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映画「バビロン」感想

 一言で、ハリウッドでのサイレント映画からトーキーへの変遷を描いたキワモノ群像劇です。音楽・演技は良く、映画史の勉強にはなりますが、3時間超の上映時間に加え、激しい暴力・性愛描写が多く、賛否両論な超問題作でした。

評価「C」

※以降はネタバレを含みますので、未視聴の方は閲覧注意です。後は、下品な内容故に、伏字を使用していますが、苦手な方は要注意です。

 本作は、1920年代のハリウッドを舞台にしたドラマ映画で、配給はパラマウント・ピクチャーズ、監督・脚本は『セッション』・『ラ・ラ・ランド』・『ファースト・マン』のデイミアン・セイヤー・チャゼル、主演はブラッド・ピットとマーゴット・ロビーです。尚、本作に出演しているトビー・マグワイアはエグゼクティブ・プロデューサーを務めています。
 劇伴は、ジャズミュージックかつミュージカルテイストで、ノリが良く、印象に残りやすい曲調故に、第80回ゴールデングローブ賞では作曲賞を受賞しました。※他にも作品賞(ミュージカル・コメディ部門)・主演女優賞・主演男優賞・助演男優賞・作曲賞にノミネート。また、第95回アカデミー賞では作曲賞・美術賞・衣装デザイン賞にノミネートされました。

 ちなみに、ジャズミュージックがテーマなことから、本作と『BLUE GIANT』で予告編のコラボがあったようです。

・主なあらすじ

 1920年代のハリウッドはサイレント映画で隆盛を極め、その儲けから毎晩豪華なパーティーが開かれる程でした。サイレント映画の大スターである、ジャック・コンラッドはいつも映画パーティの主役です。
 一方、会場では大スターを夢見る、新人女優ネリーと、映画製作を夢見る青年マニーが、運命的な出会いを果たし、心を通わせます。恐れ知らずで奔放なネリーは、特別な輝きで周囲を魅了し、スターへの道を駆け上がってきます。
 また、マニーもジャックの演技と映画の魅力に取り憑かれ、彼の助手として映画界での一歩を踏み出します。
 しかしハリウッドは、サイレント映画からトーキーへと移り変わる激動の時代へ。この大きな波はそれぞれの運命を巻き込んでいきます。

・主な登場人物

・ジャック・コンラッド 演 - ブラッド・ピット
サイレント映画の頂点に立つ大スター。しかし私生活では、結婚離婚を繰り返し、スキャンダルまみれでした。

・ネリー・ラロイ 演 - マーゴット・ロビー
「スターは生まれつきよ!」が口癖で、怖いもの知らずな新人女優。ドラッグで腹上○した女優の代役となり、一躍有名になります。しかし、次第にドラッグと賭事に溺れていき…

・マニー"マヌエル"・トレス 演 - ディエゴ・カルバ(英語版)
メキシコ系アメリカ人の映画アシスタント。ハリウッド映画界に憧れ、メインスタッフとして働くことを夢見ていています。

・エリノア・セント・ジョン 演 - ジーン・スマート
あらゆるパーティに出没する扇情主義者のジャーナリスト。

・シドニー・パーマー 演 - ジョヴァン・アデポ(英語版)
黒人系のジャズ・トランペット奏者。謂れなき差別に遭うも、脇役だったジャズミュージックを主役に押し上げます。

・レディ・フェイ・ジュー 演 - リー・ジュン・リー(英語版)
中国系女優。サイレント映画の字幕制作者にして、歌手。その高い才能は『東洋のエメラルド』と呼ばれるほどに。しかし、アジア系故に理不尽な目に遭い、また「とある理由」でハリウッドを追放されますが…

・ジェームズ・マッケイ 演 - トビー・マグワイア
ギャングのボス。不吉でサイコパスな性格で、マニーにとある「計画」を持ちかけます。

 ちなみに、デミアン・チャゼルの妻オリヴィア・ハミルトンが、サイレント映画の監督ルース・アドラー役として、出演しています。

1. 賛否両論も納得の闇鍋ごった煮カオス映画、「超問題作」。 

 本作は、一言でいうと、上記の副題通りでした。予告編でも賛否両論になりそうな雰囲気はありましたが、本編はその10,000倍くらいイカれてました。

 ドラッグ・乱○・ス○トロ・放○・大人の玩具・猛獣・嘔吐・セクシャリティー・ポロリ・見世物小屋・小人・獣人など、とにかく「尖りすぎた」ものを何もかも詰め込み、闇鍋ごった煮にしたカオス作品です。
 映画のレーティングは「R15+」なので、元々成人向き作品ですが、それでもかなり評価は割れてます。正直、「傑作」の人も「駄作」の人も、どちらもいると思います。日本人だとキツい描写が多いので、あまり受けないと思います。とりあえず、「潔癖症」の人はお勧めしません。

