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舌の上で溶けた雪が熱かった。むくむくした煙が立ち込めている鉄板の上にそっと置いた牛肉が溶けるのを3年ほど前に彼と一緒に見たのをマナミは思い出す。おもいはきっと溶けないと思っていたのにいつの間にか時間のうちに砂と化した。雪は溶けた瞬間は熱くてもその後はじんわりとほどけてゆく。嬉しいはいつまでも嬉しいじゃいられないし悲しいは悲しいではなくなる。後に残るのは雪の中に混じった塩くらい。よおく味わいなさいとひいひいひいおばあちゃんは言ってたっけ。

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