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【ふたこと日記】ドビュッシー 子供の領分 ゴリウォーグのケークウォーク

レッスンメモです。


ゴリウォーグのケークウォークについて

子供の領分はDebussyが溺愛する娘のシュシュに捧げた曲集ですが、子供向けの練習曲ではなく、シュシュを取り巻く情景やお気に入りのおもちゃにまつわる表題曲です。
ゴリウォーグはイギリスの児童文学者が考案した黒い肌で縮れ毛のキャラクターで、模したお人形も人気があったそう。
(6:22〜)

またケークウォークはアメリカの黒人の間で誕生した踊りで、2拍子の軽快なリズムでまさにジャズの前進。コンテスト優勝者にケーキが与えられたことからこの名が付いたとのこと。

61小節目から「大きな感情を持って」の指示と併せてビュッシーが批判するワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」のメロディーが登場し、63小節目の会場の笑い声を思わせる軽快な和音で回収します。

ジャズを思わせる裏拍子といびつな間合いのギクシャク感にブラックユーモアと、飽きない仕掛けが次々に繰り出され癖になる心地よさがあります。

技術的なアドバイス

  • 全体を通し左手の跳躍が多く音を外しがちだが、指は伸ばし気味に手の形を極力固定させた状態で移動することで軽減できる。

曲想的なアドバイス

  • 1小節目から曲を通底するテーマ。1〜4小節目まではひとまとまりだが、4小節目では切れ目を意識する。

  • そして、6小節目から始まる「ン・パ、ン・パパ」というケークウォークのリズム。裏拍を意識ししゃくりあげるイメージ。9小節目では受け渡しを意識し、10小節目で例のテーマが再開する。

  • 27小節目の高音は小さく弾けて「ニコッ」と笑う程度の軽いニュアンス。黒鍵の表面を掴むイメージで弾くとうまくいく。

  • 41小節目からは少しギクシャク感。「Allegro guisto」なんだけど、一定の範囲内でテンポのゆらぎがあっても構わない。例えばぜんまい仕掛けのおもちゃが不規則にカタカタ動いたり止まったりするようなイメージ。繰り返し部分を同様に表現しないよう、なんらか自分なりのイメージを自然や身の回りのもので想像し当てはめていくとよい。

  • 61〜62小節と63〜64小節目は非常に対照的。もっと違いをつけてもいい。先生のイメージは、古い喜劇映画で画面が切り替わるときのような。

  • 71〜72小節はみんな弾きづらい。テーマと装飾部分を切り分けて表現できるよう分けて練習して、一つずつ解決していくとよい。

<今日の雑談>
小曽根真さんのセミナーでクラシックをゼロからインプットされてきたひとと、遊びから入ったひとでは音楽に対する自由度が違うという議論になったそう。楽譜がないと弾けないひとは前者。(私はこちら)
技術以外の意味で曲を表現するには、自然でも子どもの仕草でも何でもよいから、自分なりに何らかの情景を借用してあてはめてみるとよい。そうしたインスピレーションを得られるようにインプットを増やしてみるものいかも。

レッスンの中で先生の頭の中にあるイメージを聞かせてもらうことで、
「この一連のフレーズで何をしたいのか」の道筋をそれぞれ示してもらっている状況で、先生の言いたいことはわかる気がします。
技術偏重の発想を徐々に和らげて、自由に表現する楽しみを伝えていきたいと思ってくださっているのかなと。
独学ではなぜかし得なかった曲を完成させていく作業ってこういうことなのかなとも思います。
(和声的な知識も足りないですが)感性的な面でも自分なりの曲を解釈を持って表現することそのものを楽めるようになりたいです。

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