とある役所の話15

久しぶりに書く。とある役所の話。

今回は役所の管理職の実態を記そうと思う。
役所では、50代前後で、概ね10数人から30人程度の部下を抱える課長になるものが多い。課長の下には数人の係長がおり、その下には更に数多のヒラ社員がいるという、どこにでもあるピラミッド型の構図となっている。

大企業と同様、役所の仕事では、何かプロジェクトを進めようとする時には、決裁書と呼ばれる稟議書がヒラ社員により作成され、順に、係長、課長が承認しハンコを押して行く。案件によりさらに、上の部長や次長、局長にまわるものもある。

いわば、ヒラ社員が作った青写真に基づいて様々なプロジェクトが進む訳だ。そうは言っても、重大な案件の場合等にはヒラ社員の一存だけで、青写真が決まる訳ではないのだが、いずれにせよ、案件の内容に一番詳しいのはヒラ社員であることに変わりはない。

この構図で、何が起きるのか。いわゆる、情報の非対称性の中で起きる典型的な悲劇が、プロジェクトに何らかの問題が生じた時の責任問題だ。

ハンコを押して、ゴーサインを出した以上、管理職には当然責任はあるのだが、数多くのプロジェクトの稟議書が回ってくる中で、どうしても把握しきれない部分が出てくるのも事実だ。

不幸にもそうした部分が火を噴いた時に、上司の率直な思いとしては、「そんなことになっていたのか」という驚きの感覚に襲われる、というのが正直なところだ。

普通の人間であれば、立場上、知らないとは言えず、事態の収拾に当たる訳なのだが、肝心のヒラ社員は、特段何か責任を取る訳でもなくのうのうとしていることも多い。

ヒラ社員の中には、責任を取るのは管理職の仕事だろ、と全く自らの失敗を顧みずに平然としている者すらいる。そして、そんな部下は管理職よりも年上で、前回記したように、管理職より給料も多いなんてことも、役所ではザラだ。

今、役所では、管理職になりたがらない若者が増えているそうだ。当然だが、何のメリットもなければ、誰もやりたがらない。

こんな状況の中で、管理職になりたがる奇特な者は、年老いた時に、年下の部下にこき使われたくないという金にならないプライドを持つ者か、異常なまでの出世欲にまみれた者だけだ。

今回もこう申し上げよう。闇は深い。