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平隊士の日々 元治元年皐月二

元治元年皐月二   


先ほど、夜襲の訓練があった。
どたどた、廊下を走ってくるので気が付いた。
藤堂組長が、楽しそうに、飛び込んできたが、
うるさすぎて、目が覚め、蹴飛ばされる前に刀を取って、起きた。
奥の方で寝ている、七番隊と五番隊の隊士が、
蹴られてたり、踏まれたりしている。
土方副長の終了の声で、夜襲が終了。
「藤堂君、もっと静かに行動しないと、廊下側の隊士は起きているよ。」
「いかん、いかん、楽しすぎて、静かにするのを忘れた、わははは。」
布団をかたずけ、掃除して、稽古。

朝食、白和え、ご飯、味噌汁、漬物。

本日の隊務割。
午前が南巡察、午後が東巡察、夜は当直。
近藤局長が前に出てきて、
「卯月二十六日に幕府肝入りの見廻組と言う組織が出来、京都に向かっている。
新選組は見廻組より、役に立つことを幕府に示さなければならない。
諸君も、取り締まりを頑張ってほしい、以上。」
井上組長に聞くと、
「幕府も新選組を作って、京都の治安維持をする事だろう。
わしらは、きちんと巡察をして、浪士の取り締まりをすれば良い。」

土方副長が、体格の良い隊士を呼んで、腕周りや、肩幅を測っている。

五番隊と南巡察に出ようとしたら、
山南総長が来て、僕も一緒に行こうと、言い一緒に出る。
九条通りの高瀬川を過ぎたところで、浪士らしき集団を発見。
橋の手前で、五番隊が展開し、
六番隊は、路地が無く、後ろに回り込めない為、左右に展開する。
山南総長が誰何すると、いきなり斬りかかってきた。
井上組長が、河原に追い込めと叫び、
浪士のわきをすり抜け、後ろに回る。
五人六人が、五番隊と向き合い、こちらに四人ほどが向かってくる。
井上組長と粂部伍長が鴨川の支流の橋を背に逃げられないようにしている。
竹内伍長と死番の加藤と田中が浪士四人と対峙しており、
三番四番が重なり合うように、左右に展開し、逃がさないようにして、
竹内伍長が、おとなしくしろと言いながら、井上組長の方へ追い込んでいく。
山南総長が、我々の向い側、
四人の浪士の後ろ側から、すっと斬り込む、二人の浪士が斬られ、
残り二人の浪士には加藤と田中が斬り込み、負傷させたので、捕縛する。
五番隊も六人全員を捕縛できた。
番小屋に連絡して、大怪我をした浪士を大八車に乗せ、屯所に戻る。

昼食、焼きウナギ、大根の餡かけ、漬物、味噌汁、ご飯。

八番隊と東巡察。
仁王通りと冷泉通りの辻で、武士の集団に会う。
井上組長が、誰何すると、紀州藩士とのこと、礼をして巡察を続け、屯所に戻る。

夕食、ネギ雑炊、漬物、煮卵と牡丹肉煮。

四番隊と当直。
いつでも出れる準備をして、稽古。
一番隊が浪士を五人捕縛して、東巡察より戻る。
相当な斬りあいがあったのだろう。
沖田組長の羽織と、袴が斬られている。
星川三平が足を引きずっている。
谷昌武が腕にさらしを巻いている。
濱口が見当たらない。
沖田組長に尋ねたら、
「浪士が十数人、大蓮寺の手前の町屋で待ち伏せしており、
三々五々、小人数の斬りあいになり、行方が分からない。
監察方と番方で探しているので、そのうち、見つかるだろう。」とのこと。

少し、心配なので、遅くまで待っていたが、
監察方が戻ってきたので、寝る。

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