの時はまだ言い過ぎだろうか。
 
 でもこの時確実に、久住君は、ただの人のいい大学生から、先生の創作意欲を掻き立てる存在として先生の心を動かしたんだと思う。何も書けなかった先生が、ネタになりそ、と感じたことがどんなに嬉しかったか。先生は、この瞬間、久住君との恋に落ちたんだと思う。

 唯一理解者であった城戸さんとは、一度は交わったことのある線を切った。友人として言うという狡い言い方で「そこまでして、書かなくてもいいんじゃないか」って言ってしまえる城戸さんの無意識の残酷。編集者ではなく、「友人」としてあえてそれを言ってしまえる鈍感。

 それは確かに、壊れそうな木島先生への思いやりではあるけれど。先生はもう、そういう優しさで首を絞められることには限界だったのかもしれない。「そうかもね」って先生は言っていたから今までにもきっと、似たような風に言われてきたんだろうな。 例えば「今はそんなに焦って書こうとしなくてもいい」みたいな言葉で。 

 それを感じた時、やっぱり先生は手紙の中でも言っていたどうしようもない「孤独」を感じたんだと思う。先生をより一層孤独に押し上げていたのは、城戸さんとの埋められない何かのせいでもあったんだと思う。きっとかつて先生の恋情は創作の源でもあったかもしれないから。それでも「おまえのせいだ」とはきっと絶対に言えない木島先生が本当に苦しい。

 そして6話で、先生はとうとう、久住君が抜けそうなネタを考えて、どんなに自分が書きたかったのかが溢れ出て認めることができた。きっと、久住君のことを考えた時、恋をした瞬間のことも思い出したんだと思うんだよ。だから、久住君に対しての「書きたいんだ!」であり、「君のことをもっとよく知りたいんだ」なんだと思いました。
 
 二人の時間を積み重ねて、久住君は先生にとって大切な存在になった。それはただ楽しいだけでなく、たぶん、先生の創作の糧になる気配を感じたのだと思う。そうしたらもう絶対に久住君を手放せなくなる。縋りついてしまう、と。 

 だから、久住君を傷つけてでも、さらに、創作を、作家をやめるところまでしなくてはならなかった。もう、先生にとって久住君は創作意欲につながってしまうほど大事な存在になってしまったから。書くこと自体を葬らなけらば、この関係を終われなかった。
 だから、先生には離れる時間が必要だった。嘘つきだけど「約束を果たす」には、久住くんと離れたところで書くことが、先生にとって本当に必要なことだったんだと思いました。だから、黙って、久住君を置いていった。それが、先生の約束の果たし方だったんだと思いました。

(2018年9月6日稿)

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