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平隊士の日々 文久四年(元治元年)弥生二十七

文久四年(元治元年)弥生二十七 


昨夜は難しい本だったのでほとんど読めなかった。
眠い目をこすりながら起き、布団をかたずけ、掃除、
井上組長が稽古するぞ、と迎えに来た。
素振りと竹刀でのかかり稽古をしていると、
朝食の時間になった、いつも通り漬物とご飯。

本日の隊務割は、午前は鍛錬、午後は当直。
鍛錬と言えば、四番隊松原組長が柔術を教えてくれるというが、
井上組長は、
「知らないよりは良い程度だ。浪士が手ぶらの訳はないので、
とりあえず突いて怪我をさせれば、浪士はひるむので、突け。」
確かに、柔術より、突きの方が安全そうだ。

昼食、焼き魚に野菜の煮しめ、
午後は当直と言うことで、
組長と稽古。
稽古をしていると、監察から、
「二番隊が高台寺の傍で、浪士と斬りあいになっている。
当直はすぐに応援に行け。」

刀を取り、組長と走っていく。
高台寺に隊士が寝かされている。
浪士は縛られて永倉組長と山崎監察方に取り調べを受けている。

怪我をした隊士は玉置伊之助で左ももを斬られているらしい、
ほかにも小さな切り傷を負った者が数名、
監察によると、
「巡察中に浪士を見かけ、組長が声を掛けたところ襲ってきた。
永倉組長が二名と斬りあい、残り三名と隊士が斬りあいになった。」そうだ。
浪士二名には逃げられたが、三名を捕縛したと。
近所で大八車を借りてきて、玉置を乗せ、屯所に戻る。

監察が木屋町の医者南部先生を呼んでいた。
傷自身は大したことはないが出血がひどいので当分は療養することとのこと。
自分もいつ斬られるか、怖い。
井上組長曰く、
「斬られるより先に斬れば斬られない。」と、
夕食前に井上組長に新入隊士、森鷹之助を紹介され、
「お前らの組に入るから、よろしくな。」
石川伊太郎が二番隊に移動になるとのこと。

夕食、唐辛子の味噌漬け、お茶漬け、漬物。

二番隊の隊士が自慢話。
俺が捕まえた、
俺が一番に斬りつけた、だの、
森がびくびくしながら食事をしているので、
お膳をもって傍に移動し、話しかけたら、
京都山科とのこと。
今日は捕り物があり、
ちょっと騒々しいが普段はここまで騒々しくはない。
僕と同じで手当の良さに入隊したらしい。
明日も早いから、早く寝ようと言い。
早めに寝た。

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