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【原体験ドリブン2章 無料公開】自己ワークをふり返る(4/7)原体験の旅に出よう ~一人でおこなう原体験ジャーニー~

無意識のマップからキーワードを探す

 原体験ジャーニーをひと通り終えたら「ふり返り」をおこないます。今のあなたを形づくることになった一番の原体験を探していく作業です。

 ノートに書かれたあなたの「無意識のマップ」をながめてみてください。自分の今と直接つながっている体験はどれか、その体験とつながっている別の体験はどれか。そうやってさかのぼってたどっていくと、今の自分とつながっている一番古く、強い体験はどれになるのか……。これまで一度も思い出さなかった体験が出てきていたり、一見関係のなさそうな体験同士がつながっていたりと、いろいろなことに気づくと思います。

 無意識のマップのなかに、くり返し出てくる言葉や価値観がないかどうかにも目を凝らしてみてください。それがあなたの原体験を見つけるためのキーワードになるかもしれません。あるいは自分の行動の根源となる動機であったり、モチベーションのタネであったりする可能性もあります。

 原体験らしきものが見つかったら、それが今の自分がやっていることとかみ合っているかどうかも考えてみてください。あなたが今、自分の現状に満足していない、これで本当にいいのだろうかというモヤモヤや不安がある──。そういう状況なら、なおさら原体験と今やっていることがマッチングしているかどうかに目を向けてみるといいです。原体験と今やっていること、やろうとしていることがマッチングしていないと思ったら、そこに向き合うための別の手段を考えてみてください。

 ふり返りをするときに、注目してほしいキーワードが3つあります。ここに注目すると、より強い原体験が見つかったり、自分でははっきりと意識していなかった固定観念を意識して、外すこともできるようになります。

Keyword 1 パンドラの箱

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「パンドラの箱」という言葉はギリシャ神話に由来する、あらゆる災厄が詰まっているために開けてはいけないもの、ふれてはいけないものをあらわす言葉です。
 
 原体験ジャーニーによって無意識の領域にある記憶を意識化していくと、自分にとっての嫌な体験が掘り出されることがあります。嫌な体験ですから、ふだんは無意識の奥のほうに押しこめられており、思い出すことはほぼありませんが、深掘りされることで出てきてしまうのです。

 原体験ジャーニーはトラウマ探しが目的ではありませんし、そこをムリに掘り下げることはありませんが、大丈夫そうなら思い切って「パンドラの箱」を開けてしまうのもまた、原体験が見つけやすくなる方法です。
 嫌な体験を深掘りして外に出してしまうと、これまで嫌だと思っていた体験に対する見方が変わることがあります。

 嫌な体験をした当時の自分と、今の自分はちがいます。年齢を重ね、成長してきました。さまざまな体験を経て、考え方や価値観が変わっています。かつては嫌だ、思い出したくもないと思っていた過去の体験でも、大人になった今なら向き合える可能性が高いです。

 嫌な体験とあらためて向き合ってみると、今になれば何ということのないできごとに見えたり、自分が当時思いちがいをしていたことに気づいたりするかもしれません。パンドラの箱を開けてみることで、ネガティブがポジティブに転換することは大いにあり得ます。

 ただ、人によっては、無意識の奥に押しこめていた嫌な体験と無理に向き合って立ち直れなくなってしまう場合もあります。これは深掘りしないほうがよさそうだ、深掘りしたくないと思うときはムリにパンドラの箱を開ける必要はないです。手をつけず、そのままにしておいてください。箱を空けないまま人生を過ごすかもしれませんし、いつか「開けてみよう」と思えるときがくるかもしれません。

Keyword 2 子象の鎖

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『子象の鎖』
という外国の寓話を知っていますか? サーカスに出演する象は、小さな杭と鎖につながれているだけ。

大人の象がその気になれば、すぐに引きちぎることのできそうな、頼りない鎖です。でも、象は逃げない。なぜなら、子象のときからこの鎖につながれ、逃げることができないと思いこんでしまったからです。

 子象のときは体が小さく、力も弱かったからその鎖をちぎることはできなかったかもしれません。でも子象は大人の象になりました。大人の象なら、そんなちゃちな鎖を気にする必要はないはずなのに「どうせ逃げられない」と思いこみ、自分の行動を自分で制限してしまっているわけです。これが『子象の鎖』のあらすじです。

 原体験ジャーニーを進めていくと、子どものころの思いこみが大人になった今でも自分に残っていると気づくことがあります。私たちは何にでもチャレンジしてみる自由があるはずなのに、幼いころに親からいわれた「お前は何をやってもダメだ」のひと言が、無意識のうちに大人になった自分も縛っている。そんなパターンは意外と多いものです。

