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平隊士の日々 元治元年卯月二

元治元年卯月二


昨夜は、局長から皆、楽しく遅くまで飲んだので、
起きれずに寝ていたら、
井上組長はいつも通り、起こしに来た。
「組長は、酒に酔わないのですか。」
「酔うのも早いけど、抜けるのも早い。
だから、朝はしっかり起きれる。
稽古をすれば酔いなどすぐさめる。
さあ、稽古だ、稽古。」
尻を叩かれ朝稽古に行く。
次郎作は左腕をけがしているので、稽古には参加せず。

朝食、山吹の煮物、からし菜の和え物、漬物、ご飯。

本日の隊務割は午前が西巡察、午後が非番でそのあと当直。
一番隊と巡察に出る、金子は待機。

南下して七条通りを通り、
烏丸通りと堀川通りを交互に北上。
三条通りに近づいたところで、
沖田組長が走り出す。
何事と、追いかけると浪士が五人いる。
井上組長が
「六番隊は後ろに回れ。」と叫ぶ。
その声に反応するように、浪士二人が刀を抜いて、
沖田組長に襲い掛かるが、すぐに腕や足を斬られて戦意喪失する。
一人の大柄な浪士が沖田組長と対峙して間合いを図っている。
荒木と石井が後ろに回り、
森と僕で左の路地に逃げれ無いように側面援護。
右側は一番隊の、岡島品三郎と田村大三郎が側面援護し、
井上組長が
「おとなしくしろ!」と叫んでいるが、
大柄の男以外の浪士は逃げようと、こちらをうかがっている。
すっと、沖田組長が前に出たかと思ったら、
大柄の男は腹をおさえてひざまずく。
右側にいた一番隊の田村が飛び込み、浪士の一人に斬りつけ、
もう一人の浪士が逃げようと一番隊の方へ行くが、
すぐに、斬られ、うずくまる。
大柄の浪士の傷は深く、簡単な手当てをする。

気が付いたら、僕も腕に傷がある。
森の袴も斬られているが、歩ける程度の傷だ。
一番隊の田村も、腕から血が出ているが大したことはない。
大八車を借りてきて、浪士を乗せ、屯所に戻る。

皆の手当をして、
昼食、焼き魚、なかぬき大根と油揚げの煮びたし、味噌汁、漬物。
捕り物の興奮で、ご飯が食べれない。

井上組長が、一人一人の肩を叩きながら褒めている。
大物浪士がいたらしい。

午後は非番、次郎作と田村と木屋町の南部先生のところに治療に行く。
帰りに七条通り出ている菓子屋、甘春堂に寄り道。

夕食、九条ネギの牡丹鍋、漬物、ご飯。

夕食後は当直。
隊長に刀は買うのですかと聞くと、
「まだ、迷っている。
もっと、良いのがあるかもしれないし。」
沖田組長がひょこっと顔を出し、
「どうせ隊で買うんだから、買っちゃえば」
と言っているが悩んでいるようだ。
局長が、今日の浪士に大物がいて、
京都守護職松平様より手当が出ると言いに来る。
沖田組長が、
「源さんまだ悩んでいるようですよ。」
局長が、
「もっと良いのが見つかったら、また買えばよい。」
「じゃぁ、そうするか。」と井上組長が嬉しそう。
特に何もなく、監察も戻り当直が終了する。
軽く飲んで、寝る。

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