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夢見る時が過ぎて

鉄腕アトムの誕生日は、  
原作の公式設定では、2003年4月7日がアトムの誕生日です。  
本日(2024年3月14日)には、鉄腕アトムは人間で言うと、  
21才になっています。  
いわゆる「Z世代」に当たる人々と同じ年齢です。  

漫画の中ではチューブトレインが街中を走り、
空飛ぶ車が飛び交っていますが、
現実はもう少し遅れていて、
最近、ドローンタクシーが現実味を帯びてきたところ。
チューブトレインに至っては、内部加熱や諸々の問題で
人が乗って運用ができないので貨物運用に限定されてきています。

アトムの動力源は原子力、漫画では原子力エンジンとして
放射線遮蔽もなく、アトムの胴体に格納されています。
あの大きさの原子炉は今だ実現しておらず、
三菱重工が開発中のマイクロ原子炉でも、
直径1m、長さ2mで、とてもロボットに搭載は出来ません。

「地上最大のロボット」に出てくるロボット、
エプシロンは光子力エネルギーで動くロボットで、
現在では、ロボットなどの動力源としては使用できていません。
量子力学などを勉強すると、
素粒子の一つとして「光子」が出てきますが、
これが面倒くさい、
実験の結果、波動である結果と粒子である結果が出てきたり、
陽子崩壊で発生する光子からニュートリノを発見しようと
何年もスーパーカミオカンデで観測していますが、
いまだニュートリノは発見されていません。

アニメは未来を見せますが、
鉄腕アトムに関しては、すでに過去になってしまいました。

今の世界は鉄腕アトムの世界にまけず劣らず、
戦争は無くならないし、貧困もなくなっていません。

同様に、「新世紀エヴァンゲリオン」で言う
セカンドインパクトも2000年9月13日に過ぎてしまいました。

また、「機動戦士ガンダム」における宇宙世紀は
「地球総人口は90億人を突破し、地球連邦政府は宇宙移民政策を開始。
西暦をあらためて『宇宙世紀』を採用した。」とあり、
宇宙世紀元年は西暦2045年、つまり今から21年後です。

2023年の世界人口は80億4500万人(国連人口基金調べ)で
初めて80億人に到達した。
90億人まで後、9憶5500万人で世界人口の伸び率 0.9% から
2050年には97億人(国連人口基金予想)に達する予測です。

スペースコロニー、ガンダムの世界感にあるのはシリンダー型
直径 6.4 km、長さ32 km で数百万人の人口を想定していますが、
放射線の影響を避けるためには、
厚さ2m以上の金属外壁と、空気が用い、土壌を含む岩石も
放射線防御に利用されると思われます。
また、植物生育のためにも土壌が必要と思われ、
土壌厚さを3mと仮定して、コロニーを6等分し、1/2 は生活圏と考え、
体積を計算すると、13km × 32Km × 0.003km = 1.25 立方km
約1250立方mとなります。
小惑星から金属や土壌を運ぶとしても、コロニーを作るには
少なくとも、20年の歳月が必要です。
この様に考えると、今すぐ始めても最初のコロニーができるのが
2040年前後、現実には間に合いそうにありません。

これが自分が思い描いていた未来の一部です。

20才の頃は大学で電気工学の勉強をしていて、
将来は電気工事や電気関係の仕事に就きたいと考えていました。
そして、大学を卒業して入った企業は
海外の電気工事を主に行う会社で、
英文スペックを読めないといけないし、
現地の人やフィリピン人などを指揮して、
工事を進めなければいけません。

その過程では、貧困も、差別もたくさん経験しました。
良いとか悪いとかではなく、企業が利益を上げるために
何をどうしていたかを良く知りました。

Z世代と言われる人々を部下に持ったこともあります。
色々なハラスメントと言われるモノの基本には、
相手との信頼関係が失われたことが大きな要因じゃないかと思います。

例えば、「管理者はスイッチを持て」と言う記事において、
独学でこの様な心得が簡単に修得できると思われる人もいますが、
実際は、独学で修得できるほど簡単な技術ではありません。
これは技術より上の概念、心得に当たります。
なぜなら、一人では修得が難しい上、継続することが困難だからです。
この記事で語っているのは、やり方の設計図の話で、知識の話です。
知識は金で買えます、金で買えない知恵にするためには
膨大な時間と、膨大な外部からの労力が必要です。
この様な心得を修得するには指導者との信頼関係が不可欠です。

Z世代の部下にいろいろ聞いたことがあります。
就職するときの基準などは、第一が残業時間、第二が福利厚生と言う
答えが多かったですが、部下を教育する過程で、
海外では日本の労働法は適用されないことを話すと、
大多数は退職を考えるようです。

日本にいる外国人が日本の法律を適用されるように、
基本は行った先の国の法律が適用されます。

日本ではありえませんが、スパイ防止法がある国では
海岸の写真を撮ると、逮捕され、最悪は死刑になります。

この時思ったのは、他者との関係をハラスメントとして
切り捨てていった結果、とても薄い関係しか築けないと思いました。
そして、おそらく、死ぬ間際になり、初めて
あぁ、これもやっておけばよかった!
あぁ、あれもやっておけばよかった!
と思うのではないかと思います。

Z世代の部下を教育する過程で、将来の話をすると、
夢のような話をします。
努力もしないで、ミュージシャンになるとか、お金持ちになるとか、
曲の一つでも書いたのか? 発声練習はしたのか? 
儲けるための知識や知恵は修得したのか? 軍資金は貯めたのか?
などなど、具体的な疑問をぶつけると、
全く、根拠のない自信をもって、出来ると言います。

なんででしょうねぇ。
努力もしない。
上司や先輩たちの言葉もきちんと聞かない。
一緒に酒も飲まない。
同じ釜の飯も食わない。
それで、私と同じことが出来ると言い張ります。

自分が20才代の頃を思い出しても、
ここまで根拠のない自信はありませんでした。

理不尽な要求も沢山ありましたし、
不適切な言動も沢山ありましたが、
当時は、出来ないなりにやることをやって、
あちらこちらとぶつかり合い、
もめても、安酒を飲んで語り合い、いつの間にか、
心を許せる相手になりました。
言葉通りに、同じ釜の飯を食い、同じ苦労をして、
慰め合い、信じ合い、気が付けば友と呼ばれる間柄になりました。

時には夢を語り合い、いつかは出来ると、
やれば出来ると、応援し、励まし合いました。

そして、当時、思い描いていた夢は大多数が叶い、
十分、満足して死んで行けます。

Z世代と言われる人たちが死ぬ頃、40年後、50年後に、
笑って死ねる日になることを願いますが、
本当にそうなるとは思えないのですよねぇ。

笑って死ねる人生を選んでほしいものです。

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