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レトロの真髄

至るところで復刻パッケージなるものを見かける。レトロブームここに極まれり、といった具合にだ。趣きは良しとしても、あくまで復刻である。三ツ矢サイダーの復刻パッケージもあったが味まではオリジナルの再現とまではいかないのが残念だった。そこに本質がないのだ。当時の味を知らないレトロ好きな若者には騙せてもリアルタイムで味わった世代までは騙せない。これはレコードにも同じことが言える。昨今品薄になったレコードがリイシュー盤としてリリースされるのは有難いが、ジャケットは当時のものを再現されつつもやはりオリジナル盤とは似て非なるものだ。細かな部分で ¥1,900+税 と書かれていてはその表記を前に気持ちが現代に引き戻され萎えてしまう。もう一つ例に挙げると吉田日出子『上海バンスキング』のLPで1981年のオリジナル盤と1984年再発盤を比較してみた。裏ジャケは全く異なっているがレトロ感で評価するならオリジナル盤に軍配が上がるだろう。私が以前「リイシュー盤で満足するのは自慰行為」と唱えたのはそういう思いがある。本質はオリジナルにこそある。当時の空気を内包しているから。それがレトロの真髄だ。そう思わずにいられない。

何となく買ったお菓子の復刻パッケージ
過去にも似たようなのがあった
今ではオリジナルは入手困難なEPだが…
ここで萎えてしまう…
吉田日出子『上海バンスキング』の比較
吉田日出子『上海バンスキング』の裏ジャケ比較

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