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アナログアシスタント時代のハナシ:5『それぞれの生き方』編

40過ぎの漫画家志望の男…の話が続きすぎて、私の精神ダメージが大きいので、今回は別のハナシ…


色々な事を思い出しながら書いている記事ですが、基本的に私は

どこの仕事場でもわりとうまくやっていたと思う。

それに、背景の方が得意だし( ´艸`)技術的には描くのは得意なので

苦手なものはあったとしても描けないものはない。

(読者から見れば十分描けているんだろうけど、目が肥えてしまい上手いかどうかは別だという事が解ってしまう)

なので私は基本的に仕事場を選べた方だと思う。だから一度行って嫌なところは二度と行かなくて済ましちゃっている。


マンガ関係者の中に、実は適応障害のグレーゾーンも多くて、人と挨拶も出来ないとか、先生以外の人が脳内で存在しない人もいたりする。(先生のご家族さえ挨拶しても無視)なのに技術が異様に高いのでやっていけてしまうところもある。

お世話になった先生の仕事場にいた、ものすごく努力家でひたむきに必死に

画力向上を目指して真面目に取り組んでいた人がいたのですが・・・

どうしても技術は向上しませんでした。

周囲も彼女の姿を見て、あまりの努力になんとか力になれないのかと

必死に色々と協力を惜しまなかったのですが・・・・

定規で線を引くことが出来ないし、黒く塗りつぶすところははみ出すし

スクリーントーンも上手く貼れない。

もしかするとデジタル作画であれば使えるアシスタントさんだったかも

しれないんだけど・・・当時はそうじゃなかったので、技術は磨くしか

なかったのですが、何年やってもそれは上達には結びつかなかった。

…可哀想ではあるけど、これはおそらく障害で、脳の構造上の問題。

マンガには向かないのであって、違う能力があるかもしれないので、

違う道を選ぶしかないんですが・・・・

なんでこんなに頑張っている人が?と泣きたくなりました。

正直言って、才能があると肩肘ついて、サラサラと資料も見ずに短時間で

ものすごいお城描けちゃう人もいるのに…(でも、意外とこういう人の作品は異様につまんない話になるんだけど・・・)

なんでこんな努力してて、漫画が大好きな人が漫画に向いてないなんて

こんな理不尽ある?と思っちゃうこともありました。

私が勉強していた風水師の先生は、その職業を選んだってことは、惹かれているわけだから、その道を進むしかないって言ってたのね。

確かに世の中に職業はやまほどあるのに、わざわざこんなキツイ道を選ぶのだから、それは惹かれてないと出来ないし、好きだからこそ極めたいし

極められるようにしていくしかないんだけど・・・

でも、自分に合う合わないは確かにあって、それを見極めるのも才能だとは思うんだけど・・・・何かもやもやとしてしまう。


アシスタント専属になり、プロデビューしてこなかった先輩アシさんの中にはそれを自覚して、その道になった人も多い。

Dさんは、十分絵も技術もあるし、誰とでもうまくいく社交家で、同人誌時代には固定ファンもいたそうで、時々趣味で描くイラストなんかはすごく凝っててキレイなんだけど・・・

10代の時に投稿作を描いていて、自分をさらけ出さないといけない怖さを思い知った時に、自分には向いてないと実感したんだという。

自分がプロ作家になる…というよりも、アシスタント先で合宿のように

同年代の子たちとワイワイ楽しくやりながら、漫画の作業をしているのが

好きなのであって、自分で描きたいものがあるとか表現したい!というのはそこまでないと思い知ってしまったという。

なので、結婚してお子さんはいないのもあって(旦那さんとは仲良し)アシスタントに月に一度泊まり込みで行って、みんなと過ごす人生を選んだのである。料理も上手なので、みんなにおいしいご飯を作るのも好きだし、とても充実しているという。(料理雑誌に取材を受けたこともある)

「マンガとどう関わっていくかは、自分が仕事するだけとは限らないじゃない?」といっていた。

なので今はレギュラー先の先生のところと数件のサポート以外には行ってないし行くつもりもないだろう。

でも、それもまた業界での生き方なのかなと思う。

それからMさんという、それはそれはキレイな絵の人で、投稿作を出そうものなら編集長自ら電話してきて、即デビューという経歴を持つ人なんだけど

彼女は16歳の時に創刊したての某有名少女漫画誌でデビューして、さあこれから…という時にかなり深刻な病状で体調を崩して入院。ご家族に不幸もあったりして結局マンガは中断して20歳になって、早めのご結婚をされてたんですが、なんと旦那さんが結婚して1年で若くして急死。

それで数年後にレディコミで再デビューを果たすのですが・・・

数作描いて、人気もあって傑作選を出しましょう!なんて話もあったのに

エロ中心の話を描かないといけない事が苦痛で苦痛で泣きながら最後の仕事をして、本人いわく商業誌が向いてないと思い知ってしまって、辞めたんですよね。

でも、それからしばらくして、なぜかドエロ( ´艸`)のBL同人パロディに目覚めてしまい、漫画ってこんなに楽しいもんなんだ!!と思ったらしくて( ´艸`)今では時々同人誌を描きながらアシスタント業をしている。

アシスタント業の方が楽しいし、1人で部屋でカリカリ描くのが苦痛で、嫌だったのに仕事だから我慢しないといけないと思い込んでいたけど、漫画の作業が好きなのであって嫌なものを描きたいわけじゃないと思い知ったという。

ご自身もかなり深刻な病気から復帰して、旦那さんや仲の良かったお母様が早くに亡くなってしまった事で、いつ死んでも後悔したくない!好きなことをしよう!無理なんかしない!と決めてからは、毎日が楽しくて嫌な人にも出会わなくなり、充実しているといいます。

好きなモノしか描きたくないというワガママが通用しないのは承知しているので、アシスタント業にシフトしちゃったみたい(;・∀・)

商業誌で仕事することはもうないと言い切っていたけど、幸せそうだった(笑)私からするとちょっともったいない気もするんだけど・・・

でも、それは彼女の選んだ道で、彼女が自分でそうしている漫画とのかかわり方なんだなって思うと、それもいいよね。

私は1人で絵をコツコツと描いている時間も好きだし、アシスタントに出向いてみんなでワイワイ作業するのも好きだったりするので、こういう人たちと色々と話をしながら描いていく作業はとても楽しかったので、アシスタント業も好きな仕事です。

デジタル作画にシフトしちゃってからは、自宅で延々と1人でやっているけど、それも嫌いじゃないし、楽しくはあるんだけど、やっぱりアシスタント業はワイワイと合宿みたいにするのが好きでした♪(今でも時々仕事の合間に行くしね)

若かったから出来たのかもしれないけどね(;・∀・)

つづく

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