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質問箱018:原稿買い切りと印税

※Twitterの質問箱に寄せられた質問を、別途アーカイブしておきます。また随時、加筆修正を加えていきます。

【質問】


【解答】

①まずは弁護士に相談しよう

原稿買い切り・原稿料なしの案件は、あります。ありますが、そういう案件は条件によっては著作権的に、作家に著しく不利になることが多く、また報酬も充分とはいえない例があります。下手すれば、著作権法的に問題がある場合も。

当講座の受講生(プロの漫画家)でも、不利な条件をWeb系の編集部に飲まされていた例があり、著作権法に違反していました。また、編集部から脅しのようなメールを受け取っていた事例があり、弁護士を紹介したこともあります。

もちろん専門家が入ったおかげで、その件はあっさりと解決しました。まずは法律のプロに頼るのが基本ですね。相談料の相場もだいたいが決まっているので、安心して相談しましょう。無料相談とかより、最初から有料のほうが、詳しく聞けますし。

②日本は作家に有利な法体系

新興のWeb系雑誌はそもそも、他業種からの転職や、編集プロダクションを渡り歩き、編集者としての知識や経験が積み重なっていないタイプが、一部にいます。そのため、著作権にかかわる法律や出版業界の慣例に、あまり詳しくない人間もいます。

というか、大手の出版社の人間でも、法務に詳しい人間塗装ではない人間では、かなり差があります。また、しょせんサラリーマンですから、会社側にとって不利になることは、作家から聞かれない限り言わない・聞かれても曖昧に誤魔化すことが多いです。

日本は著作権に関しては、かなり作家側に有利な法体系なのだそうです。なので、たとえ契約書にサインしても、著作権法に違反するような内容であった場合は、基本的にその契約は無効になることが多いです。人身売買が禁止されてるのに、奴隷契約を強いることは出来ないように。

③法律と慣例は知って損なし

ついでに書けば、例えば出版社との正規の契約書で、自動更新条項がありますよね? 最初の契約から3年経って、◯ヶ月前に事前に更新を破棄する旨の通達が著者側から出版社になければ、自動更新というパターン。

あれも、通達を忘れていても、次の更新まで待つ必要はありません。
3年間以上重版がかかっていない印刷書籍は、出版社側に履行の意志がないとみなされて、著者側から破棄を申告できます。

出版社側は、こういう情報はあまり出したがりませんが。上手くすれば、慌てて重版がかかるかもしれませんので、気になる著作物は、まずは担当にそれとなく聞きてみましょう。

④セカンドオピニオンを聞く

ただし、電子書籍の場合はまた条件が違うので、気になる件は弁護士に相談してみましょう。弁護士に法律相談する際に発生する費用は一般的に、30分~1時間あたり5250円程度(消費税込み)に設定している事務所が、多いようです。餅は餅屋です。

ただ、著作権や知的財産権に強い弁護士は、業界ではけっこう限られています。また、それらに詳しい弁護士でも、数が少ないがゆえにいくつかの出版社の顧問になっていて、利益相反になるので依頼を受けてくれない弁護士もいますので。

ネットの評判は当てになりませんので、安易に情報を鵜呑みにせず、複数の弁護士の意見を聞いてみましょう。何十万科の損をかぶるより、泣き寝入りするより、正当な権利は行使しましょう。


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