 例えば、『グレイテスト・ショーマン』や『ラ・ラ・ランド』などの、全年齢指定のハリウッドミュージカルを期待すると「大火傷」します!同じR15+作品でブラット・ピット主演の『ブレット・トレイン』と比較しても、エグさが段違いでしたね。

 また、本作を観てパッと思いついたのが、Netflixのドラマ『全裸監督』でした。ジャック(またはマニー)とネリーが、村西とおると黒木香みたいでした。どちらも、「キワモノ達の栄枯盛衰」を描いた点は似ていると思います。とりあえず、邦画ではここまで「攻めた」物は中々創れないんじゃないかと思いました。

  後は『ブギーナイツ』・『シカゴ』・『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』・『ヘルタースケルター』を思い出しました。ちなみに、『ワンス〜』はブラッド・ピットとマーゴット・ロビーが出演していたので、その縁もあってのキャスティングかもしれません。

 序盤のパーティーでは、酒やドラッグで乱痴気騒ぎになって、男女が随所で「行為」しまくっているのですが、モザイクかけられすぎていたので、もう途中から笑えてきました。この辺は一応、「R15+」なのでね。
 後は、遠くからの「引き」の撮影とか、「アレとかコレ」があからさまに影に隠れてたり、着衣とか疑似とか。あんなことしまくってたら性病やAIDSがパンデミックしそうで怖いですね。後は反キリスト教の悪魔儀式「黒ミサ」みたいな感じもあります。あの『アイズ・ワイド・シャット』を1,000倍汚くした感じで。

 余談として。実は、当初ドルビーシネマに配給された素材は必要な「修正」がなされていない「R18+相当」の内容だったため、事態が発覚した2月14日から2月16日までは「R18+作品」として上映されたようです。※17日以降は新たに配給された「R15+」の修正版本編に差し替えられています。

2. 金をかけるべきところにはガッツリとかけており、完成度としては悪くない。

 本作、映画としての完成度は本当に悪くないので、アカデミー賞候補なのも納得です。所謂、セットやキャストなど、お金はかかっている典型的な「豪華ハリウッド映画」でした。
 また、劇伴も印象に残るので、何度も聴きたくなります。特に予告編で流れてたメインテーマの『Voodoo Mama』が特に良かったです。そこは流石、『ラ・ラ・ランド』の監督さんでした。

3. 俳優さんも体張りまくりで、色んな意味で印象に残った。

 本作、俳優さんも体張りまくりで、色んな意味で印象に残りました。
 また、パンフレットより、本作の登場人物達は、上記の実在の俳優を組み合わせて作っているそうです。

 まずネリー、とにかくヤバい存在で、一番印象に残りました。メンヘラでヤンデレで、バイセクシャルで、とにかく恐れ知らずでのし上がりたい根性が強く、ライバルすら蹴落とします。ペチャ○イがコンプレックスで、ノーブラなのにまさか胸に氷を入れたのは草でした。しかも、『銀魂』の神楽も真っ青な「ゲ○イン」でした。
 ちなみに、彼女が女優を目指した理由は、「故郷でブス扱いしてきた奴らを見返したい」から。うーん、マーゴットが「ブス」は無いでしょ。
 両親は幼い頃に離婚し、父に育てられて、母は精神病院に。父をマネージャーにして二人三脚で仕事しますが、娘が売れた途端、父は調子に乗って若い女性にナンパする始末。それをネリーは睨みつけ、何とガラガラヘビで○そうとするまでに至ります。(結果的には「未遂」。)
 こういったヤンキーそのものな点は、『ザ・スーサイド・スクワッド』のハーレー・クインのイメージでしょうか?それにしても、マーゴット・ロビー、相変わらずの美女でプッツン役が上手いです。
 しかし、稼いだお金を湯水の如く使う性格のせいで、徐々にギャンブル依存症と薬物中毒になり、結果的には破滅しました。
 最期はマニーと逃亡するも、彼の目を盗んで失踪し、近くの川で溺○。享年34歳でした。
 モデルはスター女優のクララ・ボウ。映画『あれ』のデパートガールでブレイクし、「イット・ガール」と呼ばれました。1920年代の自由奔放な女性を象徴する『セックス・シンボル』でしたが、貧困のどん底で育ち、精神病の母からの虐待と、父からの性○暴行の過去がありました。1930年代になると、トーキーでの下町訛りの台詞・奔放な私生活によって人気が衰え、引退しました。

