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源三郎の日々 文久三年如月十一から十六

文久三年如月十一  

朝飯を食べた後、近藤さんと池田さんで芹沢のところへ、
あやまりに行ったらしい。
近藤さんが行った時には朝から酒を飲み、
芹沢の腰ぎんちゃくの平間が、
なんで、昨夜は引き下がったか、芹沢に聞いていた。
芹沢が言うには、
あんな細い生木の枝で、硬い芋を突き刺さす剣技は相当の者、
さすが、芹沢も総司の技量は見抜いていたか。
まぁ、総司は試衛館でも右に出るものはいないぐらい強い。
多分、江戸でも10本の指には入るだろう。
歳さんはぶんむくれるが、実際、近藤先生と同じぐらい強いだろうな。
わしゃ、まだまだだ。
いつかは総司ぐらいにはなりたいものだな。

今日ものんびりした出立だ。
どこまで行けるか。
芹沢は総司が気に入った様で、総司と話しながら歩いている。
総司は嫌そうにしていたと左之助が言っていた。
途中から、山南さんが割って入って、攘夷論を戦わせたらしい。

結局、松井田に泊まる。
10里しか移動できていない。


文久三年如月十二  

今日も出立が遅い。
朝から、芹沢が酒を飲み、
六番組の小頭、村上俊五郎を鉄扇で殴り、
取締役の山岡鉄太郎がいさめると言う事があったらしい。
二百人以上いる浪士組のタガははずれぱなしだ。

近藤さんのような人が小頭になれば、また違うのだろうが、
芹沢のような人物が小頭に収まってるような組は、
長続きしないような気がする。

六里ちょっとの歩きで、追分の宿場泊りになる。
途中で食べた蕎麦が美味しい。


文久三年如月十三  

芹沢が、また、問題を起こしたらしい。
小頭を解任させられるようだ。
八里ちょっとの歩きで、長久保の宿で泊まる。

 
文久三年如月十四  

朝から、雨。
雨の中、山南さんが山岡さんと攘夷論で意気投合したようで、
近藤さんを小頭に押してくれるそうだ。
すぐには決まらないだろうが、
近藤さんもそれなりの役に付ける。
今日は七理歩いて、下諏訪に泊まる。


文久三年如月十五  

今日も歩みが遅いが、九里歩いて、奈良井に泊まる。
夜に、山岡さんの宿に小頭が集まって、何か打ち合わせをしたようだ。
近藤さんが小頭になる話が出れば良いが。


文久三年如月十六  

今日は十里以上歩いて、須原に泊まる。

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