 子どものころにいわれた「お前は何をやってもダメだ」は、今となっては何の根拠もない「固定観念」にすぎません。この固定観念を原体験ジャーニーによって意識化できれば、今、自分がなにごとにも自信を持てないのは、かつて親からそれを言われたせいだと認識することができます。

「私は何をやってもダメだ」「だからこれも失敗したんだ」「何をやってもダメなら、はじめからやらないほうがいい」と自分が行動しない理由を外に求めていると気づけば、根拠のない固定観念から自分を解き放つことは可能です。

Keyword 3 家族との関係性

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 原体験ジャーニーと、家族との関係、とくに親やきょうだいとの関係は切っても切れないものです。自我や客観のない子どものころに体験したことは、とりわけ強く自分の無意識のなかに残っていることがあります。そのため、原体験ジャーニーのふり返りでは家族との関係性に着目するとよいです。

 自分は実家に帰るたび、自分の原体験に親が影響をおよぼしていることを痛感します。それはときに悲しくなるほど、大きな影響です。
 家族の姿は、よくも悪くもあらゆることのもっとも身近なロールモデルになります。進学や就職、結婚においても、親や家族の影響から私たちは完全に逃れることはできません。親とは反対の生き方をしようと考えるのも、反面教師として影響を受けていることになります。家族のあり方が今の自分を縛っている、規定している。そのことをふり返りのときは意識してみてください。

 無意識のマップをながめてみて家族のからむ体験がでてきたら、そこに着目してみてください。原体験ジャーニーの途中なら、家族に話がおよんだところはとくに念入りに深掘りしてみてほしいです。根本の原体験に近いものが出てくるかもしれません。

自分の「原体験」を見きわめる

 原体験ジャーニーを終えたら、「どれが自分にとっての原体験(いちばん強いと思われる体験)なのか」を見きわめていきます。

 原体験を見つけるのに「この条件にあてはまればそれが原体験」というわかりやすい基準は残念ながらありません。基本的には原体験ジャーニーで掘り出された数々の体験のなかからどれが今の自分(生き方、仕事、価値観など)にもっとも影響をおよぼした体験か、検討していくことで「これが原体験だ」と認識していくことになります。

 ただ、自分にとっての一番の原体験を見分けるコツはあります。

 まずは、「この体験があったから今の自分はこうなっているんだ」という「腹落ち感」や「納得感」があるかどうかです。今自分のやっていることと過去の体験のつながり、そのつながりの強さや深さの度合いを見て腹落ち感があるかどうかを考えます。今自分がやっていることを正当化したいがために無理に自分を納得させる場合もありますから、自分でふり返りをするときは、その点に注意が必要です。

 ほかには「なぜ?」をひたすらくり返していき、「これ以上質問することも答えることもできない」ところまでたどり着いたらそこが原体験だという人もいます。1人でやる自己ワークでこれ以上は深掘りできないと感じても、ペアワークで人から深掘りしてもらうとまたさらに無意識に潜っていける場合もありますから、機会を見つけてペアワークにもトライしてほしいと思います。

 浅く弱い原体験を「これが原体験だ」と勘違いしてしまわないよう、先に説明した「3歳」前後をめやすに深掘りすることをは最後にもう一度強調しておきたいと思います。ただし、3歳前後の体験が原体験だといっているわけではありませんので、そこは注意してください。もう思い出せない、引き出すことができないと思うほどの過去までさかのぼっておけば、そこまでのジャーニーの過程に原体験が含まれる確率が高くなり、結果として原体験も見つかりやすくなる。そういう意味でのめやすなのです。

 なかには「これが原体験だ」と思ったものの、自信がもてない人も出てくることでしょう。1回のみならず、日をあらためて二度、三度と原体験ジャーニーをくり返すことで深掘りのスキルが上がり、思いもかけない原体験が新たに見つかる可能性もあります。腹落ち感が得られないときは、何度もくり返しやってみてください。

 原体験は見つかったけれど、「こんな体験も原体験といっていいのか?」と疑問に思ったり、迷ったりする人もいるかもしれません。第1章「原体験には種類がある」でも説明しましたが、原体験は「つらく苦しい体験」「強烈で壮絶な体験」「トラウマ」ばかりではありません。メディアで紹介される原体験はそのような目を引くものが多い傾向にありますが、原体験というものは人それぞれです。なかには、家柄や地元の歴史にからむ原体験をもつ人もいます。アニメや音楽が原体験という人もいます。原体験にはバリエーションがあると知っておけば、偏見なく自分の原体験を探すことができると思います。

→自己ワークのやり方(5/7)

→目次

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また、イベントやコミュニティとして、ペアワークや原体験ジャーニーの感想やナレッジの共有しているグループもありますので、さらに原体験ドリブンな世界を知るために入っていただければと思います。

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