 次にマニー、映画業界で仕事をこなすも、ジャックやネリーに振り回されます。しまいには、ネリーの借金を肩代わりするために、893を出し抜こうとするも…
 10年後、マヌエルは妻子を連れて、かつての職場のL.A.のキノスコープ社へ。その後、一人で映画館に入り、『雨に唄えば』を観て静かに涙を流します。既に時代は「トーキー」に。夢は破れ、今はオーディオ機器の店を開いていることがわかります。

 また、ジャックは、作中で何度も結婚離婚を繰り返し、毎度女性を不幸にする疫病神系の男性でした。ブラッド・ピットも、『ブレッド・トレイン』のヘタレなレディバグ役とは違いすぎます!
 しかし、時代はサイレント映画からトーキーへとなり、彼の演技は段々通用しなくなりました。
 しまいには、エリノアに「貴方の時代は終わったの。ジャック、貴方のような人は常に100人はいる」と言われてしまい、彼は人生に絶望して「拳銃自○」しました。
 モデルはサイレント映画の俳優ジョン・ギルバート。女性からの人気が高く、また私生活でも4回結婚しました。しかし、トーキー出演第一作目『彼の栄光の夜』で出した声が失笑を買い、人気が急落します。やがて酒に溺れて、アルコールが原因の心臓発作で38歳で死去しました。

 そして、アフリカ系アメリカ人でトランペット奏者のシドニーは、ジャスでその名を上げますが、黒人なのに黒ドーランを塗らされるという嫌がらせを受け、一度撮影所を去ります。しかし、そんな理不尽にも負けず、音が聞こえるトーキーの台頭により、当時のバックミュージック専門だったジャズミュージックをメインに押し上げました。
 モデルはルイ・アームストロングやカーティス・モスビー、本作で「シドニーが黒ドーランを塗らされた」話は彼らのエピソードから取っているそうです。

 さらに、中国系アメリカ人女優のフェイ。もともと移民としてアメリカに住み、ハリウッドでの成功を目指します。実はレズビアンでネリーと恋に落ち、ガラガラヘビから「救った」ことも。しかし、アジア系であることや、自身の性的嗜好を「スキャンダル」として報道され、ハリウッドからは追放されました。しかし、その後は欧州にて活躍し、最後にジャックと再会します。
 モデルはアンナ・メイ・ウォン。中国系移民で10代にてハリウッドデビューします。しかし、役の少なさ・差別により欧州で活動しますが、戦争によりハリウッドに戻らざるを得なくなりました。レズビアンとの話もありました。

 エリノア・セント・ジョンのモデルは作家・女優のエリノア・グリン。『あれ』の原作者であり、映画にも出演。他にも当時活躍したレポーターや映画コラムニストも参考にしたそうです。

 ルース・アドラーのモデルはハリウッド専業女性監督のドロシー・アーズナー。私生活ではレズビアンであり、モラルに囚われない女性の活躍をポジティブに描き、現在ではフェミニズム映画として人気があります。

 それにしても、「声」で批判されて引退したなんて、今から見れば、何だか理不尽だと思いました。

4. 『バビロン』のタイトルの意味は?

 本作のタイトルを考察してみましたが、旧約聖書に登場する「バベルの塔」と、以下の二つの書籍『ハリウッド・バビロン』と『グッドモーニング・バビロン!』から取っているのかなと思います。

 まず、「バベルの塔」は、旧約聖書の「創世記」中に登場する巨大な塔です。天にも届く神の領域まで手を伸ばす塔を建設しようとして、崩れてしまった(神に壊された)という故事にちなんで、「空想的で実現不可能な計画」の比喩として用いられています。
 また、大アルカナタロットカードで最も悪い札とされる「XVI 塔」のモチーフにもなったとされており、同じ「塔」という人工建造物、塔が破壊されるという扱い、塔から落ちる人間の描写から、「人間の驕りに対する天罰」という解釈がなされています。
 実際には、1929年にバブルが弾け、大恐慌となり、1930年代にはハリウッド映画の自主倫理規制の「ヘイズコード」が作られ、性や暴力、反キリスト教描写が禁じられて、「バビロン」は崩壊していきました。悲しいかな、ジャックとネリーの姿がそれに重なります。

