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【第2話】工業高校末席が大卒エリートと同期になりました

【第2話】工業高校末席卒の落ちこぼれが、大卒エリート達と同期になって得たもの


1話を経て、これを機に「いよいよ建築に目覚めたか!?」と言えばそんな事は無かった。だって、そもそも建築業界で働くという選択肢は高校入学当時から何も変わっていない。だから思っていた通りに卒業後は建築の仕事ではなく畑違いの企業に就職した。その会社は南青山に本社を置き、都内で事業展開している「そこそこイイ、印刷会社」だ。2度目の工業専門高校の卒業資格を無駄にした話だ。

その会社は1990年後半頃から競争が激化していたオンデマンド印刷に先駆けて力を入れている"ちょっとエリートな会社"だ。そんなエリートな会社の新入社員同期もエリートで、上智大学や早稲田、慶應義塾とか、世間的に知名度も学力も高い大学から採用された人が8人がいた。それでその中にただ一人だけ工業高校卒業の低学力のわたしがいた。"こんな人たちと新入社員研修?""なにかの違いなのではないだろうか?"と本気で思ったのを今でも覚えている。みんな挨拶に賢さが滲み出ている。とにかくチャキッとしていて、フレッシュマンって感じだ。大学受験を勝ち抜いて来た人間達は心構えも身なりも立ち振る舞いも、発言する言葉も全てにおいて万全の準備で望んでくる。

逆にわたしは「御社」「貴社」「弊社」「当社」の使い分けすら出来なかったり、名刺交換の仕方すらまったくわかっていないような男で。まるで準備が足りない。もう研修1日目の開口一番の時点ですぐに"違う生き物"だと気づいた。

研修を続けていくうちに大卒エリートとわたしの違いについて気づいた。わたしは研修で黙ってメモを取っている。当然初めて聞く内容だし、わからない事なので一生懸命聞いて素直に身に入れようとしている。特に質問も疑問もない素直に会社の色に染まろうとしている社畜研修生だ。大卒エリートは研修中に講師に対して「ちょっといいですか?」と挙手をして疑問や不明点をガツガツ質問する場面が見られた。それに答える研修講師の方も明確に答えるのだが、合点が合わないと次の一歩踏み込んだ質問が入る。その質疑応答のやり取りを聞いていた他の同期が横からさらに質問をする。「一旦待てい!」とわたしが水を刺したい状態だが横から口を挟んでエリートに目をつけられたら困るので黙っときました(笑)。でもこの時思いました。彼らは自分が分からないことを瞬時によく分析し、それでも分からないと率直な質問を投げかけ、納得出来る回答を自分の腑に完全に落とし込んで解決していく。その癖がついている事。常に"謎を謎で終わらせない向学の精神"を持っている生き物だ。

そんなんで、わたしの最も恐れていたのはグループディスカッションの研修。高卒だから別というわけでもなく、わたしはそのチームの一人となる。正直みんな頭が良すぎて「ちょっと何を言っているのかわからない」という感じだった(笑)時折、「滝野くんはどう思う?」って聞かれても正直心の中では「そんなこと俺に聞くな。。。」って思いながら支離滅裂な答えをすれば、「え?じゃぁ、それってどういう事?もう少し具体的に。。。」と返され「君たち向学心高すぎじゃ!もう俺の事はそっとしておいてくれ!」ってその場を逃げだしたくなったのはマジな話だ(笑)

劣等感だらけの最悪の研修会ではあったが、唯一、大卒エリートに勝つことが出来る事がありました。

【次回予告】
いかがでしたでしょうか?記事をみて「可哀想だな」と思って頂けたでしょうか?(笑)社会に出れば色々な事があります。同期と言えどもこの格差の中では、猛烈に劣等感を感じざる負えない状況だったのですが、次回、劣等生のわたしに光が差します(笑)わたしが大卒エリートに勝てたこと。それは"研修会の外"での出来事でした。

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