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「一緒に入れないで」

 職場の同僚Kさんは、もう還暦を超えて数年のお茶目な人です。

 仕事の時間がかぶるし、わりと話も合うので、年末当たりからは実母の不調のこととか、年が明けてからは実母の葬儀に絡む話とか、もちろん叔母とか義母の話とかもしていました。なので、私の状況はよく判っている。

 そのKさんが、今日、私の顔を見るなり、

「夫の義姉から連絡があってね」

 Kさんのご主人の兄嫁なので、もう70は越えているとのこと。

 義兄夫婦は子供がなく、もし万一のことがあったら、Kさんの一人息子であるYさんが、遺産を受け継ぐ代わりにお墓の面倒なりを見ることになっているそうです。お墓は、Kさん一家のところに一緒に入ることになっているそう。

 その義姉さんが何やら深刻な様子で、

「もし、私が先に死んだら、私は実家の墓に入れて欲しい」

 これは流行の熟年離婚とかその手前の不和か、と身構えたろころ、

「私が死んだあとで、夫(Kさんの義兄)が若いお嫁さんを貰ったりしたら、みんな一緒のお墓になるって事でしょ。それはちょっとって感じで……」

 なんの心配してるんだ。

「それ、義兄さんには言ったの」

と聞いたら、

「こんなことあの人には言えないよ。Kちゃんにだから話したの」

 いやいやいや。

 もし本当に義姉さんが先に亡くなったとして、「義姉さんの意志だから家の墓には入れられない」「義姉さんの実家の墓に入れて貰って」なんて、義妹のKさんが言えないでしょ! そんなのただの意地悪じゃないか。

 そんなの義兄にちゃんと言うか、判るように形にして貰わないと困るよね! てか『あんたの夫そんなにもてないよ』って言っちゃうよ。


「もうね、亡くなったら知らん顔でうちの墓に入れるわ」との結論でした。

 ていうか70過ぎてもそういう心配するのだねぇ。笑ったけどちょっと感心。


「これは絶対ちかちゃんに言わなきゃいけないと思って、来る前にシフト一緒なのも確認しちゃったわ」

 って、Kさんの中の私の立ち位置もよくわかんないけど。


 Kさんに関しては過去の面白エピソードを古巣のブログに書きためてあるので、そのうち移植しようと思います。

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