 また、『ハリウッド・バビロン』は、アバンギャルドな映画監督ケネス・アンガーが、1900年代から1950年代に至る時期のハリウッドの映画界の有名な(ないし、悪名高い)多数の人々についての 卑俗な醜聞類を詳しく綴った著作です。アメリカ合衆国では1965年に最初に出版されましたが、その過激な内容故に、出版から10日後に販売中止となり、1975年まで再刊されなかった発禁書籍となりました。
 本書は、サイレント映画時代から1960年代まで、ハリウッドのスターたちの逸話を詳しく紹介しており、チャーリー・チャップリン、ルーペ・ヴェレス、ルドルフ・ヴァレンティノ、オリーヴ・トーマス、セルマ・トッド、フランシス・ファーマー、ファニタ・ハンセン、メイ・マレー、アルマ・ルーベンス、バーバラ・ラ・マー、マリリン・モンローらが取り上げられています。
 加えて本書では、俳優や映画プロデューサー、映画監督による事件や、ハリウッド・ブラックリストなど、栄光の裏にある数々のスキャンダルについても触れています。

 そして、『グッドモーニング・バビロン!』は、1987年制作のイタリア、フランス、アメリカ合衆国の映画です。D・W・グリフィスの超大作映画『イントレランス』のセット建設に参加したイタリア人兄弟が名もない仕事を次々にこなし、やがて、父と仕事をした“奇跡の聖堂”のイメージを甦らせた印象を作り出します。それが映画監督グリフィスに認められ、2人は出世し、結婚しますが、『イントレランス』が公開された頃、第一次世界大戦の不穏な空気が世を覆う、という話です。映画作りに関わる人々の話や、『イントレランス』で『バビロン篇』の話が出てくることから、本作とも馴染み深いかもしれません。

5. 映画史の勉強にはなるし、作り手には響くのかも。

 本作は、ある意味「映画作りの『劇中劇』」と言えるでしょう。サイレント映画とトーキーの映画史の話、撮影所でのアレコレ、セットやカメラなどの撮影技法、俳優やエキストラの存在など、作り手の人・裏方・演者が見ると「共感」する点があるのかもしれません。業界の裏話が聞ける・覗ける点が。この辺は、数年前に放送・公開された『おちょやん』・『映画大好きポンポさん』や、今年の公開された『エンドロールのつづき』・『フェイブルマンズ』などを思い出す人もいそうです。

 しかし、この当時は常に「ぶっつけ本番で一発勝負」が当たり前で、労働基準法なんてないし、守られてもいないのが当然でした。俳優の台詞だけでなく、看板や細かい表示を見ていくと、いかに劣悪な撮影環境で撮影されていたかがわかります。

 まず、この時代には現代のようにCGやグリーンバックがないので、演出を全て生身の人間でやらなくてはいけません。例えば、戦闘シーンでは血しぶきはCGではなく、「マジの血液(血糊があったとしても)」で、キャストやエキストラの重傷が絶えませんでした。特にエキストラは全員「薬物中毒患者」で、どうせ「先は長くないから、大人数を安く使おう」という発想だったようです。本当にみんなゾンビみたいだったので、いっそ『ゾンビ映画』を撮った方が良かったと思うくらいでした。しかも、本当に槍で刺されて○んだエキストラもいましたし。

 また、ジャックと女優のキスシーンは、夕日をバックに撮られましたが、このような気象現象も、それが出来るまで待たなくてはいけません。この辺は、かの黒澤明監督を思い出します。その分「本物感」はありますが、それ故に監督が妥協せずに満足行くまで作り上げることはかなり大変だったとわかりました。

 そして、雪を降らせるのに、コカインとアスベストを降らせるの、ヤバすぎです。しかも子供までいるし。みんなの健康被害が半端なさすぎます。

 さらに、セットに引火して火事が起こってるのに、監督は「カメラを止めるな!撮影は続ける!」と怒鳴ります。この辺、何となくあの『カメラを止めるな!』を思い出しました。

