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知っておきたい、円満離婚のための「家事調停」とは?


今や3組に1組は離婚すると言われる時代。
結婚している誰もが一度は「離婚してやる!」と思ったことがあるのでは?

簡単に「離婚」と言っても紙切れ一枚で終われないのが離婚です。
一緒に住んでいた家や預貯金などの資産はどうするのか、子供がいる場合は親権や養育費など決めなければいけないことは山のようにあります。

夫婦仲良くいられるのが一番ではありますが、万が一「離婚」を考えたときに焦らないために、知識として離婚の手順や「家事調停」について考えてみましょう。

離婚の手順について

離婚の手順について

離婚自体は離婚届けを提出するだけで成立するため、双方の合意ができていれば簡単です。
よくドラマなどでみるように、離婚届にお互いがサインし役所に提出して完了です。

しかし、離婚以外に、名義変更や住所変更、保険・年金の変更など様々な手続きのほか、子供がいる場合には親権はどちらがとるのか、養育費や財産分与など様々な取り決めを行う必要があります。

離婚成立後は婚姻費用を請求できなくなったり、財産分与の手続きに期限の制約が生まれるので、離婚が決まったら届出をする前に話し合いが必要です。

離婚の話し合いのための「家事調停」

離婚の話し合いのための「家事調停」

離婚前に話し合うことには、具体的に以下のことがあります。

・子供の親権はどちらか持つか
・養育費はどうするか
・親権のない親との面会交流について
・結婚中の財産分与について
・離婚の慰謝料について

これらの決めごとは、必ず法的文書で残す必要はなく、本人同士が納得していれば、口約束でも良いものです。口約束だけでは不安な場合には、約束した内容をどちらか一歩が作成し、印鑑を押して相手に渡す「念書」を残す場合もあります。

しかし「念書」だけではお互いが合意した内容なのかハッキリしないため、実際には双方の意見を反映させ印鑑を押す「離婚協議書」を作成することが多いです。
法律効果としては離婚協議書>念書となります。

ただ実際には、離婚に至る夫婦がこれらの話し合いを争いなくスムーズに行うのは難しいと思われます。その際に行うのが「家事調停」です。

家事調停とは?

「家事調停」は離婚に関する問題だけでなく、夫婦、親子、親族間でのトラブルを取り扱い、家庭内の争いを合意による解決を目指す手続きです。
手続きは、家庭裁判所で行われますが、「裁判」のように勝ち負けを決めるのではなく、話し合いにより合意を目指すものです。

家事調停での決め事によって、「別表第2調停」や「特殊調停」「一般調停」などの種類があります。
離婚のための「家事調停」は、「一般調停」として扱われます。

家事調停を利用する手順は?

家事調停を利用するには、相手方の住所を管轄する裁判所に、調停申立書を提出する必要があります。書類は家庭裁判所のウェブサイトで簡単にダウンロードでき、記入例も掲載されています。
調停申立書(家庭裁判所):http://www.courts.go.jp/

必要な収入印紙(申立手数料)や郵便切手、戸籍謄本などの書類を集め、提出します。

日にちが決まったら、当日双方が家庭裁判所に出向き調停をスタートさせます。
調停は平日に行われ、ほとんどの場合は1回2時間程度です。

裁判官1名と民間の調停委員二人(男女一人ずつです)が中立の立場で、双方の話を聞きます。調停の結果、話がまとまれば調停成立となり、合意ができた内容を記載した調停調書が作成されます。

調停調書に記載された内容は、裁判の判決と同じ法的効果を持ちます。
前述した「離婚協議書」よりもさらに強力な法的効果を持つのがこの「調停調書」です。

また、調停のより話がまとまらない場合(不成立)には、自動的に「審判手続」に移ります。これは「裁判」のことです。
「家事調停」とは比べものにならないほど裁判には費用がかかるので、できれば家事調停で決着をつけたいところですね。

家事調停にかかる費用について

家事調停にかかる費用について

家事調停は、訴訟(裁判)が弁護士費用を合わせて大体50万円〜掛かるのに比べて、申立手数料が1件あたり1,200円〜3,000円程度とかなり安くすみます。

裁判のような複雑な手続きもなく、前述したように調停申立書で始められるので、法律に詳しくない人でも簡単に利用することが可能です。

家事調停の注意点

利用の敷居が低く、費用も安い家事調停ですが、デメリットもあります。
それは、裁判と異なり「調停」の場合は相手に欠席をされると何も話し合いが進まない点です。そのため、相手が協力的でない場合には時間が掛かると言われています。

また勝ち負けを決める争いではないために、調停では必ずしも自分の希望の結果を得られるとは限りません。
調停で解決したい場合には、話し合いによって両方の意見を尊重し、時には折れる必要もあるでしょう。

裁判であれば、相手が欠席してもそのまま進行されます。
また、欠席すると争う意思がないと裁判官に見なされるため、有利に進むことが多いです。

「家事調停(離婚調停)」も「離婚裁判」も一長一短で、良い面と悪い面がありますね。

最後に

「家事調停」とは、離婚協議など、家庭内のトラブルを家庭裁判所での合意により解決を目指す手続きのことです。離婚裁判と比べると簡素で費用も安く、利用しやすいというメリットがあります。

結婚生活で離婚が決まったら、まずは話し合うべき項目を洗い出し、自分の条件を決めておきましょう。その上で双方の話し合いで解決するのであれば「離婚協議書」の作成を、
話し合いが難しそうであれば「家事調停」を利用してみましょう。
家事調停でも話し合いが進まない場合には、自動的に裁判となります。

離婚に向けた話し合いは辛いですが、離婚は必ずしもその人にとってマイナスとは限りません。離婚してから新たなパートナーに出会える人もいれば、ひとりでも結婚中よりも自分らしく楽しく暮らせる場合もたくさんあります。

みなさんのより良い未来のために、チイサポの記事が少しでもお役に立てれば幸いです。


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