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GLOBISの乱読帳2022年6月~LuckyFes運営メンバー編~

グロービスの様々な組織から書き手を招き、読んだ本を紹介してもらっているこの企画。
今月は、グロービスグループのLuckyFM茨城放送が主催する音楽フェス、LuckyFM Green Festival(通称LuckyFes)の運営担当から、押野におすすめの書籍を紹介してもらいました。

LuckyFesとは?

LuckyFesは、2022年7月23日(土)・24日(日)@国営ひたち海浜公園で開催される野外フェスティバルです。

何といってもこのフェスの魅力は、総勢64組の多彩なアーティストです!
「音楽のクロスオーバー」をコンセプトに、世代を問わず誰もが知るレジェンドから、ロックやヒップホップの人気アーティストによるライブを一気に楽しめます。

ここまでジャンルをミックスさせながら、豪華なラインナップが揃うフェスは
過去なかったのではないでしょうか?

「音楽と食とアートの祭典」と題し、ライブステージのほか、地元茨城や全国から集まった美味しいフェス飯、公園内を飾るアートなど、既存の概念にとらわれることのない、さまざまな仕掛けがあるイベントになっています。

今月の本『ライブカルチャーの教科書 音楽から読み解く現代社会

(著:宮入 恭平 出版社 ‏ : ‎ 青弓社)

このコロナ禍の2~3年を経て、音楽と私たちの心理的な距離は非常に密接になりました。例えばステイホーム中、音楽を心の支えにした方も多いのではないでしょうか。また、今やYouTubeなどでいつでもどこでも音楽を楽しめるようになりましたし、オンライン化が進んだことでライブの生配信も普及しました。
一方、同じくコロナ禍で、音楽市場は大きな環境変化にさらされました。集客ができず全国各地の老舗ライブハウスがなくなったり、数万人を集客していた野外フェスが中止に追い込まれたり、という事態が起こっています。ウイルスとの共存を含めたあたらしい生活を模索する中、ライブからは距離が遠ざかり、「生演奏を聴く」という音楽の楽しみ方は忘れられかけているのかもしれません。

今回紹介する『ライブカルチャーの教科書』という書籍を読むと、そんな音楽の楽しみ方はどのように移り変わってきたのか、またコロナ前の人々がなぜライブを求めるようになっていったのか、を知ることができます。

90年代は「音楽ソフト市場」が非常に盛り上がり、発表されるCDはミリオンヒットが連発していました。その影で実はライブ・エンタメ市場は低迷し、集客に苦戦を強いられていました。人々は「モノ」を所有することに価値を感じていたからです。
しかし、90年代後半から00年代初期にかけて、いわゆるフェスが登場し、集客力が上がっていくと、同時にライブハウスの集客も増えていきました。人々は「特別な環境で音楽を楽しむ」という「コト」を当たり前に受け入れたのです。自分も音楽好きとして多くのライブに足を運んできましたが、あの会場の一体感や熱気、生だからこその迫力は、ひとりの部屋で楽しむ音楽とは全く異なる特別な楽しみであり価値だと思います。

更に10年代に入り、サブスク型のストリーミングサービスの登場によって「CDが売れない時代」に突入していくわけですが、本書ではここまでの流れを「モノ消費」から「コト消費」への移行だと表現しています。SNSの普及により「参加する行為そのもの」に価値を見出し、ライブに“参戦”したことを誰かにシェアする、という習慣も「コト消費」をグッと進める一因になりました。

“教科書”との通り、本書を読むとライブを取り巻く社会、政治、教育の変遷、そしてライブハウスや野外フェスの台頭に至るまでがかなりクリアになります(その分すこし堅い文章ではありますが)。
そもそもなぜ人はライブに行くのか。本書を通じ、家から一歩踏み出して「生の音楽」に触れてみたいという気持ちの理由を、いつでもどこでも音楽が楽しめるこんな時代だからこそ、知り、思い起こしてみてほしいと思います。

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いかがでしたか?皆さんも読書を楽しんで下さい。
GLOBIS知見録にもぜひアクセスしてくださいね!

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