 後は、長時間の撮影なのに、空調設備のない暑い部屋にずっと閉じ込められて○んだスタッフや、キャストやスタッフに対する人種差別(ユダヤ人・黒人・アジア人・LGBT-Qなど)もリアルに描かれていました。

 正直、今でも撮影環境は「良い」とは言えない点はあると思います。しかし、昔はもっとあり得ないことがまかり通っていたことがわかりました。それに対し声を上げた人々がいたからこそ、撮影技術も環境も「改善」していったのかもしれません。

6. 上映時間の長さ故に、途中からストーリーが間延びしていた。

 本作の上映時間、何と200分近くあります。オスカー候補作で3時間超えの作品だと、『アバター: ウェイ・オブ・ウォーター』や、『RRR』がありますが、それでもやはり長かったです。しかも、休憩時間がないから、トイレも近くなるという。

 まず本作では、主要キャスト5人の生き様を三者三様に描こうとしたのは良かったと思います。しかし、流石に5人は多いし、その比重もどれも重すぎます。

 また起承転結で言えば、「起」の乱痴気パーティーが一番盛り上がっていて、後はどんどん下り坂になっていました。後半で「とあるドタバタ」が起きますが、それまではダラダラ展開です。だから、途中からストーリーが間延びしていました。

 ある意味、ドラマ『全裸監督』1-2シーズン16話を3時間に圧縮したような構成になっていました。そのため、どうしても後半の駆け足感は否めません。
 そう考えると、同じように3時間超え作品でも、『RRR』が如何に見やすかったかがわかりました。 

7. 動物好きな人は要注意。象・蛇・鰐・鼠、どれも扱いが悪いので。

 本作は沢山の動物が登場しますが、どれも扱いが悪いので、動物好きな人は要注意です。まぁ、人間すらあり得ない待遇だったのですから、動物なんて「それ以下」だったのはわかります。(それを肯定はしてませんよ!)

 まず、ジャックはサプライズとして、象を屋敷に運ぼうとしましたが、象自体が重いし、どう考えても坂道発進出来ないので何度もトラックが崖から転げ落ちそうになっていました。
 しかも、象の「落とし物」を全身に浴びたインド人の象使いが哀れすぎました。結局パーティーに乱入させて会場をパニックにさせたのは良いけれど、あの後どうなったんですか?

 また、パーティーの最中、ネリーが泥酔してガラガラヘビを挑発し、危うく噛まれたシーンで、フェイによって蛇はナイフで真っ二つにされました。蛇からすれば、自分の身を守っただけなのに、気の毒です。

 そして、マニーがジェームズとやってきた、トンネル下の盛り場の地下室で鎖に繋がれていた鰐。そこは社会の底辺や掃き溜めのような場所で、賭け事や見世物小屋、アブノーマル風俗などが横行していました。
 マニーはジェームズを出し抜こうと、「偽札」を用意しましたが、ひょんなことから札が濡れてバレてしまいます。マニーは逃げるために地下道に鰐を放って辺はパニックに。

 後は、鼠を生で食った獣人もいました。

 この辺の「見世物小屋」のエピソードは、時代的には映画『ナイトメア・アリー』と重なります。オドロオドロしさや気持ち悪い点が。

 最後に、本作は史実と創作を混ぜてはいるものの、実際にハリウッドでサイレント映画からトーキーという革命が起きたことで、彼らのように明暗が分かれた者は沢山いたと思います。
 それでも、エリノアの言葉のように、「たとえ俳優達がこの世を去っても、フィルムに映る『彼ら』は生き続ける。そして、それを見た未来の人々は『彼ら』に会えるし、『友達』だと感じるだろう」という言葉にはグッときました。たとえ、フィルムに映った姿は「一瞬」でも、そこには色んな人の人生が垣間見えるのかもしれません。

 最後に「名作映画の一コマ」が挿入されるので、映画好きな人はそれで嬉しいかもしれませんね。

出典:

・映画『バビロン』公式サイト

https://babylon-movie.jp/sp/

※ヘッダーは公式サイトより引用。

・映画『バビロン』公式パンフレット

・映画『バビロン』Wikipediaページ

・ハリウッド・バビロン Wikipediaページhttps://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%90%E3%83%93%E3%83%AD%E3%83%B3

・グッドモーニング・バビロン! Wikipediaページ

・バベルの塔 Wikipediaページhttps://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%99%E3%83%AB%E3%81%AE%E5%A1%94


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