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はじめてのダイヤモンド富士

富士山頂に夕日が沈む -2-

 群馬育ちなので、富士山がめずらしい。群馬では富士山が見える場所がほとんどない。かわりに浅間山がよく見える。

 東京で暮らすようになり、晴れた日に富士山が見えることには気付いていたけれど、そこからダイヤモンド富士が見えるなんてことは、これっぽっちも考えたことがなかった。そう、あの日まで。

 通りがかりに富士山の斜面に太陽がかかっているのを見たあの日、この場所でダイヤモンド富士が見えるんだと、やっと気付いた。

 富士山の山頂からほんのちょっぴり太陽が覗いている状態を、皆既日食のダイヤモンドリングになぞらえてダイヤモンド富士と言うそうだ。定義は人によりさまざまで、必ずしも山頂にかからなくても、ダイヤモンドと言う人はいるみたい。

 しかし、どうせ見るなら山頂に沈む瞬間を見たい。

 2012年1月、その気持ちが高まったところで、山頂ど真ん中に沈みそうな日を選んで、あの場所にもう一度行ってみた(詳しくは前回のノートをご残照ください)。しかし、思ったようには行かなかった。富士山に雲がかかっているのだ。

 頭の上が青空でも、富士山の方角には雲がかかっていることが良くある。頭の真上というのは空の狭い範囲だけれど、低いところを遠く見渡すと、範囲が広くなるので、雲を見る確率が上がってしまうのかもしれない。

 日没点は冬至から夏至までの間は北へ(富士山に向かって左へ)移動しつづけるので、また明日というわけにもいかない。明日の夕日は山頂からずれてしまうはずだ。

 太陽が動いてしまうなら、自分が移動すればいいんじゃないだろうか?

 そこで、ここより南で富士山が見える場所を考えた。駅前のでっかいビルの屋上駐車場はどうだろう? 地上8階で見晴らしがよく、普通のコインパーキングだから出入りは自由だし…

2012年1月22日 金町駅前のビルにて
まだ早い。山頂に沈むのはまだ数日後だ。


2012年1月29日 同場所にて
その数分後

 これが初めてのダイヤモンド富士だった。ダイヤモンドなんてカタカナの名前は安っぽくて、あまり似合わない。だからといって何と言い表せばいいのかわからない。あまりにも美しい光景だった。


 このノートは、過去に自分のブログに貼ったダイヤモンド富士の写真を、少しレタッチしたりしなかったりしてお贈りしています。

今回の写真:金町駅前のビルにて 2012年1月22日、29日


 

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