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ウスタビガの繭

キミは昆虫が好きか?
ぼくがこどものころは昆虫がきらいな少年など珍しい部類だったが、最近では男でも昆虫嫌いが増えているようだ。その原因はひとつしかなくて、つまり幼少期に昆虫と触れ合う機会がないままに大人になった人たちが大勢いるということである。
 
ぼくは子どものころから昆虫が好きで大人になった今でも好きで、息子に昆虫好きになって欲しくって小さいころから英才教育を施してきた。最初セミの抜け殻すら怖がった息子も次第に昆虫の魅力に取り憑かれて今ではぼくより詳しいくらいになった。親としてこんなにうれしいことはない。
 
昆虫は夏が本番であることは間違いないが、実は冬は冬で夏とは違った昆虫たちに出会える季節である。写真はウスタビガの繭である。ウスタビガはヤママユガの仲間で大型の蛾である。見るに鮮やかなグリーンの繭は木々の葉が茂る間は完全に溶け込んでいて発見するのは非常に難しい。羽化してもぬけの殻になった繭が葉が落ちた枝で冬見つかるのである。それはまるで人工物のような鮮やかさで、葉のない枝にぶら下がっているのをみると違和感さえある。
 
ぼくらはなるべくきれいな繭を選別して持ち帰りビンにいれてコレクションにしている。繭は非常に精巧にできていて、近くで眺めるほどにため息がでる。これを幼虫一匹が作り上げるのだからたいしたものである。そしてどの幼虫が作っても同じようにできるのがすごい。これは人間にはとうていできない芸当である。十人十色というが、昆虫にいたっては十人一色が普通なのだ。
 

開封済みと未開封の繭。Voigtlander Macro Apo-Lanthar 65mm F8


先日拾った繭は未開封だった。
繭の中で死んでしまって羽化できなかったのである。繭を振るとカラカラと音がする。ウスタビガが蛹になるのは夏の終わりの2週間程度と言われているからもう半年近く経ってしまって干からびた。未開封というのも珍しいからこのままビンにいれてとっておこう。鮮やかだったグリーンも風雪にさらされてだいぶ色褪せてしまったのがわかる。こうして拾わなければ繭はまた土に還り生命の源となる。自然は循環する。だから自然にゴミなど一つもないのである。

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