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【卒業生は今】「地球市民とは」卒業後に考えたこと

こんにちは!2018年3月に地球市民学科を卒業した生原のぞみです。

私は大学卒業後、1年ほどは一般企業で働き、2019年から公益財団法人ウェスレー財団で働いています。

ウェスレー財団はキリスト教精神に基づき、日本の地域社会、さらには世界で、社会課題解決のために働くリーダーの育成をミッションに置いて活動しています。実施している事業は海外や国内での研修プログラムや講演会、助成金事業、国際協働プロジェクトなどで、私はプログラムと助成金事業を担当しています。(ウェスレー財団HP: https://wesley.or.jp

具体的にはこんな仕事をしています。大学生や大学の職員の方、社会奉仕活動をされている方々と関わることが多いです。

•   学費助成金(日本国内・アジア太平洋地域で経済的支援を必要とする学生向けの給付型学費支援)•   非営利団体向けの助成金(社会的弱者支援や途上国の地域社会の自立支援などの活動が対象)
•   インターンシッププログラム(キリスト教精神を基盤とした NGO・NPO 団体、社会福祉施設などにインターンを派遣)
•   海外や国内で実施する研修プログラムやイベントの運営補助

卒業生紹介の記事ということで、
①    大学時代のエピソード
②    今の仕事のやりがい
③    結局、地球市民とは?
の3本立てで綴っていけたらと思います!


①大学時代のエピソード


私は高校生のころからジェンダー格差の問題や、貧困、教育、人権に関するトピックに関心があり、座学だけでなくフィールドワークを通した現場中心の学びを大切にしている地球市民学科に入りました。4年間の学びはとても濃密で楽しく、国内外問わず色んな場所に飛び込んでいき、レポート課題に追われ、プレゼンしまくり、学科のみんなとワイワイしてるうちにあっという間に卒業してしまいました。

フィリピン・レイテ島のタクロバンにて

大学3年の夏に行ったフィリピンフィールドワークは、かけがえのない経験でした。約3週間フィリピンに滞在し、企業や政府機関、NGOを訪問したり、現地の学生たちと交流し、ホームステイをする機会もありました。
フィリピンの文化や英語教育、観光ビジネスなどの明るい側面と、第二次世界大戦中に日本の占領下にあったフィリピンの痛みの歴史、現在のフィリピンが抱える社会問題(特に貧困、搾取、教育)、自然災害の影響など、課題の多い側面の両方を学びました。
まさにフィリピンの光と影を見た3週間でした。これが私にとって初めての途上国訪問だったのですが、フィリピンの人々(特にストリートチルドレンたち)のキラキラと輝く瞳を見て、その溢れる生命感に触れた時、自分の中にあった固定概念を恥ずかしく思うと同時に「豊かさとは何か」を考えさせられました。

タクロバンで現地の学生の協力のもとフィールド調査をしました


地球市民学科の学生生活で思い出すのは、個性溢れる学科生のみんなと、あとはなんと言っても先生たちです。地民の先生方は、多忙なスケジュールの合間を縫ってレポートの指導や学生生活の相談まで応じてくださり、学業以外の個人的な話もたくさん聞いてもらいました。在学中はそれが当たり前で、おしゃべりしに行く感覚で先生方の研究室に行っていましたが、社会人になって振り返ると、それがどれだけ貴重な時間であったかがよくわかります。学生のために惜しみなくあらゆるリソースを割いてくださる先生方の仕事ぶりは、そう簡単にできることではないと思います。

謝恩会でくじ引きの景品となった大野俊先生のチョコ。愛されすぎ

②今の仕事のやりがい


今の仕事では、学費支援を通して様々な学生との出会いがあり、「日本にも困窮している若者がこんなにいるのか…」と心を痛めることも度々あります。コロナの影響による経済的苦境が続く家庭、ひとり親家庭、親が身体的または精神的な不調により就労できない家庭、事情により学費の全てを奨学金とアルバイトで工面し心身共に疲弊した学生、虐待や家庭内暴力等により児童養護施設や母子支援施設で生活していた学生など、様々な背景をもつ学生たちに出会ってきました。

アジア地域向けの学費助成金では、インド、インドネシア、バングラデシュ、フィリピンの学生たちを支援してきました。アジアの学生たちの状況もまた深刻です。貧困家庭で育った学生、親を病気で亡くした学生、難病を患った学生、災害に脆弱な地域に住む学生など様々です。貧困の連鎖、災害、ジェンダー格差、地域医療の不足などがアジアの学生たちを苦しめていることを、本人たちのストーリーから知りました。

面接で涙を流しながら自分自身のことを語ってくれた学生が、数か月後には明るい表情で近況報告をしてくれた時は嬉しかったです。学費支援が経済的な助けになっただけでなく、「自分を応援してくれている人たちがいる」と勉強や学生生活のモチベーションになったという声を聞いたとき、「この仕事をやっていて良かった」と心から思います。私の働きは小さなものですが、少しでも多くの若者が安心して教育を受けられる社会になることを願って、一人一人の学生を応援できたらと思います。

③結局、地球市民とは?


学生の頃は、「地球市民学科って何を勉強してるの?」「地球市民って何?」と聞かれて、毎回答えに困っていました。卒業して6年近く経ってしまいましたが、今ならこう答えます。

 私が考える「地球市民(Global Citizen)」とは、「世界中のあらゆる不正義、偏見、抑圧、暴力、痛みに思いを寄せ、自分もその世界の一部だという意識を持ち、社会問題に目を背けず、あらゆる隔たりを越えて人々と連帯し、行動できる人」です。

卒業式。4年間お世話になった鈴木直喜先生と

私は地球市民学科のフィールドワークを中心とした学びを通して、自分が知っているのは世界のほんの一部でしかないことや、自分の中には無意識の偏見や思い込みがたくさんあって、それが他者や特定のグループのことを勝手に決めつけたり、問題の根本的な部分を無視する言動に繋がってしまうことに気づきました。
また、自分はいつでも間違った考え方をしてしまう可能性があり、それを修正するには自分の色眼鏡を外して、異なる背景を持つ他者から謙虚に学び続け、知識をアップデートしていく必要があることも知りました。

そしてそれらの学びは「自分がより良い人間になり、豊かに生きる」ためだけにあるのではなく、むしろ「自分が社会の小さなチェンジメーカーとして用いられる」ためにあるのだと思います。

地球市民学科での日々は、目が覚めるような学びの機会がたくさんありました。その機会をどう用いるか、その後の自分の選択にどう生かすかは一人一人に委ねられています。
地民生のみなさん、または将来受験を考えている皆さん、限られた学生生活をめいっぱい楽しんで、何でも挑戦してください!
そして、色んな人との隔たりを超えてたくさんの仲間を作ってください。

(地球市民学科卒業生 生原のぞみ)

P.S.
記事の内容とは全く関係ありませんが、趣味でイラストを描いています。良ければInstagram覗きに来てください〜https://www.instagram.com/nozomi_artworks/