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アフリカマラウイの小学校にブラック校則はある?②【髪型のきまり編】

マラウイの小学校での髪型について

前回は校則全般について書いたが、ここからは、マラウイの小学校での髪型のきまりについて紹介したい。

マラウイの公立小学校では、髪型は男女ともにShort hair(丸刈り)が基本だ。薄暗い教室に、ぎゅうぎゅう詰めになって座っている状態だと、下にはいているものが、半ズボンなのかスカートなのか見えない。そうすると顔だけで男女を見分ける必要がある。

日本人の私には、顔だけで男子女子を見分けるのは、慣れるまでに少し時間がかかった。男女を見分けるのに、髪型がかなり大きなウェイトを占めていたことに、改めて気づかされた。

さて、みんなそろって丸刈りにしているのには、何か理由があるのだろうか。知り合いの先生にたずねると、
①It’s easy to look after.(手入れが簡単)
②It’s cheap.(安くキープできる)
③There is uniformity.(統一感がある)
④It’s an identity.(アイデンティティだから)

という答えが返ってきた。

水や電気をいくらでも使えるわけではない生活環境においては、①②は日本人が考える以上に重要なのだろう。現在、マラウイの公立小学校で髪型が規制されているのは、清潔に保つのが難しいという衛生上の観点から、また経済的におしゃれな髪型を維持する余裕が無いから、というのが主な理由らしい。

日本の部活動で、よく野球部員が丸刈りにする理由は③と④が近いのだろうか。「伝統だから」なんて理由もありそうだ。

一方、マラウイの私立の小学校を訪問したときには、主に女子生徒がウイッグや髪飾りをつけたり、ドレッドヘアにしたりして、自由な髪型を楽しんでいた。一部、例外もあるらしいが、大多数の私立学校ではこれを許可しているのだという。

その理由を聞いてみると、
・私立小学校は、裕福な家庭から来ている子が多く、経済的に髪をきれいに維持するのに問題ないから(With private school no problem because most of them are coming from well-to-do.)

髪型や校則に、所得格差が如実に表れてしまうのがマラウイなのだ。

少しずつ変化してきた髪型規制

「かつてはもっと厳しかったけど、今はだんだん変わってきたんだよ」
と、別のマラウイ人の先生仲間は教えてくれた。今では、髪を伸ばすことを許されているグループが2つあるのだという。

1つ目のグループは、キリスト教の一派であるBible Believers Churchの信者たちだ。日本ではあまりなじみがないが、信仰上の理由で、髪の毛を自由に切ることができない。彼らは、教会から証明書を書いてもらい、学校に提出することで、髪の毛を伸ばすことを許可されているのだという。

2つ目のグループは、ジャマイカのボブマーリーでお馴染みの、ラスタ(Rastafarianism)の人たち。マラウイにもラスタを信仰する人は一定数いて、その子どもたちが、ドレッドヘアで登校することを認めさせるための裁判があったそうだ。結果、ドレッドヘアでの登校を認める判決が下ったのだという。

このように、「きちんとしている(neat)」髪型であるという前提で、信仰上の理由で申請があれば、大体がOKとなる。全体的に少しずつ寛容になってきているらしい。

今後、衛生面・経済面の課題がクリアされれば、一般の子どもたちの髪型の自由度も広がってくる可能性はあるかもしれない。


次回の記事では、「学級ルール」「安全のきまり」について紹介したい。


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