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日経平均株価が最高値。34年続いた日本人の心理的な壁は壊されたのか?

2024年2月22日、日経平均株価が1989年12月29日に記録した38,915円を超えて、最高値を記録しました。

バブル絶頂期の1989年に記録した38,915円は日本人にとって大きな心理的なハードルになっていましたが、34年かけてやっと1989年の基準に戻ったことになります。

2013年に故・安倍晋三首相が提唱したアベノミクスによって、株価が上がり始めるまで、日経平均株価は一時期7,000円台まで下がり、30年以上、過去の最高値を下回ったままの状態が続いていたのです。

ナスダックは、2000年3月のドットコムバブルの高値を取り戻すのに15年の時間と、FRBによる数兆ドルの資金を必要としました。

ダウ平均は、1929年9月の高値に戻るまでに25年間かかりました。

1989年の株価に戻るのに34年かかった。

もちろん、1989年と現在では、日本企業の財務内容、収益力、ビジネスモデルは全然違いますし、企業も1989年当時は、銀行や公共事業系の企業が多かったのに対し、現在では指数の半分以上がテクノロジー関連の企業になっています。

日経平均が最高値を記録したことで、当然ながら、株の暴落を警告する人たちも多くいます。

34年前の日本は、株価、地価、物価、そして、世界と比較してとても高い状態にあり、東京の生活費は世界一高いと言われていました。

加えて、PERは10〜20倍が妥当と言われる中で、東証一部のPERは約70倍まで上昇し、いま思えば、世界の常識を超えたバブル状態にあったのです。

しかし、現在の日本は、あらゆるものにおいて「割安」の国になっており、PERも23倍前後と、まだバブルという雰囲気はありません。

1989年の日本と2024年の日本とでは、状況が大きく違う。

現在、中国経済の減速と地政学リスクの緊張から、投資家が中国市場から離れ、その資金が日本にも流入してきています。

海外ではGAFAMに、テスラとエヌビディアを加えた「マグニフィセント・セブン」と呼ばれるアメリカの主要テクノロジー企業7社の株の急騰に乗り遅れた人でも、まだ間に合う株式市場が日本だと言う見方もあります。

現在、日経平均とTOPIXはアジア太平洋地域では圧倒的なパフォーマンスをあげており、2023年には25%の上昇、2024年に入っても15%以上の上昇を記録しています。

また、投資の神様とも言われるウォーレン・バフェットは、日本株に対して強気であり、バンク・オブ・アメリカの株式ストラテジストは、2024年末の日経平均株価の見通しを4万1000円と予想しています。

日本経済はまだまだ伸びるポテンシャルがある。

現在、多くの海外投資家のお金が日本市場に流れ込んでいます。2024年1月には、140億ドルもの海外投資家の資金が日本株に投資され、2023年12月の30億ドルから大きく増えています。

世界の国々の多くはインフレに対抗するため金利を引き上げていますが、日本はインフレを加速させるために、金利を低く抑え、通貨安や国債の利回りの急上昇を防ぐために、政府がどんどん市場に介入し続けています。

世界の国々とは対照的に、日本は長期にわたる物価の下落と経済成長の低迷が、人々や企業の消費意欲を弱めてきたため、日本のインフレ率の上昇は、物事が正しい方向に向かっている兆候だと考えられています。

海外からの投資が日本にどんどん流れ込んでいる。

もちろん、日本の株価が順調であるからといって、日本の将来がすべて楽観的なわけではありません。

2022年に日本財団が中国、インド、英国、米国、韓国、日本の17~19歳を対象に行った調査によれば、日本の若者が「日本は良くなる」と考えている割合は、他の国の若者と比べて、圧倒的に低かったのだと言います。

ただ、株価上昇の要因が何であれ、34年ぶりに最高値をつけた日経株価は、長く続いた日本人の心理的な壁を打ち破ったと言えるでしょう。

悲観的な日本に、少しでも希望の光が見えてきたということは、素直に喜んでいいことなのではないでしょうか。




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