見出し画像

デートは予報通りの雨

大学の窓の下にはカラフルな日傘が列をなして、
駅に向かって流れていく。

これで午後から雨になるとは思えないが、
スマホの天気予報は雨をうたっている。

お昼もほど近い、面白くもない授業に耳を傾けながら、
アプリの掲示板を眺めていたら、
可愛いアイコンに惹かれ書き込むと、
リモートで仕事をしているOLだと返事が来た。 

何才と聞くと24才と言う、
自分は20才になったばかりと答え、
たわいのない会話が続く。 

彼女のいる場所では雨が降ったりやんだりしているらしい。
地方かと思ったら以外に近く、関東圏らしい。 

彼女の方から、「会えない?」と、
「新しい傘を買ったから使いたいんだ。」とも言ってきた。 

彼女の名前は「優ちゃん」で、僕の名前と合わせると
「優秀」ね、とまるで運命の様に喜んでいる。

「デートで良いのかなぁ?」と聞くと、
「いいわよ。デートしましょう。」続けて、
「場所はどこが良いかしら?」
「渋谷とか、池袋とか、
ターミナル駅が分かりやすくて、良くない?」少し考えて、
「じゃ、渋谷のハチ公ではどう?」
「人が多いから、目印はどうする?」
「そうね、私は白いワンピースに、
ひまわり色の日傘をさしているわ。」
「じゃ、僕は白いTシャツに、
夏の空色のショルダーバックで行くね。」

デート当日は予報通りの雨。
白いワンピースの裾が濡れるのを気にして、
目の覚めるような黄色傘をさした女の子が目に飛びこんできた。

眼鏡をかけていてイメージとは違ったが、
やさしそうな立ち振る舞いに、好感が持てる。

向こうもこちらに気が付いたのか、
軽く会釈をすると、近づいてきて、
「秀君ですか?」と、
「はい。」と答えて、
「優ちゃんですか?」と聞き返すと、
「はい。」と年上とは思えないかわいい声で答えて、
「とりあえず、雨だからどこかで雨宿りしませんか?」
「じゃぁ、そこの喫茶店でも行きましょう。」と、

喫茶店に入って、珈琲を頼んだら、
さだまさしの雨やどりが流れ、二人して、顔を見合わせ、
「僕たちみたいですね。」
「そうなると、嬉しい。」と、

多分そうなるんじゃないかと、僕は思い始めていた。

君と僕の物語が始まる。


・・・
これは勝手な思い込みで、かつ、ももまろさんの記事の紹介でもあります。      主人公に似た名前の人もフィクションです。
実在の人物や団体などとは関係ありません。 
あくまで、思い込みですので事実と誤認しないようにお願いいたします。
・・・


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?