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「イールドカーブ」の意味を理解することで、日本経済をより深く理解する

最近、ニュースなどを見ていると「イールドカーブ」という言葉を聞くようになりました。

「イールド」とは利回りという意味で、「イールドカーブ」は金利の利回りを描く曲線ということになります。

まずは背景知識として、日本は2001年からデフレ化を防ぎ、物価上昇を促進するという考えから世界初の量的金融緩和を実施しました。日銀が大量にお金を市場に供給し、物価上昇率が0%を超えたということを理由に、量的金融緩和は2006年に終了しました。

こういった日本が先駆けて行なった量的金融緩和は、リーマンショック以後、アメリカを始めとする国々でもデフレ阻止や失業率低下を阻止するために取り入れられていきました。

アメリカは2014年にデフレを回避することに成功し、2014年に量的金融緩和を終了し、その後、緩和で増やしすぎたお金を回収するというところまで比較的上手く進めていくことができました。

日本ではデフレを防ぐため世界初の量的金融緩和が実施された。

その後、コロナショックが起こると、再び量的金融緩和を開始しすると、大きなインフレが起こり、現在、急ピッチで緩和を縮小しています。

日本はリーマンショック以降、再びデフレに陥っており、2013年に日銀の総裁に就任した黒田総裁が再び量的緩和をスタートさせました。しかし、これは、以前の量的緩和とは規模が違う「異次元緩和」という言われるもので、2%の物価上昇を目標に、大量のお金が市場に流れていったのです。

そして、2016年にはマイナス金利政策というものがスタートしました。これは、銀行に対して、資金をそのままにしておくと、逆にお金を取ってしまうという政策で、銀行に対して、より積極的にお金を貸すようにとプレッシャーをかけていったのです。

このマイナス金利政策から副作用も同時に出てきました。マイナス金利が銀行の経営を圧迫することで、銀行がお金を貸す事に消極的になったり、残存期間が10年の国債など、銀行や生命保険会社が運用している資産までもが、マイナス金利へと突入していってしまったのです。

そこで、登場したのが「イールド・カーブ・コントロール」という政策です。通常、日銀は短期金利しか操作しませんが、イールド・カーブ・コントロールでは、10年国債の金利も日銀がコントロールしていくことになります。

短期金利だけではなく、長期金利まで日銀がコントロールし始めた。

日銀は、長い間、お金をジャブジャブお金を市場に供給し続けても、日本の経済が活性化されないため、長期金利まで操作して0%にしていきました。

通常、国債を買う人というのは、金利というリターンを期待して買うわけですが、金利が0%であれば、誰も国債を買わなくなってしまいます。そこで、誰も国債を買わないのであれば、日銀が買いますよということになるわけです。

日銀が国債を買うことで、金利が抑えられてきたわけですが、これをずっと続けると国債そのものの市場が無くなる危険性があったため、徐々に「イールド・カーブ・コントロール」の許容度を弱め、最近では国債の長期金利1%を容認するようになってきました。

この日本の長期金利が低いことが、現在の円安の要因の一つでもあります。

現在、日本の10年債の利回りが0.8%ですが、米国の10年債の利回りは4.6%であるため、6倍の利回りをもらえる米国の10年債の方が圧倒的に魅力的です。

金利差がひらけば、ひらくほど、円安は進んでいく。

こうなると、日本の投資家は米国の国債を買うために、円をドルに変えて、米国の国債を買うことになり、これが円安の要因になっているのです。

この日米の金利差が縮まれば、円安は少しずつ円高にシフトしていくと考えられますが、日本の金利が上がれば、住宅ローンなどの負担も増えることになり、それが日本経済の悪化に繋がる可能性もあります。

加えて、日本政府も国債を発行して、多くの借金を抱えているため、日本政府の負担もどんどん大きくなっていってしまうため、なかなか金利を簡単に上げられないのが現状なのでしょう。







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